名護で与党過半数維持 沖縄統一地方選
オール沖縄の源流を地元から発信/直近の民意 安倍政権に逆風
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2014年9月7日、名護市辺野古への新基地建設が進む中で行われ、11月16日の県知事選の前哨戦とも位置付けられた名護市議選。「オール沖縄の源流を地元から発信」の合言葉で戦った与党候補の訴えが有権者の心をつかみ、14人当選で過半数を占め(移設反対以外は市長に是々非々の立場を取る公明を含めると計16議席)、2014年1月の市長選に引き続き、あらためて辺野古への基地建設に反対する名護市民の民意を鮮明にした(新人は与党2人、野党3人の計5人が当選した)。
市議選(定数27)には35人が立候補していた。
立候補した移設反対派19人の得票率の合計は58・1%。容認派の得票率(41・9%)を16・2ポイントも上回った。
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2014年9月9日配信『東京新聞』
名護市の選挙では稲嶺進市長が初当選した2010年1月の市長選を含めてこれまで計4回の市長選と市議選で、移設反対の民意が示されたことになる。13年7月の参院選沖縄選挙区でも、移設反対を掲げて当選した野党候補の得票は、名護市でも推進派の自民党公認候補を上回った。
選挙戦は、稲嶺進市長が「子や孫の未来のために、必ず辺野古を断念させる」「市長と議会は車の両輪として同じ方向に進む必要がある」と有権者へ支持を訴え、与党候補(移設反対派・市長派)を全面バックアップ。米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古移設反対を掲げて沖縄知事繊維立候補予定の翁長雄志那覇市長も応援に駆け付け、稲嶺氏と並んで「圧倒的な勝利で新しい時代を築こう」と訴えた。
当選者や事務所に集まった支持者からは「今後も稲嶺市政をしっかり支え、基地を阻止するぞ」「民意は再び基地ノーを示した」など激しかった選挙戦を勝ち切り、万感の喜びに沸いた。
移設反対派の勝利により、地元の反対を無視する形で移設作業を強行している政府に対する批判や、辺野古埋め立てを承認した仲井真弘多知事への反発がさらに強まるには必至。
移設賛成の野党・自民党は、反市長派の野党候補15人を企業の組織票などでてこ入れしたうえで、基地問題を前面に出さず(選挙でも争点にせず)、地元経済の振興策などをアピールして市の財政事情を踏まえた再編交付金による経済活性化や市政批判を展開。仲井真知事も市議選告示前に名護入りし激励する選挙戦を繰り広げたが、支持は広がらなかった。
安倍政権は県民の理解を得るため、地域振興策に加え、垂直離着陸輸送機オスプレイの県外への訓練分散を模索するなど、基地負担軽減への取り組みを本格化させてきた。しかし市議選結果は、そうした政府の姿勢とは関係なく、移設は受け入れられないという市民の判断を鮮明にした。
敗北を想定し、告示直後から「選挙結果によって埋め立てに影響を与えることはない」(菅義偉官房長官)と予防線を張り移設作業を粛々と進行する姿勢を示してきた政府だが、市議選で示された「直近の民意」で、移設反対派が勢いを得るのは確実で、早期移設を進める安倍政権にとって逆風にほかならない。これまで通り、政府が強引に移設作業を進めれば県民のさらなる反発を招き、計画が停滞する恐れも出てくる。それゆえ、移設作業の手法や内容自体に問題はないのか、政府は手順の見直しを迫られることになる。
当日有権者数は4万6219人で、投票者数は3万2539人。投票率は70・40%で前回(72・07%)を1・67ポイント下回り、過去最低となった。期日前投票は有権者の27・36%に当たる1万2647人(前回比2046人増)だった。なお、開票作業は7日午後9時から始まったが、午後10時半ごろに投票用紙の自動読み取り機が票を読み取らなくなるトラブルがあり、作業は8日未明までずれ込んだ。
稲嶺進名護市長は8日午前1時すぎに記者団に、「16人全員の当選を目指して頑張ってきたので、かなわなかったのは残念。ただ過半数は得ており(基地問題では)公明党さんの協力がいただけるのではないか。議席を減らしてしまったのは残念だ。(辺野古の新基地について)日本政府に対して信念を持って訴えていきたい。知事選に向けても強力に訴えていきたい」と終始厳しい表情で語った。
プロのギタリストとして地元を中心に長年活躍し、抜群の知名度で初当選を果たした大城松健さん(61)は、「皆さん一人一人の応援のおかげ。稲嶺市長をしっかり支えていく」と語り、ギターの弾き語りで喜びを爆発させた。
出馬のきっかけは、名護市辺野古への新基地建設反対を訴えて訪米した稲嶺進市長が開いた6月の報告会。会場に足を運び、市長の「皆さんの一人一人の協力が必要」とのメッセージに強い感銘を受け、「市長だけに重荷を背負わせてはいけない」。基地建設を止め、自然を、海を守ろうとの呼び掛けに「何がなんでも、市長を支えなければ」と決意したという。
新基地建設について「これまでずっと心に気にかけつつも、正面から向き合ってこなかった」と振り返る。あらためて「新基地建設に断固反対し、古里やんばるを守るため、命を張って、体を張って頑張っていく」と決意を込めた。
辺野古区の普天間代替施設推進協議会の前会長で地元と国の“パイプ役”ともいえる存在の名護市辺野古区出身の宮城安秀さん(59)は2期目の当選を決め、「国策で進める移設を受け入れる代わりに、地元が不利益を被らないよう腐心する」「大きな期待を胸に受け止め、地元の将来のため取り組む」と安堵(あんど)の表情を浮かべて語った。
辺野古の米軍キャンプ・シュワブのゲート前には8日朝から、60人を超える市民が集まった。ヘリ基地反対協議会の安次富浩共同代表は集会で、7日の名護市議選で与党が過半数を占めたことに触れ「市議選は私どもの勝利だ。知事選にも弾みを付けよう」と声を上げると、一斉に拍手や歓声が巻き起こった。
名護市議選でトップ当選した仲里克次(共産)さんは同日午前10時前にテントに駆け付け「今後、力ある限り(集会などに)参加し、阻止行動の先頭に立って頑張っていきたい」とあいさつした。
海上では、前日まで大浦湾側にあったオレンジ色のスパット台船が午前8時半ごろから移動を開始し、辺野古崎を抜けたフロートの内側に設置された。またフロート内の陸地からはクレーン車などが設置され、作業する様子が確認された。一方、米軍は水陸両用戦車を使った演習を実施した。7両が辺野古漁港に隣接する砂浜から、水しぶきを上げて沖合に出た。
台船移動中、抗議船の市民は名護市議選について「市民の意志は確定している」と話し、工事の中止を求めた。
翁長雄志那覇市長は8日午前、名護市議選で米軍普天間飛行場の辺野古移設に反対する与党候補が過半数を維持したことについて「辺野古に基地をつくらせないという市民の気持ちが表れている。これを踏まえて私も行動したい」と述べた。自宅前で記者団の取材に答えた。
自身が近く正式に出馬を表明する沖縄県知事選への影響については「大きな争点を背負って戦った名護市議会の与党が、しっかり過半数を取ったことは私としても力強い」と説明した。
菅義偉官房長官は8日午前の記者会見で、「辺野古移設の一点だけの結果ではない。地元の経済をどうするとか、さまざな政策を掲げた結果だ」と述べ、政府が進める移設作業や11月の県知事選と直接的には関係しないとの見方を示した。
仲井真弘多知事は8日午前、「過半数というより野党側が1議席伸ばしている。判断の仕方はいろいろあるんじゃないですか」との見解を示し、移設に反対の民意が示されたとの見方を否定した。
11月16日投開票の知事選への影響については「他の市町村を見ると、私の政策に賛成する方向の方が多い。ちょっと厳密な計算をする必要があると思うが、名護だけが沖縄ではない」と述べた。
日本共産党の山下芳生書記局長は8日、菅官房長官発言に対して、「民意を踏みにじる新基地建設の強行は民主主義のじゅうりんにほかならない。暴挙を重ねるなら、『オーs沖縄』の結束はいっそう固まり、11月の知事選で明確な審判が下されることになるだろう」と指摘し、また、仲井真知事の発言について、「どんな見方をしても、名護市民が示した民意は新基地建設反対だ。見方ではなく、知事は民意をみていないといわざるをえない」と語った。
辺野古移設 計画の混迷は不可避だ(2014年9月17日配信『神奈川新聞』−「社説」)
米軍普天間飛行場の辺野古移設への賛否を焦点にした沖縄県名護市議選は、移設反対派が過半数を占める結果となった。県外移設を求める地元世論の高まりは必至である。同じ争点で行われる同県知事選の結果いかんによっては、計画が混迷を深める事態は避けられまい。
稲嶺進同市長が再選したことし1月の市長選に続き、有権者は「新基地建設ノー」を政府や仲井真弘多知事に突きつけた格好だ。政府は同市議選と移設を連動させず、予定通り計画を進めていく考えを示している。むろん普天間飛行場の危険除去は差し迫った課題である。
しかし、移設先周辺の住民に限らず、県民の大半は県内移設そのものの理不尽さを訴えている。政府が日米同盟強化を進める中で、今回の結果は沖縄の基地負担軽減ばかりか日本の安全保障政策のあり方を再考する契機の一つになるだろう。
県内移設をめぐる政治的な構図は複雑化している。同市議選では、国政では与党の公明党の2人が移設反対の立場を取る。また、同県知事選には元自民党同県連幹事長の翁長雄志那覇市長が、一部の保守系市議や社民、共産など県議会野党会派議員からの要請を受け出馬を表明。県内移設に対する反対の声は、保守革新を超えたうねりになりつつある。
背景には、集団的自衛権行使容認をはじめとする安保政策の転換があるのではないか。また、辺野古沿岸部で海底掘削調査を開始するなど、移設の既成事実化に対する反発とも受け止められる。埋め立て工事のための海底掘削調査へ向け、沖縄防衛局が米軍や工事用船舶以外の航行を禁止する臨時制限区域を明示するブイを設置したのは、終戦記念日の前日というタイミングだった。
ほどなく海底調査が実行されたが、カヌーに乗って抗議活動を行っていた反対派住民が海上保安庁に一時拘束される事態に至った。沖縄県議会が海底調査に抗議し移設計画中止を政府に求める意見書を賛成多数で可決したことは、民意の大勢の表れといえよう。
移設計画の実行を急ぐのは、年末に予定されている日米防衛協力指針(ガイドライン)の改定を見据えての判断ではないか。確かに国際情勢は大きく変化している。沖縄の負担をどうするのか、国民一人一人があらためて基地問題に向き合う時期に差し掛かっているといえよう。
[官房長官辺野古発言]「過去の問題」ではない(2014年9月11日配信『沖縄タイムス』−「社説」)
沖縄の民意がどうであれ、辺野古への新基地建設を強行するという、あからさまな威圧である。基地負担軽減担当相という立場に反する発言であり、到底納得できない。
菅義偉官房長官が10日の記者会見で、米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設について「昨年暮れに知事が埋め立てを承認し粛々と工事を進めている。この問題はもう過去のものだ」と述べ、11月の知事選の争点にはならないとの見方を示した。
7日の名護市議選で、定数27のうち辺野古への新基地建設に反対の候補が16人当選し、過半数を維持した。地元の民意があらためて示されたばかりである。
辺野古の海で政府が埋め立てに向けたボーリング調査を強行していることに対し、海上やキャンプ・シュワブのゲート前で、反対派の市民による抗議行動が続いている。まさに現在、進行しているのである。それを「終わったこと」だと言える発想が信じられない。
翁長雄志那覇市長が、10日の市議会本会議で知事選への出馬を表明した。知事選は、すでに出馬を表明している仲井真弘多知事、下地幹郎元郵政民営化担当相との争いになる予定だ。
政府の狙いは、知事選までに工事を急ぎ、移設を既成事実化することで辺野古移設の争点化を避けたいというものだ。
だが、民意を無視した強硬なやり方は、県民の反発を招き、むしろ争点をより明確にすることになるだろう。
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辺野古移設をめぐっては仲井真知事が求める「普天間の5年以内の運用停止」が、次第にほころび始めている。
まず、米国側が否定的見方を繰り返し述べていることだ。7月に政府が示したオスプレイの佐賀空港への暫定移駐案は、米側が難色を示したことで、発表からわずか2週間あまりで、移駐を見送る方針を決めた。
5年以内の運用停止は、昨年12月の沖縄政策協議会で知事が唐突に安倍晋三首相に要請した。その後会談で首相は「危険性除去が極めて重要という認識を共有している」と述べたが、口頭での「口約束」である。
江渡聡徳防衛相は9日の会見で「5年以内」の起点についてさえ「まだ決まっていない」と述べた。曖昧にしておくことで責任回避を図る狙いがあるなら、知事と首相の「約束」は空手形になる可能性がある。
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仲井真知事は埋め立て承認以前、「辺野古に固執するのではなく、もっと早く現実的に移設できる県外の場所を探すべきだ」と主張していた。
むろん「5年以内の運用停止」が実現するならいい。だが、それは同時に普天間の運用停止の手段として辺野古移設以外の選択肢を見いだせるということだ。
そうなれば、知事がかつて述べていたように、辺野古移設に固執する根拠はなくなるはずだ。次世代にまで負担を負わせる新基地を建設せずに普天間返還を実現することこそ「目に見える形の負担軽減」である。
名護市議選 基地移設反対の民意は重い(2014年9月10日配信『愛媛新聞』−「社説」)
米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設が最大の争点になった名護市議選で、反対派16人が当選し過半数を獲得した。
明快な民意である。移設の代償として国が地域振興を訴えてもなお、名護市民は安全で美しい古里を選択した。埋め立て作業を進める国はこの結果を重く受け止め、あらためて県内移設の見直しを検討しなければならない。
県内移設反対の結果は、1月の名護市長選に続く意思表示だ。稲嶺進市長は「新しい基地を造らせないと政府に信念を持って訴えたい」と述べた。11月の知事選へも、大きな影響を与えそうだ。
容認に転じた仲井真弘多知事は「名護市だけが沖縄ではない」と強弁する。沖縄全体の負担軽減を求めてきた知事として考えられない発言だ。一地方都市の問題として矮小(わいしょう)化することは許されない。
むろん普天間の固定化があってはならないが、ここまで事態が行き詰まった責任は県外や国外への移転を模索しなかった政府にある。地元の理解を得ないまま県内移設を進めてきた手法自体に、今回も市民はノーを突きつけた。
国には、直ちにボーリング調査の中止を求めたい。その上で対米追従をあらため、最優先の「国内問題」として、勇気を持って米国に県内移設の困難さを伝えるべきだ。
安倍政権は、市議選の結果に左右されず、移設作業を進めるという強気の構えを見せている。民主主義国家の指導者の姿勢とは思えない。民意を無視するたび、沖縄の反発が強まるのは必至だ。
加えて政府に求めたいのは「基地受け入れの対価としての地域振興」という方針の放棄だ。内閣府は2015年度の概算要求で、14年度比293億円増の沖縄振興費3794億円を計上。先月は、辺野古工事を地元業者が受注しやすいシステムを導入した。
確かに容認派を支持した有権者の声は「名護市には雇用がない」「少しでも経済がうるおえば」と切実だ。沖縄経済は本土に比べて立ち遅れている。背景には戦後、米軍基地の島として捨て石にされてきた歴史があるからだ。
だから政府には、無条件で沖縄振興に務める義務があるはずだ。もういいかげん、地域振興とセットで基地を押しつけるという卑劣な手法をやめなければなるまい。
いま米国は、巨額な軍事費抑制のための米軍再編のさなかにある。低コストでの抑止力維持を目的に、世界に展開する駐留部隊の見直しや削減を進めているのだ。むろん在日の基地も含まれており、在沖縄米軍を再配置、縮小する大きな機会でもある。
沖縄の負担軽減のチャンスを、日本政府がどう生かすかも問われていよう。
名護市議選の審判 新基地反対の民意無視許すな(2014年9月10日配信しんぶん新聞赤旗』−「主張」)
沖縄県名護市議選(7日投開票)で、米軍新基地建設に反対する稲嶺進市長を支持する与党が、定数27議席中14議席の過半数を獲得し勝利しました。2010年の名護市長選と市議選、今年1月の市長選に続く勝利であり、名護市民は四たび新基地反対の揺るがぬ意思を鮮明にしました。ところが、菅義偉官房長官は、市議選で示された民意を真っ向から否定し、「辺野古(へのこ)移設については淡々と進めていきたい」と述べ、新基地建設強行の考えを改めて表明しました。民主主義国家を標榜(ひょうぼう)するのであれば、絶対に許されない態度です。
あまりにも異常な菅長官
今回の市議選の結果を受けた菅氏の記者会見(8日)は、あまりにも異常でした。
記者から、市議選では新基地反対の意思が示されたとして「地元の民意を尊重する必要性はあると思うか」と問われた菅氏は「その一点だけの結果ではない。それぞれの候補者がさまざまな政策を掲げてたたかった結果だ」と述べ、新基地反対の民意が直接示されたわけではないという、驚くべき認識を明らかにしました。
さらに、11月の沖縄県知事選についても「辺野古への移設の是非は直接的には関係しないということになるのか」と問われて、菅氏は「そう思っている」と断言し、「昨年暮れに仲井真弘多(なかいまひろかず)知事から(新基地建設のための)埋め立て承認を受けたので、粛々とそこは進めていくという立場に変わりはない」と強調しました。
選挙でどんな結果が出ても、新基地反対の声だけは否定するという名護市民、沖縄県民を愚弄(ぐろう)した態度です。
仲井真知事の態度も同様です。
市議選の結果について仲井真氏は「判断の仕方はいろいろある」と述べ、新基地反対の意思が示されたことを否定しました。11月の知事選への影響についても「他の市町村(の選挙)を見たら、私の政策に賛成する方向の方が多いと思う。名護だけで沖縄ではありませんから」と述べました(8日)。
しかし、沖縄の地元紙・琉球新報のアンケート調査によると、7日に投開票された名護市議選を含む沖縄いっせい地方選の当選者のうち過半数の208人(約54%)が辺野古への新基地建設に反対しています。容認は46人(約12%)にすぎません。今や新基地反対の声は党派の違いを超えて、名護だけでなく沖縄全体に広がっています。
安倍政権が今、県民の抗議行動を力ずくで締め出し新基地建設のためのボーリング(掘削)調査を強行しているのも、市議選で示された民意を故意に無視しようとしているのも、焦りの表れであり、新基地反対の県民を諦めさせようとする卑劣な戦術です。
知事選にかならず勝利を
今回の市議選の結果を受け稲嶺名護市長は「辺野古の海にも陸にも新しい基地は造らせない」との決意を改めて表明し、新基地建設に必要な許認可権の行使についても「名護市民の民意を反映する形で臨んでいきたい」と強調しました。新基地建設は決して「淡々」と進むわけではないし、進ませてはなりません。そのためにも、県知事選で新基地反対の「オール沖縄」の声を総結集し、勝利することです。今回のいっせい地方選で躍進させていただいた日本共産党はその先頭に立つ決意です。
名護市議選 直近の民意を重んじよ(2014年9月9日配信『北海道新聞』−「社説」)
沖縄県名護市議選は、日米合意に基づき宜野湾市の米軍普天間飛行場を名護市辺野古に移設する政府方針への賛否が焦点となった。定数27で争われた結果、反対派16人が当選。容認派11人を上回り、過半数を維持した。
今年1月の同市長選では、移設に反対する稲嶺進市長が再選された。あらためて反対の民意が示された形だが、政府は選挙結果とは関係なく移設計画を進める方針だ。
「普天間飛行場の固定化は避けねばならない」(菅義偉官房長官)というのが大義名分。改選前の議席は反対派17人、容認派10人で、両派の差が縮まったことに、辺野古沖の埋め立てを認めた仲井真弘多知事は「判断の仕方はいろいろある」と述べた。あながち反対とばかりも解釈できないとの見立てだ。
地元の民意を背にする知事の発言には、相応の重みがある。どこかで意識の変化を感じているのかもしれない。
だが市議選の結果が直接的に示す市民の意思は、依然として「移設反対」。少なくとも地域を分断する状況をそのままに、2期目当選時の公約を翻して県内移設に突っ走るかに見える姿勢には疑問を感じざるを得ない。
11月には知事選を控え、辺野古移設反対の立場で翁長雄志那覇市長が出馬表明。激戦が予想される中で、菅官房長官が会見で「基地問題は争点にならない」との認識を示したのもふに落ちない。知事と政府が、そろって選挙結果に民意を見ないとすれば、地方軽視という点で事は沖縄だけの問題にとどまるまい。
普天間飛行場は、人口9万人余の宜野湾市のど真ん中にあって市域の4分の1を占める。米側も「世界一危険」と認める同飛行場の返還は1996年に日米が合意したが、辺野古への巨大基地建設を条件としたため難航。この間、在日米軍を取り巻く情勢は刻々と変化している。
両政府は2012年、それまでの方針を転換して辺野古移設と在沖縄海兵隊のグアム移転を切り離した。これにより地上部隊の大半が国外へ移動。軍用機と地上部隊、訓練場が近接してこそ海兵隊は機能する−との三位一体論が崩れ、普天間の必要性そのものに疑問符が付いたものだ。
さらに今夏、安倍政権が集団的自衛権行使容認を閣議決定したことは、在日米軍の位置付けという観点からも議論されていいだろう。限定容認を目指す政府に対し、全面容認を持論とする石破茂地方創生担当相は、一方で在日米軍基地縮小論者だという。
沖縄の基地負担軽減と辺野古埋め立て。地域と国の未来を左右する問題で、ごり押しはあるまい。知事と政府はもっと口を開くべきだ。
「沖縄は日本の心」(2014年9月10日配信『しんぶん赤旗』―「潮流」)
「沖縄は日本の心」。先日亡くなった米倉斉加年(まさかね)さんが、よく口にしていました。私たちは沖縄で本当の日本人の心を検証しなければならない。苦悩する沖縄は、私たちの日常の苦悩なのだと
▼先の大戦で弟を栄養失調で亡くした米倉さんは、沖縄の現状にいつも心を寄せていました。「ふるさとの中にこそ祖国はある。人間を拒否する国家は祖国ではない。沖縄はそれを私に教えてくれた」(『いま、普通に生きる』)
▼沖縄の戦後は米軍基地との闘争の歴史です。昔は銃剣とブルドーザーによって、今は権力総がかりで、基地反対の運動は弾圧されつづけてきました。しかし、沖縄の心は折れません。それを示したのが今回の選挙結果でした
▼名護市では辺野古(へのこ)への新基地建設反対を貫く稲嶺市政を支える与党が過半数を守りました。野党の激しい切り崩しのなかで全体としても2000票の差をつけ、地元紙も「民意はまたも示された。辺野古断念は理の当然だ」と報じました
▼日本共産党も躍進。名護で新人がトップ当選。東村(ひがしそん)では米軍ヘリパッド反対の闘士、伊佐真次さんが村議会初の党議席を獲得しました。応援に入った赤嶺衆院議員は「基地反対でぶれない共産党に、これまでにない支持が寄せられている」
▼8日夜、東京で開かれた「沖縄との連帯の夕べ」。壇上からの訴えに共感の声をあげる会場。市町村議選の結果を喜び合い、次は知事選勝利の決意がふつふつと。ウチナーを、日本を変えるオール沖縄のたたかいはつづきます。
名護市議選 直近の民意を重んじよ(2014年9月9日配信『岩手日報』−「論説」)
沖縄県名護市議選は、日米合意に基づき宜野湾市の米軍普天間飛行場を名護市辺野古に移設する政府方針への賛否が焦点となった。定数27で争われた結果、反対派16人が当選。容認派11人を上回り、過半数を維持した。
今年1月の同市長選では、移設に反対する稲嶺進市長が再選された。あらためて反対の民意が示された形だが、政府は選挙結果とは関係なく移設計画を進める方針だ。
「普天間飛行場の固定化は避けねばならない」(菅義偉官房長官)というのが大義名分。改選前の議席は反対派17人、容認派10人で、両派の差が縮まったことに、辺野古沖の埋め立てを認めた仲井真弘多知事は「判断の仕方はいろいろある」と述べた。あながち反対とばかりも解釈できないとの見立てだ。
地元の民意を背にする知事の発言には、相応の重みがある。どこかで意識の変化を感じているのかもしれない。
だが市議選の結果が直接的に示す市民の意思は、依然として「移設反対」。少なくとも地域を分断する状況をそのままに、2期目当選時の公約を翻して県内移設に突っ走るかに見える姿勢には疑問を感じざるを得ない。
11月には知事選を控え、辺野古移設反対の立場で翁長雄志那覇市長が出馬表明。激戦が予想される中で、菅官房長官が会見で「基地問題は争点にならない」との認識を示したのもふに落ちない。知事と政府が、そろって選挙結果に民意を見ないとすれば、地方軽視という点で事は沖縄だけの問題にとどまるまい。
普天間飛行場は、人口9万人余の宜野湾市のど真ん中にあって市域の4分の1を占める。米側も「世界一危険」と認める同飛行場の返還は1996年に日米が合意したが、辺野古への巨大基地建設を条件としたため難航。この間、在日米軍を取り巻く情勢は刻々と変化している。
両政府は2012年、それまでの方針を転換して辺野古移設と在沖縄海兵隊のグアム移転を切り離した。これにより地上部隊の大半が国外へ移動。軍用機と地上部隊、訓練場が近接してこそ海兵隊は機能する−との三位一体論が崩れ、普天間の必要性そのものに疑問符が付いたものだ。
さらに今夏、安倍政権が集団的自衛権行使容認を閣議決定したことは、在日米軍の位置付けという観点からも議論されていいだろう。限定容認を目指す政府に対し、全面容認を持論とする石破茂地方創生担当相は、一方で在日米軍基地縮小論者だという。
沖縄の基地負担軽減と辺野古埋め立て。地域と国の未来を左右する問題で、ごり押しはあるまい。知事と政府はもっと口を開くべきだ。
名護市議選 移設反対の民意が再び(2014年9月9日配信『信濃毎日新聞』−「社説」)
沖縄県の名護市議選は、米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古への移設に反対する民意をあらためて示す形になった。政府は、強引な進め方を改めるべきだ。
定数27の市議選で、反対派は16人、容認派は11人が当選した。改選前は17人と10人だった。容認派が1議席増やしたものの、反対派が過半数を占める図式は変わらない。1月の市長選で、移設反対の現職が再選されたのに続く市民の意思表示だ。
辺野古沖では、沖縄防衛局が埋め立て工事に向けた海底ボーリング調査を先月から進めている。立ち入り禁止の区域をブイなどで明示し、反対派住民らの抗議活動を封じ込めての作業だ。区域内に入れば、日米地位協定に伴う刑事特別法の処罰対象になる。
11月に沖縄県知事選を控え、政府としては移設を既成事実化したいのだろう。先の内閣改造では沖縄基地負担軽減担当を設け、菅義偉官房長官の兼務とした。移設推進の強い意思を感じさせる。市議選後、菅氏は「淡々と進めていきたい」と述べている。
政府はボーリング調査の結果を基に、早ければ秋にも設計を済ませ、来年以降に埋め立てに着手する考えだ。海底の岩石を掘削する作業についても先月下旬に県から許可を受け、本格的な工事に入れる環境を整えている。
県民の反発は根強い。海上では小型船やカヌーでの抗議活動が続く。移設予定地に隣接する米軍キャンプ・シュワブのゲート前でも市民らが反対を訴えている。大規模な集会も開かれた。
沖縄県議会は先週、抗議の意見書を賛成多数で可決した。「民主主義をじゅうりんし、県民の尊厳を踏みにじっており到底容認できない」として移設計画の中止や抗議行動への過剰な警備をやめることを求めている。政府はこうした声に耳を傾けるべきだ。
ここに来て防衛局が埋め立て工事の方法の一部変更を県に申請したことは見過ごせない。名護市側の権限が及ぶ区域での作業を避ける形に変える。市長と協議しなくて済むようになる。民意を顧みずごり押しすれば、地元との亀裂を深めるだけだ。
沖縄振興についても指摘しておきたい。内閣府は来年度予算の概算要求で、14年度比293億円増の3794億円の振興費を計上した。地域振興や雇用の拡大は、移設問題と切り離して取り組むべき課題だ。金で懐柔するようなことがあってはならない。
名護市議選―地域の意思、尊重せよ(2014年9月9日配信『朝日新聞』−「社説」)
米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設予定地、名護市で7日にあった市議選で、移設反対の現市長派が定数27の過半数14議席を占めた。
市長派ではないが移設反対の公明も含めると、反対派は16議席。2010年に稲嶺進市長が初当選して以降、市長選、市議選で2回ずつ、移設反対派が勝ち続けており、地元の意思が改めて確認されたと言える。
市議会は、仲井真弘多(ひろかず)知事の埋め立て承認に抗議する意見書を出すなど、稲嶺市長を支えてきた。今後も市長と市議会が移設に反対する構図が続く。
これに対し、菅官房長官はきのうさっそく「辺野古移設については、淡々と進めていきたい」と記者会見で述べた。
辺野古移設が最大の争点となる11月の知事選への影響を避けつつ、地元の意思は無視して移設事業を進める考えのようだ。
実際、沖縄県議会や那覇市議会が工事中止などの意見書を出しても、海底ボーリング調査は厳重な警備のなか続いている。
さらに今月に入って防衛省は、埋め立て工事の設計変更を県に届け出た。市との協議が必要な川の切り替えや土砂運搬方法を変更し、協議なしでも工事を進められるようにする狙いがあるとみられている。
今回の内閣改造で菅官房長官が新設の沖縄基地負担軽減担当を兼務したことについて、稲嶺市長は「沖縄にしっかりと説明して理解してもらうと、耳にたこができるほど聞いてきたが、言っていることとやっていることが全く相反する」と、にべもなかった。
反対派の説得も説明も飛び越して、菅氏は相変わらず「普天間飛行場の危険性除去や米軍の抑止力を考えたときに、(辺野古移設が)唯一有効な解決策である」と繰り返すだけだ。
地元では「基地負担軽減担当ではなく、基地押しつけ担当だ」という声さえ聞く。
辺野古への移設が本当に「唯一有効な解決策」なのか。日米間の約束とはいえ、突き詰めて導き出された結論なのだろうか。政府は立ち止まって再検討する必要がある。
たとえば、中国などのミサイル技術が向上しているのに、米軍基地を沖縄に集中させて軍事上、問題はないのか。政府が本土移設に真剣に取り組まないのは、政治的な混乱を新たにつくりたくないだけではないのか。
沖縄だけに過度な基地負担を強いるべきではない。政府が沖縄との対立を深め、地域の恨みを買えば、肝心の安全保障の足元がふらつく。
「辺野古」の賛否 移設反対の民意は重い(2014年9月9日配信『京都新聞』−「社説」)
直近の民意も、辺野古への移設はやはり「ノー」だった。
沖縄県の米軍普天間飛行場移設の賛否が焦点だった名護市議選で、移設反対派が過半数を制した。
受け入れ先の同市辺野古沖で埋め立てに向けた海底ボーリング調査が進む中、反対派の稲嶺進市長が再選を果たした1月の市長選に続く拒否の意思表示である。
定数27の議席を争い、反対派は改選前より1議席減らしたとはいえ、稲嶺市政に中立な立場の公明党2人を含め16人が当選した。
名護市民は2010年の市長選と市議選も併せ、繰り返し辺野古移設を拒む意思を表してきた。移設を進める安倍政権の姿勢に、あらためて反対の民意が鮮明に示された事実を重く受け止めたい。
安倍政権は強引とも映る手法で辺野古移設を進めてきた。昨年末に基地負担軽減策や沖縄振興策を示し、仲井真弘多(なかいまひろかず)県知事から埋め立て承認を取り付け、先月18日に辺野古沿岸部のボーリング調査に着手。早急に新基地建設の埋め立て工事に取りかかる方針だ。
11月実施の知事選の前に既成事実を積み上げ、反対論を封じ込めようとの思惑が透けて見える。
市議選の結果について、仲井真知事は「判断の仕方はいろいろある」と語り、移設反対が民意であるとの見方を否定した。でも、そうだろうか。地元の理解が得られていないことは明らかだ。
知事選は、仲井真知事に対抗し、辺野古移設に反対する翁長雄志(おながたけし)那覇市長らが出馬する見通しで、移設問題は最大の争点になる。
「世界一危険」とされる普天間飛行場の固定化は許されない。だが、辺野古への移設以外の選択肢はあり得ないのか。来る知事選では県外移設や国外移設も含め、沖縄が真に望む負担軽減の道を探る活発な論戦を期待したい。
多くの米軍施設を抱える沖縄の現実や日米安保のあり方は、私たち自身が共有すべき問題でもある。辺野古移設や知事選の展開に最大限の関心を寄せたい。
安倍政権は選挙結果と連動させず、辺野古移設は「淡々と進めていきたい」(菅義偉官房長官)との意向だ。移設が進まなければ米国の信頼を失うとの危機感があるのだろうが、地元の合意抜きに計画をごり押しすれば混乱を招く。
安倍政権はいま一度、移設作業の手法や内容自体に問題はないか、見直す必要がある。少なくとも沖縄県民の意思を見極める知事選が済むまで辺野古移設に向けた一切の作業を中止すべきだろう。
【名護市議選】再び移設反対の重い民意(2014年9月9日配信『高知新聞』−「社説」)
米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設問題が大きな焦点となった名護市議選(定数27)で、反対派の16人が当選した。
反対派は改選前より1議席減らしたものの、過半数は維持した。この1月の市長選でも移設反対の稲嶺市長が再選され、民意は繰り返し「反対」を示したことになる。
政府は、再び示されたこの名護市民の意思を重く受け止めるべきだ。しかし、辺野古容認の立場の仲井真知事や政府は、こうした民意を無視し続けている。
昨年末に知事が辺野古沿岸部の埋め立てを承認した後、政府は移設手続きを加速させた。住民らの反対デモを押し切る格好で、先月からは地盤の強度や地質を調べる海底ボーリングを始めている。
さまざまに迷走してきた移設問題だが、住民は計画を強引に進める政府の姿勢に最も反発してきた。ボーリングも海上に急に立ち入り禁止区域を設けて作業を強行するなど、その姿勢は全く変わっていない。
今回の市議選でも民意を軽視するような言動が目立つ。
菅官房長官は選挙結果について、普天間の固定化を避けるため「移設は淡々と進める」とした。確かに普天間の危険性除去は進めるべきだが、市民が再び示した民意への配慮が感じられない言葉だ。
仲井真知事もしかりだ。容認派が1議席増えたことについて「判断の仕方はいろいろある」と述べた。「辺野古反対」という民意を否定したとも受け取られかねない発言だ。
知事は反対派の反発を恐れてか、選挙運動期間中の名護市入りを見送っている。辺野古が将来どうなるのか、説明すべきだったのに、住民と対話する機会を自ら捨ててしまった。
地元の琉球新報社などの世論調査では、県民の約8割が移設作業の中止を求めている。昨年末、急に移設容認に方針変更した知事の対応への批判が根強く、選挙結果に加えてこういう意見にこそ知事や政府は敏感に反応すべきだろう。
11月には県知事選が控えている。政府は来年度予算の概算要求で本年度を上回る沖縄振興費を計上した。予算で沖縄を重視している姿勢を示しても、民意を顧みなければ、おのずと結果は出るのではないか。
名護市議選 辺野古「反対」の民意再び(2014年9月10日配信『熊本日日新聞』−「社説」)
安倍晋三首相は、今回の選挙結果をどう受け止めただろうか。11月16日投開票の沖縄県知事選の行方を占うとして注目された名護市議選は、米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古移設に反対する議員が過半数を占めた。1月の名護市長選に続き、反対の民意が再び示された形となった。
定数27に対して、反対派19人、容認派16人が立候補。反対派が16人、容認派が11人当選した。選挙戦では名護市の稲嶺進市長はもちろん、知事選に出馬する意向の翁長雄志[おながたけし]那覇市長も反対派候補の応援に駆け回った。辺野古移設反対の旗の下、元自民党県連幹事長の翁長氏と、沖縄社会大衆・共産・社民・生活4党の推薦も得て再選した稲嶺氏という、保守、革新の枠を超えた勢力が結集した。
翁長氏陣営にとっては、今後の知事選に向けた態勢構築に弾みがついたといえる。同陣営には自民党を除名された那覇市議のほか、県議会の社民、共産両党などの議員が支援する考えを伝えており、名護市議選同様に“保革同舟”となるだろう。従来の知事選では激しくしのぎを削ってきた両陣営だけに、辺野古反対という一点での集合はもろさも抱えているが、今回の名護市議選の結果で、その結束は強まったのではないか。
一方、辺野古移設容認を訴えて3選を目指す仲井真弘多[なかいまひろかず]知事は、厳しい状況に追い込まれた。知事は名護市議選では現地入りを見送り、移設問題が自らに波及することを避けた。だが、知事選でも移設問題を語らず、地域振興や雇用拡大などの経済政策ばかりを訴えて、果たして県民の理解を得ることができるだろうか。
早期移設を進める安倍政権にとっても逆風であることは間違いない。知事が昨年末に辺野古沿岸部の埋め立てを承認して以降、政府は移設に向けた手続きを加速。今年8月には地盤の強度や地質を調べる海底ボーリング調査に着手した。その一方で、2015年度予算の概算要求では、沖縄振興費に前年度比約300億円増の約3800億円を計上。基地負担軽減とセットで沖縄重視の姿勢をアピールしている。
自民党幹部は「日本の安全保障と、普天間周辺住民の安全確保のためにも移設は実現しなければならない」と強調する。「国の安全保障の在り方が、一地方選挙の結果に左右されてはならない」という主張も分からないではない。だが、名護市長選、名護市議選に続き、知事選でも仮に敗北することになれば、辺野古移設強行に「ノー」を突きつける地元の民意は決定的となろう。移設計画が停滞する可能性は否定できない。
ただ、この問題は「一地方選挙の話」でも「遠い沖縄の出来事」でもなく、「政府の問題」として済まされる事柄でもない。根底には沖縄への米軍基地の過度な集中がある。日米安保の枠組みを前提とするなら、解決策は在沖米軍基地の県外への移転や訓練分散などによる負担軽減しかあるまい。国民全体の姿勢も問われている。
[統一地方選を読む]せめぎ合う二つの潮流(2014年9月9日配信『沖縄タイムス』−「社説」)
24市町村で一斉に実施された議会議員選挙の結果から読み取れるのは、新基地建設反対の強固な意思と、保守化の流れだ。
名護市議選(定数27)では、米軍普天間飛行場の辺野古移設に反対する稲嶺進市長を支える候補14人が当選し、議会の過半数を守った。市政には是々非々だが移設に反対する公明の2人を加えると、反対派は16人に増える。
2010年の市長選と市議選、今年1月の市長選に続く、政治的には極めて重い民意である。
一方、宜野湾市(定数26)では、定数が減る中、保守系与党候補が改選前と同じ15議席を確保し、佐喜真市政の基盤を固めた。那覇市に次ぐ大票田の沖縄市(定数30)は、4月に市政を奪還した桑江朝千夫市長を支える与党が改選前と同じ過半数を維持。石垣市(定数22)は、3月に再選された中山義隆市長を支持する与党が1議席増やして14議席の多数を確保した。
従来の保革の枠組みを超えた「基地ノー」の大きなうねりと、保守化の流れが統一地方選挙で同時に顕在化したのである。11月の県知事選に向けて双方のせめぎ合いは激しさを増しそうだ。
今のところ県知事選に立候補を予定しているのは、仲井真弘多知事、翁長雄志那覇市長、下地幹郎元郵政民営化担当相の3人。
仲井真知事の側は7日、会議を開き、41全市町村に支部を立ち上げようと動きだした。政権党を後ろ盾に組織的な強みを発揮し、先行している。
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知事選の最大の争点はもちろん辺野古移設問題だ。
名護市議選では「もう済んだこと」との声が一部の市民から聞かれた。それは辺野古の海で政府が強行するボーリング調査によって移設の既成事実化を進める動きと関係する。「反対してもどうにもならない」との空気を意図的に醸成しようとしている。
争点はもう一つある。
「県外移設」を掲げ再選を果たした仲井真知事は、「辺野古に固執するのではなく、現実的に移設できる県外を探すべきだ」という趣旨の発言を繰り返してきた。それがある日突然、安倍晋三首相との会談を受けて埋め立てを承認。その後知事は、これまで言ってきたことを変えて、辺野古移設が「最短の方向」だと言うようになった。
重大な問題の決定過程で説明責任を果たさなかった知事の姿勢を不問にすれば、民主主義は崩れる。
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統一地方選後に知事選対応を決めるとしていた公明党の対応を注視したい。
公明党県本部は昨年12月、普天間飛行場移設問題に関する提言書をまとめ、仲井真知事に提出した。過重な基地負担を「差別」と言い切り、「県外移設」を求める内容だ。
名護市長選で示された民意は、提言の内容を肉付けするもので、ためらう余地はない。
自公連立の枠組みを重視し辺野古容認の仲井真知事の側に回れば、結果として県民をあざむくことになる。
これ以上政治不信を広げてはならない。
先週から今週にかけて、寝不足が続いている(2014年9月9日配信『沖縄タイムス』−「大弦小弦」)
先週から今週にかけて、寝不足が続いている。二つの「戦い」を見るためだ。一つはスポーツ。この朝刊が各家庭に届くころの9日午前6時から、テニスの全米オープン決勝が米国ニューヨークで行われる
▼頂上決戦のセンターコートに、日本代表の錦織圭が立つ。世界ランク1位のノバク・ジョコビッチを先日の準決勝で3−1で倒し、日本人初の決勝進出。まさかの快進撃は久しぶりに胸躍るニュースだ
▼準決勝は午前1時開始だった。テレビの前で待ち構えたが寝入ってしまい、ほぞをかんだ。全英、全仏、全豪、全米の世界四大大会(グランドスラム)の初優勝まであと一つ。決勝はきっちり早起きせねば
▼強く速い攻撃力に加え、逆境には耐え、時に駆け引きしながら勝利を引き寄せる戦略は見事。しかし、どんな試合巧者も、最後まで、どうなるか分からないのが勝負事だろう
▼先日の統一地方選挙は、名護市議会で新基地建設に反対する稲嶺進市長を支える議員が過半数を占めた。大勢判明が日付をまたぎヤキモキしたが、埋め立てへの不信があらためて示され、11月の知事選へともつれ込む
▼真剣勝負の末に導かれた答えには、それなりの根拠と責任がある。結果を今後にどうつなげ、いかに生かすかで、その価値は一層、輝くだろう。何はともあれ、頑張れ、錦織選手。
統一地方選 公約実現し沖縄の未来開け(2014年9月9日配信『琉球新報』−「社説」)
ことし最大の政治決戦である11月16日の県知事選挙の前哨戦に位置付けられる統一地方選は、27市町村の議員選挙で382議席が決まった。
今回は、米軍普天間飛行場の名護市辺野古沖への移設に向けた国の埋め立て申請を仲井真弘多知事が承認して以来、初めて迎えた統一地方選だった。
仲井真知事が県外移設公約を覆す形で埋め立てを承認したことによって、沖縄に根を張る政治家の公約の重みがかつてなかったほど厳しく問われている。
県内移設の是非や沖縄の未来のあるべき姿をめぐる議論が高まり、沖縄は歴史的な岐路に立っている。当選者には、沖縄と地域の針路を見誤ってはならない重い責務が課されている。まず、その自覚を深めてもらいたい。
琉球新報の立候補者アンケートによると、全当選者のうち208人(54%)が名護市辺野古への移設に反対し、県外・国外移設や無条件閉鎖を求めている。辺野古移設は46人(12%)にとどまる。
一方、仲井真知事の県政運営に対し、「評価しない」は160人(42%)で「評価する」の143人(37%)を上回った。
選挙は民意を映す鏡である。
稲嶺進市長を支える与党が単独過半数を守った名護市議選結果と符節を合わせるように、沖縄の直近の民意も県内移設ノーで底堅さを増していることを裏付けている。
安倍政権は強引な移設作業を直ちにやめるべきだ。
当選者には、自らに託された1票と、有権者との約束であり、政治家の命に等しい公約の重みを胸に刻み、その実現に不退転の決意で臨んでもらいたい。
全国最下位の県民所得の下、県内市町村には経済活性化、生活困窮者の救済、徐々に押し寄せつつある少子高齢化への対応など、厳しい課題が幾重にも横たわる。
財政難の克服は喫緊の課題だ。社会保障費などの住民生活を支える財政需要と経費の圧縮を両立させた適切な行財政運営が求められている。
当選者は日々の研鑽(けんさん)を怠らず、打ち出した政策の実現に向け粉骨砕身努めるべきだ。
有権者の声を真摯(しんし)に受け止め、地方自治や行財政をめぐる最新情報に神経を研ぎ澄まし、地域主権の担い手としてわが街の未来像を冗舌に語れる議員であってほしい。
名護市議選 民意はまたも示された 辺野古断念は理の当然だ(2014年9月8日配信『琉球新報』−「社説」)
民意はまたも示された。いったい何度示せば、政府は民意に従うのだろう。
2014年統一地方選の焦点で、全国的にも注目を集めていた名護市議会議員選挙は、米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設に反対する稲嶺進市長を支持する与党が、議席数で野党を上回った。
ことし1月の名護市長選で、政府や知事、自民党県連が総力を挙げて支援した候補は落選し、稲嶺氏が当選した。2010年の市長選、市議選も含めると再三再四、移設拒否という地元名護の民意は示されているのだ。民主主義国家を標榜(ひょうぼう)するのなら、日米両政府は辺野古移設を断念すべきだ。
幼児的心性
名護市議会は議席数27。与党は14議席を獲得し、野党は11議席だ。中立的立場の公明2議席も移設には反対だから、それを加えると移設反対はさらに多数となる。
もし今回、野党が過半数を占めていたら、政府は躍起になって「名護市民の本音は移設受け入れだ」と言いはやしたはずだ。それを移設強行の論拠にしたであろうことは、想像に難くない。
それなら今回、逆の結果が出たのだから、政府は「市民の民意は移設反対だ」と言明すべきだ。移設作業を中断するのが筋であろう。しかし政府は移設強行の姿勢をあくまで続ける構えだ。論理性はみじんもない。
ことし1月の名護市長選で稲嶺氏は「自然と未来の子どもを守るためにも、辺野古に新しい基地は造らせない」と訴えた。市民はその決意を信じ、自らや子孫の将来を託した。本来ならその時点で政府は新基地建設を断念すべきだ。
例えばじゃんけんをするとする。幼児は往々にして、自分が勝つまで執拗(しつよう)に繰り返すよう求めるものだ。
自分の見たいものだけを見て、自分が見たくないものには目をふさぐ。見たい選挙結果が出るまで、何度でも執拗に繰り返しを求める。辺野古移設をめぐる政府の態度は、そのような幼児的心性そのものだ。
仲井真弘多知事も埋め立て承認を撤回するのが筋ではないか。移設反対の候補の議席が容認候補を上回ったのだから、地元の民意を尊重するよう政府に求めるのが本来の知事の役割ではないか。
普天間飛行場を本島東海岸に移設するとした1996年の日米合意以来、実に18年も名護市民はこの移設問題に翻弄(ほんろう)されてきた。その間、政府による露骨な介入で市民は分断を余儀なくされた。市民の一体感を毀損(きそん)する介入が、街づくりにどれほど悪影響を及ぼしたことか。その意味でも過去の政府の分断行為は許されない。
国連勧告に逆行
政府・自民党の介入は、主として移設容認に資金的見返りを与えるというものであった。1月の市長選で、移設容認候補が当選したら500億円規模の基金を設置すると表明したのが典型だ。そうした露骨な利益誘導を、市民は堂々とはね返した。自らの尊厳を取り戻す誇り高い態度と言ってよい。
そもそも、辺野古新基地を使おうとする米海兵隊は、他国侵攻型の軍隊だ。その軍が米国外に、中でも専守防衛を旨とする日本に、大規模駐留するのが妥当なのか。
空軍、海軍、陸軍に加え海兵隊も一つの島に集中するのは危険過ぎる。ジョセフ・ナイ元米国防次官補代理が最近、「脆弱(ぜいじゃく)」という理由で日米同盟の構造を再考すべしと訴えたのはそういう意味だ。沖縄県内移設を断念し、プランB(代替案)を検討するのは、むしろ米国の利益にもかなっている。
辺野古新基地は滑走路が2本あり、強襲揚陸艦も接岸できる軍港機能も持つ。基地負担の軽減に逆行するのは歴然としている。
国連の人種差別撤廃委は8月末、沖縄の住民の民意尊重を勧告した。世論調査で8割に及ぶ反対の民意に背き、新基地建設を強行しようとする政府の姿勢は、その勧告にも明らかに反している。
基地負担軽減のうそ(2014年9月8日配信『琉球新報』−「金口木舌」)
「日本初に参加しよう」というキャッチフレーズに後押しされた。社会に出て間もなかったころ、沖縄の未来に希望を抱き投票所に足を運んだことを思い出す
▼県規模では全国初の県民投票が行われたのは1996年の9月8日だ。基地の整理縮小と日米地位協定の見直しに賛成が89・09%だった。米軍基地の重圧や負担に対し、沖縄県民が意思を初めて表明した歴史的な出来事だった
▼18年を経て現状はどうか。日米地位協定の見直しは以降も一度も行われていない。2013年4月に日米両政府が合意した嘉手納基地より南の米軍施設返還・統合が全て実現しても、県の米軍基地占有率は0・7ポイント下がるにすぎない
▼しかも、返還施設の大半は県内への移設などの条件付きだ。基地の整理縮小や負担軽減の実感には程遠い。沖縄県民の総意に耳を貸さない日米両政府の姿勢も何ら変わっていないといえる
▼基地負担軽減といえば、4日発足した第2次安倍改造内閣で菅義偉官房長官が新たにその冠を得た。県民の思いを無視し、名護市辺野古への新基地建設で旗振り役を務める菅氏が「基地負担軽減担当」とは片腹痛い。むしろ「基地押し付け担当」ではないか
▼県民は基地の整理縮小や負担軽減という言葉にはもう、だまされない。7日の県内統一地方選で370人の地方議員が誕生したが、県民の思いをくみ取る議員であってほしい。
[名護市議選]底堅い移設反対の民意(2014年9月8日配信『沖縄タイムス』−「社説」)
2014年統一地方選挙は7日、24市町村(5市6町13村)で一斉に議会議員選挙が行われ、竹富町を除く23市町村で即日開票された。
名護市辺野古への新基地建設に向けボーリング調査が進む名護市議選には、定数27に対し35人が立候補した。
市政与党は改選前の15議席から1議席を減らしたものの、辺野古反対派が引き続き過半数を確保した。
市議選で移設容認派は、辺野古推進にかじを切った仲井真弘多知事の名護入りを見送るなど、移設問題が争点になるのを極力避け、地域振興や雇用の拡大を訴えた。
市政野党は改選前の10議席から1議席伸ばした。
市政に対して中立の立場を取る公明党は現職2人がそろって当選した。
公明2候補は、辺野古移設については反対の姿勢を明確にしており、新しい市議会でも市政与党と公明を合わせた移設反対派が16議席を占めた。
10年の市長選、市議選、今年の市長選、市議選と4回とも地元名護市の民意は「辺野古反対」だった。野党候補に1票を投じた市民の中には「辺野古には反対」と言う人もおり、「辺野古反対」の民意が依然、底堅いことを示している。
政府は今回の市議選の結果にかかわらず辺野古移設を「粛々と進める」(菅義偉官房長官)と予防線を張っているが、引き続き強引な手法を進めれば、地元はもとより多くの県民の反発を招くのは必至だ。
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市町村議会は、それぞれが独自の課題を抱えている。地方選挙では、生活に密着した政策を前面に押し出し、地縁・血縁をフルに生かして有権者にアピールするのが普通だ。
今年の統一地方選も、その点では少しも変わらない。
4年前の前回選挙に比べ大きく変わったのは「県知事選の前哨戦」としての性格が濃厚だったことである。
現時点で県知事選への立候補を予定しているのは仲井真弘多知事、翁長雄志那覇市長、下地幹郎元郵政改革相の3人。
県知事選の結果が新基地建設に極めて大きな影響を与えること、実績豊富な保守系の有力3氏が立候補の意思を表明していることもあって、今回の統一地方選は、名護市以外でも、県知事選を意識した動きが目立った。
統一地方選がピークを越えたことで、県内政治はいよいよ知事選に向けた動きが本格化する。
■ ■
沖縄では、安倍政権誕生以来、住民意識に変化が起きている。
強引な新基地建設や、閣議決定による集団的自衛権の行使容認など、高年層を中心にかつてないほど戦争への危機感が高まっている。
その一方、復帰後生まれのネット世代の中には、高年層との意識の断絶も目立つようになった。
統一地方選のすべての結果を詳細に分析することで、知事選に向けた水面下の地殻変動が、どのような性質のものかが明らかになるだろう。