「オール沖縄会議」結成総会 新基地阻止へ運動強化

 

「オール沖縄会議」;2015年1月8日 福岡高裁那覇支部前集会

 

「オール沖縄会議」平和賞 非暴力で辺野古反対

 

 

 

 

 

「辺野古新基地を造らせないオール沖縄会議」の意思決定機関となる幹事会の初会合が2015年12月29日、那覇市内で開かれた。今後に向け、名護市辺野古で続く抗議行動の強化する方針などを確認した。政党や市民団体、経済界などを網羅した「オール沖縄」による新たな活動が本格始動した。

 

オール沖縄会議の幹事会で新基地建設阻止に向けた取り組みを話し合う共同代表の稲嶺進名護市長(左から4人目)ら

 

幹事会では、総務財政、現地闘争、大会・集会、国内対策の4部会の設置を確認。現地闘争部会は、県内の各市町村で発足した辺野古反対の地域組織が毎週水曜か木曜のいずれかの日に座り込みを担当することを決めた。

 

 また、現地での機動隊とのもみ合いなどで負傷者が出た場合を想定し、看護師2人による救護班の常駐も決定。警察に拘束された場合に法的に対処するため弁護団も結成する。

 

 大会・集会部会は翁長雄志知事の辺野古の埋め立て承認を違法として国が知事を相手に起こした代執行訴訟の第2回口頭弁論が予定される1月8日、知事を応援する集会を裁判所前で開く。今後は万人規模の大規模集会などを検討する。

 

 幹事会では共同代表の稲嶺進名護市長、金秀グループの呉屋守將会長が2016年1月の宜野湾市長選で新基地に反対する候補の当選が新基地阻止につながると強調した。選挙母体として活動はしないが、会議に加盟する幹事団体や各市町村の辺野古反対組織のメンバーが知人らに、辺野古反対の候補を応援するよう呼び掛けることを確認した

 

 

米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古移設に反対する県内の地方議員や企業トップらは2015年12月6日、那覇市で記者会見し、辺野古移設反対を掲げる約20の団体をまとめる新組織「オール沖縄会議」を12月14日に設立された。

 

 結成大会は、午後6時30分から、宜野湾市のコンベンションセンター劇場棟で行われ、賛同する約1300人と翁長雄志知事が出席した。

 

政党・会派、労働団体、経済団体、平和・民主団体、女性・青年、学者・文化人・法律家、各市町村の「島ぐるみ会議」など幅広い団体を網羅し、広範な市民が参加。「さらに大きな運動にし、辺野古新基地を断念させよう」と組織の誕生に熱気に包まれた。

 

翁長雄志(おながたけし)知事が駆け付け「オール沖縄会議が結成できたことは、これからのたたかいに大きな展望を開いていくものです。宜野湾市長選をみんなで勝ちとり、沖縄の将来を築いていきましょう」「心を一つにして頑張ろう」と呼びかけると会場から大きな拍手と指笛が鳴り響きわった。

 

「オール沖縄会議」は、垂直離着陸輸送機MV22オスプレイの配備撤回や米軍普天間飛行場の県内移設断念などを求めた「建白書」の精神を引き継ぎ、辺野古新基地阻止に向けた裁判闘争支援や辺野古現地への支援活動、大規模な県民集会の開催、全国と世界に理解を広げるための活動等にとりくむ。

 

 辺野古で続く抗議行動の支援や県民集会の開催、署名活動などの取り組みを強化するほか、全国集会への派遣や意見広告などを通じ、国内外でも世論喚起を図る。「オール沖縄会議」は島ぐるみ会議などの市民団体や労働団体、政党など22団体と各市町村組織で決定機関となる幹事会を構成する。

 

共同代表に就任した稲嶺進名護市長、呉屋守将金秀(ごやもりまさかねひで)グループ会長(県外出張のため代読)、高里鈴代島ぐるみ会議共同代表があいさつ。稲嶺市長は「県と国の法廷闘争もあるが、私は大衆運動こそが1番大きな力だと思っている。オール沖縄会議がそのまとめ役となる」と発足の意義を強調し、高里氏は「辺野古では戦争を生き抜いた先人たちが闘い、私たちはそのバトンを継いでいる。命と人権を守るため県民一丸となろう」と呼び掛けた。呉屋氏は「基地という経済発展の阻害要因、負の遺産を残してはいけない」とメッセージを寄せた。

 

  

 

ヘリ基地反対協議会の安次富(あしとみ)浩共同代表らが現場のたたかいを報告。結成までの経過報告や登壇者が総決起し、沖縄の未来をきりひらこうとの訴えに大きな拍手が送られた。

 

2016年1月17日告示(24日投票)の宜野湾市長選に立候補する、シムラ恵一郎予定候補もあいさつした。

 

青年代表として「SEALDs RYUKYU(シールズ琉球)」の伊佐拓(ひろと)さんがあいさつしました。

 

 大会では設立趣意書や規約などが承認され、設立が宣言された。

 

 設立趣意書は「知事を支え県民を鼓舞し辺野古の闘いを大きな支援の輪で包む」として(1)県の法廷闘争の支援(2)辺野古の抗議行動の支援(3)大規模な県民集会−などに取り組むとした。選挙には直接関わらないが、2016年の宜野湾市長選、県議選、参院選で辺野古反対の各選挙母体と連携を図ることが盛り込まれた。

 

 

新組織「オール沖縄会議」を設立すると発表する呉屋守将氏(中央)ら=15年12月6日午後、那覇市

 

これまでに県内の反対派団体を網羅した組織はなく、抗議を強めていくため、横断的な組織が必要と判断した。

呉屋氏は、「建白書で掲げたオスプレイ配備撤回、普天間基地の閉鎖・撤去、県内移設断念を求めることを運動の目標として取り組んでまいりましたけれども、よりいっそう幅の広い運動を展開し、戦略・戦術的な運動を追求するため、オール沖縄会議を結成することになりました」と、結成の意義を語り、参加を呼びかけていた。

 高里鈴代島ぐるみ会議共同代表は、「知事が国に訴えられるという歴史的な事態になっています。オール沖縄、すべての力を結集して、掲げております目的の達成を」と語った。

 準備委員会委員長を務めた社民・護憲ネット新里米吉(しんざと よねきち)県議は、結成大会は、会場を満杯にする1800人を目指したいと語っていた。

 

委員会の構成組織は平和・市民団体(島ぐるみ会議、平和運動センター、統一連、ヘリ基地反対協、平和市民連絡会)、労組(連合沖縄、県労連、自治労)、企業(金秀グループ、かりゆしグループ、沖ハム)と県政与党の政党、県議会会派の約20団体。

活動計画は結成準備会などで決めていくが、政府が辺野古本体工事に着手したことなどを受け、現場での反対運動を強化することを目的の一つとする。選挙について直接的な目的とはしない方針。

 

 なお、11月14日に那覇市内で開かれた準備会では、以下の点が確認されている。

 オール沖縄会議は、(1)オスプレイ配備撤回(2)普天間基地の閉鎖・撤去(3)辺野古への「移設」断念―を掲げた建白書の精神に立って、翁長雄志知事を支え、辺野古現地でのたたかいを大きな県民の輪で支える。新基地建設反対で活動する県内のあらゆる政党・会派、労働団体、経済団体、平和・民主団体、女性・青年、学者・文化人・法律家、各市町村の島ぐるみ会議などが参加するほか、広範な市民にも参加結集を呼びかけることにしている。

 共同代表には、稲嶺進名護市長、呉屋守将金秀グループ会長、高里鈴代島ぐるみ会議共同代表の3氏を、顧問には赤嶺政賢、照屋寛徳、玉城デニー、仲里利信各衆院議員、糸数慶子参院議員のほか、企業・グループの代表を結成総会に提案することが確認された。

 準備会では、辺野古新基地建設をめぐる情勢について意見交換され、政府のなりふり構わぬ権力行使にもかかわらず、県民のたたかいは萎縮するどころかかつてないほどの世論の結集がつくりだされているとの認識で一致した。

 今後の具体的な活動として、▽県政が政府との裁判闘争に入った際、県民挙げて支援する▽大規模な県民集会などを通して辺野古現地の行動を支援する▽全国集会への大規模な派遣を行う―ことなどが挙げられた。

 

オール沖縄会議の発足を確認する市民、政党、経済界の代表者ら=2015年11月3日午後、那覇市泉崎の自治労県本部

 

 

「オール沖縄会議」は2017年1月28日、翁長雄志沖縄県知事の訪米(1月31日〜2月4日)に合わせ、米国で沖縄の過度な基地負担の現状と辺野古新基地建設反対の県民の民意を訴える訪米団を結成した。

 訪米団の団長は、オール沖縄会議共同代表の呉屋守将(ごや・もりまさ)(金秀グループ会長)で、日本共産党の渡久地修県議、「社民・社大・結」の中宗根悟県議ら8人で構成されている。

 結団式では、沖縄に過度に集中する米軍基地に対する住民の不満は限界点を超えており、「沖縄の基地問題解決に向けた迅速な対応を求める」との要請文を中心に訴えることを申し合わせた。

 呉屋団長は「知事、稲嶺進名護市長の訪米がより効果的なものになるよう、私たちもアメリカ社会に働きかけます。波状的な働きかけで突破口を開くことができます。『あのときオール沖縄が頑張ったから今日の沖縄がある』と言われるよう、頑張っていきたい」と決意を語った。

 訪米団は連邦上下両院議員や補佐官、シンクタンク関係者ら約30件の会談の予定が入っており、さらに増やしたいとしています。翁長知事や稲嶺市長と合流し、行動をともにする機会もあるとしている。

 

 

 

「オール沖縄会議」に国際平和賞を授与(2017年9月2日配信『しんぶん赤旗』)

 

 平和・軍縮・人権などの国際的運動団体、国際平和ビューロー(IPB)は8月30日、沖縄県名護市辺野古の米軍新基地建設に反対している「オール沖縄会議」にショーン・マクブライド賞を授与することを決めました。

 同賞は、平和・軍縮・人権などの課題で優れた活躍をしている団体や個人に贈られてきました。

 日本原水協は長年IPBの役員を出してきました。今年の同賞選考では、IPBの副会長を務める日本原水協の土田弥生事務局次長が今春、同賞候補に「オール沖縄会議」を推薦していました。

 IPBは、オール沖縄会議にあてた授賞を伝える文書で「軍縮や軍事化・米軍基地反対の不屈で非暴力のたたかいを高く評価し、全会一致で今年の受賞者とすることを決めました」と授賞理由を述べ、「数十年のたたかいの上に、さらに広範な協力や行動を広げて、運動を展開されています」と、運動の新しい進展に敬意を表しエールを送っています。

 授与式は11月24日、スペインのバルセロナで行われます。

 

「オール沖縄会議」平和賞 非暴力で辺野古反対(2017年9月1日配信『東京新聞』−「社説」)

 

 スイスの国際平和団体「国際平和ビューロー」(International Peace Bureau=IPB、本部・ジュネーブ)は、2017年のショーン・マクブライド平和賞を、米軍普天間(ふてんま)飛行場(沖縄県宜野湾(ぎのわん)市)の名護市辺野古(へのこ)移設に反対する政党や団体でつくる「オール沖縄会議」に授与すると決めた。IPBが31日、共同通信に明らかにした。

 IPB自体は、1910年にノーベル平和賞を受賞している。マクブライド平和賞は03年に日本原水爆被害者団体協議会(被団協)、06年に「平和市長会議」に授与された。

 オール沖縄会議は、移設反対を掲げる翁長雄志(おながたけし)知事の支援母体で15年12月に設立。授賞理由に「軍事化や米軍基地に反対する非暴力の取り組み」などを挙げた。

 IPBは授賞決定通知で「(同会議は)決して諦めずに闘いを続け、さまざまな行動を起こしてきた。過去の努力を認め、現在の運動を支援したい」とした。

 オール沖縄会議共同代表の高良(たから)鉄美・琉球大教授は「辺野古では非暴力に徹して長い間、抗議運動を続けている。沖縄の問題の理解を広げられるよう海外発信していきたい」と話した。

 マクブライド平和賞は、IPB会長を務めた故ショーン・マクブライド氏の功績をたたえ1992年に創設。平和や軍縮、人権の分野で活躍した個人・団体に贈られる。授賞式は11月24日にスペイン・バルセロナで開催される。

 

国際的平和賞に「オール沖縄会議」 辺野古移設に反対(2017年9月1日配信『朝日新聞』)

 

 NGO「国際平和ビューロー」(IPB、本部・ジュネーブ)は、今年の「ショーン・マクブライド平和賞」に、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設に反対する「オール沖縄会議」を選んだ。IPB関係者が明らかにした。

 この賞は、平和や軍縮、人権における著しい業績を残した個人や団体に贈られる。市民団体や政党でつくるオール沖縄会議は「たゆまぬ軍縮への業績と、軍事化と米軍基地に反対する非暴力的の必死の頑張り」が評価され、8月22日に開かれたIPBの会議は満場一致で授賞を決めたという。11月24日にスペイン・バルセロナで授与される。

 IPBは1910年に団体としてノーベル平和賞を受賞した平和団体。元会長のアイルランド人政治家ショーン・マクブライドにちなんだ平和賞を92年に設けた。日本からは、日本被団協(2003年)や平和市長会議(現・平和首長会議、06年)が受賞している。

 

辺野古移設反対の「オール沖縄会議」に平和賞 スイスの国際団体(2017年9月1日配信『沖縄タイムス』)

 

 国際平和団体「国際平和ビューロー」は2017年のショーン・マクブライド平和賞を、沖縄県名護市辺野古の新基地建設に反対する政党や団体でつくる「オール沖縄会議」に授与すると決めた。IPBから連絡を受けた同会議関係者が31日明らかにした。

 

「オール沖縄会議」が主催した県民大会で新基地建設阻止に向け、ガンバロー三唱で気勢を上げる参加者=2017年8月12日午後3時24分、那覇市・奥武山陸上競技場

 

IPB自体は、1910年にノーベル平和賞を受賞している。マクブライド平和賞は2003年に日本原水爆被害者団体協議会(被団協)、06年に「平和市長会議」に授与された。

 15年12月発足のオール沖縄会議は県民大会の開催や米政府・議会への辺野古反対の要請行動を展開し、翁長雄志知事とも連携。授賞理由に「軍事化や米軍基地に反対する非暴力の取り組み」などが挙げられた。

 IPBは授賞決定通知で「決して諦めずに闘いを続け、さまざまな行動を起こしてきた。過去の努力を認め現在の運動を支援したい」とした。

 共同代表の高良鉄美琉球大学大学院教授は「辺野古は人権問題だ。強大な国家権力に保革の枠を超え抗議する運動が世界基準だと示された」と語った。

 マクブライド平和賞は1992年に創設。平和や軍縮、人権の分野で活躍した個人・団体に贈られる。授賞式は11月24日にスペイン・バルセロナで開催される。

 

辺野古阻止 大義で団結 「オール沖縄会議」共同代表・呉屋守将氏に聞く(2016年1月16日配信『東京新聞』)

  

 米軍普天間(ふてんま)飛行場(沖縄県宜野湾(ぎのわん)市)移設に伴う名護市辺野古(へのこ)沖の新基地建設計画をめぐり、反対する市民運動が広がりを見せている。活動は国内にとどまらず、海外でも展開されている。昨年末、主だった約20の反対組織が参加して設立された「オール沖縄会議」の共同代表で、中核となる「島ぐるみ会議」共同代表も務め、地元財界を引っ張る呉屋守将氏(67)に話を聞いた。 

 −オール沖縄会議結成の経緯は。

 「辺野古移設に反対する団体は多いが、まとまりがなかった。横の連携を密にして、新基地建設の阻止に向けてより有効な手だてを講じるのが狙いだ。保守系と革新系では考え方に違いがあるのも事実だが、『これ以上、沖縄に米軍が集中するのは認めない』という大義の下、一緒になった」

 −新基地建設は何が問題なのか。

 「2014年にあった名護市長選、県知事選、衆院選ではいずれも移設反対の候補が当選し、民意は示されている。安倍政権が工事を強行するのは、民主主義に反する。政府から最もぞんざいな扱いを受ける沖縄から声を上げ、行動を起こすことは、日本の民主主義を守る運動にもつながる」

 −どう目的を達成するのか。

 「世論を喚起し、国内政治のあり方を変えていく。加えて、米側に働き掛けることも大事だ。島ぐるみ会議は昨年11月に訪米し、上院議員やその関係者とも面会した。『日本の国内問題だ』と突っぱねられたが、『米国は傍観者ではなく当事者だ。県民を無視した強硬な姿勢を貫くなら、沖縄にある全ての米軍基地を取り囲む反対運動に発展する可能性もある』と訴えた。今後も繰り返し訪米していきたい」

 −本土の意識の変化は。

 「市民運動を資金面で支援する『辺野古基金』でも共同代表を務めているが、(昨年4月の設立から)5億2000万円が全国から集まった。郵便局を通じた少額の振り込みが増えており、広がりを感じている」

 −負担軽減では県外の自治体の協力も欠かせない。

 「NIMBY(not in my backyard=うちの裏庭ではない)という態度ではなく、安全保障上の負担をどう引き受けるか、沖縄と同じように考える義務がある」

 

<ごや・もりまさ> 1948年9月、沖縄県西原町生まれ。71年に名古屋工業大卒業後、沖縄県庁勤務などを経て、父が創業した金秀(かねひで)建設に入る。2002年からは、建設業のほか小売店、ゴルフ場なども展開する「金秀グループ」会長。

 

 

[オール沖縄会議]辺野古阻止の受け皿に(2015年12月16日配信『沖縄タイムス』−「社説」)

 

 辺野古新基地を阻止するまとめ役ができた。

 「辺野古新基地を造らせないオール沖縄会議」である。県内政党や労組、市民団体など22団体で組織し、「沖縄建白書を実現し未来を拓(ひら)く島ぐるみ会議」も包摂する。

 宜野湾市の沖縄コンベンションセンターで開かれた結成大会には1300人(主催者発表)が参加し、翁長雄志知事も駆けつけた。

 オール沖縄会議を結成する目的は、3つだ。現地辺野古での抗議行動を強化する、県と国の法廷闘争で翁長知事を支援する、国内・国際世論を喚起する−ことである。

 なぜいまなのか。

 結成を促したのは、現地辺野古で監視と抗議活動を続ける市民らの声である。日によって参加人数のばらつきが大きく、各種団体と交渉するパイプ役が必要だとの要望が出たからである。その役目をオール沖縄会議が担うことになったわけである。

 辺野古では毎週水曜日を「議員総行動」の日と決め、野党国会議員や県議会与党会派、市町村議員、市民ら数百人が抗議している。

 米軍キャンプ・シュワブゲート前での座り込みが500日を迎えた11月18日の水曜日には約1200人が抗議集会を開いた。工事車両は基地内に入れず、機動隊は排除することができなかった。

 その後の議員総行動の日でも、工事車両の進入を事実上阻止している。座り込みの参加者にはゲート前にもっと人が集まれば、作業を止めることができるという思いがある。それは政府が恐れていることでもある。

    ■    ■

 新基地建設阻止という県民大多数の願いをどう実現していくか。そのためにはオール沖縄会議結成の目的の三つを同時並行的に、しかも切れ目なく取り組む必要がある。

 共同通信が11月28、29の両日に実施した全国世論調査で、辺野古問題が法廷闘争に発展したことに「国と県が直接話し合って決着」が68・5%で、「司法の場で決着」の26・0%を上回った。

 朝日新聞の10月の全国世論調査では知事の埋め立て承認取り消しを「評価する」が50%と、「評価しない」の34%を引き離している。

 安倍政権が沖縄の民意を無視して強権的に押し進める新基地建設を国民の多くは支持してはいないのである。

 辺野古の陸で、海上で反対する市民を警察や海上保安官が力ずくで排除している現状を、全都道府県でシンポジウムをしたり、大小の県民集会を開いたりして世論に訴えるのも世論喚起の方法の一つではないだろうか。

    ■    ■

 運動のうねりは国内、海外に広がっている。米退役軍人の平和団体「ベテランズ・フォー・ピース(VFP)」のメンバーが来沖、抗議活動に加わっている。沖縄は孤立しているわけではない。

 傘下団体をたばねる組織ができた。ただ埋め立て本体工事の関連作業が進んでいることを忘れてはならない。

 オール沖縄会議が新たな県民ぐるみの運動の受け皿になれるのかどうか、これからの取り組みにかかっている。

 

オール沖縄会議 新基地反対運動の弾みに(2015年12月16日配信『琉球新報』−「社説」)

 

 新基地建設阻止に向けた取り組みが、より重層的に広がっていく起爆剤となるのではないか。

 米軍普天間飛行場の代替となる辺野古の新基地建設問題で、政党や市民団体、経済界有志など幅広い団体を網羅する新組織「辺野古新基地を造らせないオール沖縄会議」が発足した。

 14日に開かれた結成大会には主催者発表で1300人が足を運んだ。会場は新基地建設を「オール沖縄」で阻止するとの熱気に包まれた。

 新基地建設問題をめぐり、県は政府との法廷闘争に入っている。今回の会議発足には、県の法廷闘争を支援するとともに、これまで建設反対運動に関わってきたさまざまな組織を糾合して体系化し、幅広い枠組みで新たな取り組みを展開していく狙いがある。

 オール沖縄会議の共同代表には、稲嶺進名護市長、高里鈴代「島ぐるみ会議」共同代表、呉屋守将金秀グループ会長の3人が就任した。政界や経済界、市民団体など、新基地建設に反対するそれぞれの勢力を結集させていこうという決意が込められていよう。

 新基地建設問題ではこれまで、政財界の有志や有識者が共同代表を務める「沖縄『建白書』を実現し未来を拓く島ぐるみ会議」(島ぐるみ会議)や「辺野古基金」などが設立され、市民運動などの基盤となってきた。

 ただ島ぐるみ会議はあくまで個人参加による組織であり、団体単位では加入していない。このため組織的な行動面で課題があった。今後は新たな会議が中心となり、辺野古のキャンプ・シュワブ前での反対運動などで、より統一的な対応を図っていくとしている。今後の展開が注目されよう。

 結成大会には翁長雄志知事も駆け付けた。知事は「これからの闘いに大きな展望を開くものだ。私たち責任世代が頑張っている姿を見せることで、子や孫が21世紀の沖縄を切り開いていく」と語った。

 「責任世代」は、那覇市長時代からオスプレイ配備撤回や普天間飛行場の県内移設断念要求などの超党派運動の先頭に立ってきた翁長知事がしばしば口にするキーワードだ。

 政府が力ずくで新基地を建設しようとする中、この時代に生きる沖縄の私たちはどうあるべきか。オール沖縄会議には、沖縄の民意をさらに喚起するための呼び水となるような役割に期待したい。

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