森友学園国有地売却関連記事No1No2関連論説

 

値引き根拠写真を開示 国交省 不鮮明「根拠にならない」民進 (2017年8月31日配信『東京新聞』)

 

写真森友学園問題で国交省が値引きの積算根拠とした現場の写真。穴にメジャーを差し込んだ写真(上の2枚)ではごみ埋設の様子が分かりづらい

 

学校法人「森友学園」に大阪府豊中市の国有地が大幅に値引きして売却された問題で、国土交通省は3日、国有地の値引きの積算根拠とした現場写真を開示した。これまで開示を拒んできたが、撮影した業者の了解が得られたとしている。この問題を調査する民進党チームの会合で示した。

 チームは写真が不鮮明なことなどから「値引きの根拠にならない」と指摘。国交省の担当者は取材に「写真だけでなく、その後現地に職員を派遣し、実際にごみが埋設されているのを確認した」と値引きの積算根拠は適正だったとしている。

 開示したのは、学園側が昨年3月11日、小学校建設予定地としていた国有地のくい打ち工事中に「ごみが出た」と申告した後、学校の設計業者側が同月下旬に建設予定地の八カ所で試掘し撮影した写真21枚。4月上旬に国交省大阪航空局の職員らが実際に現地の埋設状況を確かめたとされる。

 8カ所のうち深さ3・8メートルまでごみがあったとされるのは一カ所のみで、その地点の写真は3枚だけ。穴にメジャーを差し込んだ写真では穴の中の様子が暗く、ごみの埋設の位置や有無が分かりづらくなっている。ごみがあった層は3・8メートルとされるが、写真にある白板には「深さ3メートル」と記載され食い違っている。

 

森友学園のごみ撤去費「3.8億円高い」 弁護士ら試算(2017年8月31日配信『朝日新聞』)

 

 学校法人森友学園(大阪市)への国有地売却をめぐり、財務省職員らを背任容疑で告発した弁護士らが、値引きされた約8億2千万円のごみ撤去費用を、国の積算基準に基づいて改めて試算した結果、3億円以上安い約4億3500万円との結果が出た。専門家は「国の値引きは過大だ」と指摘。弁護士らは1日、結果を大阪地検特捜部に提出し、近畿財務局などを家宅捜索し、関係資料を押収するよう要請する。

 試算は、告発人の阪口徳雄弁護士(大阪弁護士会)らの依頼をうけ、1級建築士の平野憲司氏が実施。平野氏は大阪地裁などで建築関係の第三者鑑定を担ってきた。今回は、国土交通省大阪航空局が1万9520トンとしたごみが実際にあったとの前提で検討した。

 撤去工事にかかる費用は主に直接工事にかかった費用と、それに一定の比率をかけた間接工事費(現場管理費など)に分けられる。試算にあたり、公表されている国交省監修の「公共建築工事積算基準」や、民間の市場単価を用いた。

 平野氏によると、国の積算では直接工事費の内訳の一つである、撤去すべき産廃土の「処分費」で、市場単価より1・6倍高い単価が用いられていた。直接工事費全体では、今回の試算より約1億7500万円高かった。

 また、間接工事費の一つである「現場管理費」は、直接工事費などに一定の比率をかけて算出するが、その比率が、積算基準に基づいた今回の試算値よりも約4倍高く設定されていた。間接工事費全体で、国の積算は約1億4100万円高かった。

 平野氏による最終的な試算額は約4億3500万円で、国の積算はそれを約3億8400万円上回っている。

 平野氏は「国が設定した間接費の比率は高すぎ、意図的な水増しの疑いがある」と指摘する。国有地売却の経緯をめぐり、特捜部は背任容疑の告発を受理して捜査している。阪口弁護士は「大幅な値引きには根拠がなく、国側の職員に学園の利益を図る目的があったことは明らか。徹底的に調べてほしい」と話している。

 この試算について、国交省は「コメントする立場にない」としている。

 

「森友」事前協議音声か 民進チーム入手(2017年8月31日配信『東京新聞』)

 

 学校法人「森友学園」に大阪府豊中市の国有地が約8億円値引きされて売却された問題を調べる民進党チームは30日、財務省近畿財務局の担当者と学園側が売買契約を結ぶ前の昨年5月、価格の協議をしていたとうかがわせる音声データを入手したと明らかにした。

 先立つ昨年3月に財務局側が学園側に、買い取り可能な金額を尋ねていた疑いがあることが既に関係者への取材で判明。財務省の前理財局長の佐川宣寿(のぶひさ)国税庁長官は今年5月に国会で「あらかじめ価格について申し上げることはない」と答弁しているが、チームは「答弁は虚偽の可能性がある」と追及を強める考え。

 音声データなどによると、交渉があったのは昨年5月18日で、場所は学園運営の幼稚園。大阪府の補助金の詐取容疑などで大阪地検特捜部に再逮捕された前理事長の籠池泰典(かごいけやすのり)容疑者(64)と妻諄子(じゅんこ)容疑者(60)が出席したとされる。

 籠池氏が「ゼロ円に極めて近い形で払い下げをしてほしい」と申し入れ、財務局側はごみの撤去費として既に約1億3000万円の国費を支払っていると説明し「1億3000万円を下回る金額は提示できない」と回答。

 さらに「すごい損害や、こっちは」と難色を示す諄子氏に対し、財務局側は「ゼロに近い金額まで、できるだけ努力する作業をやっている」「だけど、1億3000万円を下回る金額にはならない」などと答えている。

 関係者によると、学園は国有地に関し財務局と定期借地契約を結んでいたが、昨年3月に購入を希望し同11日、国有地のくい打ち工事中に「ごみが出た」と申告。同24日、学園の当時の弁護士が財務局と売却を協議し、担当者が購入できる上限額を聞くと、学園側は1億6000万円を提示した。

 国はごみ撤去費などを約8億円と積算し、昨年6月、鑑定評価額の14%の1億3400万円で売却する契約を締結。10間の分割払いも実現した。

◆「森友」音声記録の要旨

 籠池泰典容疑者と妻の諄子容疑者が、近畿財務局担当者らと協議したことをうかがわせる音声データのやりとり要旨は次の通り。

 籠池氏 (国有地を)ゼロ円に極めて近い形で払い下げをしてほしい。

 担当者 やるだけやって(金額を)提示するだけ。

 籠池氏 1億3000万円うんぬんよりも、グーンと下げていかなあかんよ。

 担当者 国が有益費でお支払いした1億3000万円を下回る金額は提示できない。妥結点はない。

 諄子氏 園長、こないだのこと言って。入り口辺りから…。

 籠池氏 ダイオキシンが出たんよ。昨日。

 諄子氏 大量に。それを掘るのに何億とかかるらしい。そんな土地よく売るな、国が。

 籠池氏 普通、訴訟ごとになるでしょうよ。

 諄子氏 すごい損害や、こっちは。

 担当者 お話はいったん持ち帰るが…。理事長がおっしゃる、ゼロに近い金額まで努力する作業を今やっている。鑑定士に情報を提供しながら、評価してもらっているところ。

 諄子氏 もう園長、小学校やめよ。帰って。

 担当者ら 金額の話はもちろんあるけど、分割払いの話をしたことがあるかと思う。最初に2割入れて、10年で8割返すみたいなやり方も。

 籠池氏 10年で分割します、いうことやね。

 担当者 そこはシミュレーション。結構、劇的に月額の負担料は落ちていく。

 籠池氏 ダイオキシンのことな、すごく重要な問題。その分まで、もっと引いといてもらわな。

 担当者 私どもは6月の頭に価格提示させてもらうので、ご判断を。

 籠池氏 ま、でき得る限りの最善の形を出して。

 

◇在伊日本大使館赴任 FBに「驚き」「違和感」書き込みも(2017年8月23日配信『毎日新聞』)

 

 安倍晋三首相の妻昭恵氏付の政府職員だった経済産業省の谷査恵子氏が今月、在イタリア日本大使館の1等書記官に赴任した。学校法人「森友学園」に対する国有地売却問題への関与が十分に説明されない中での異動で、経産省内からも「不自然な人事だ」との指摘が出ている。

 「今回の異動は多くの職員が驚くとともに、違和感を持っている」。経産省職員らで作る「全経済産業労働組合」の飯塚盛康副委員長は16日、フェイスブックに記した。

 この異動について、世耕弘成経産相は15日の記者会見で、森友問題が浮上する前の1月末に「内々示」を出したと説明。「同期の2種(ノンキャリア)の職員も、既に3分の1程度は海外勤務を経験している」と通常の人事だと強調した。

 ただ、こうした説明に納得していない人もいる。谷氏が昭恵氏付を3年間務めた後に経産省に戻ったのは2016年1月だ。飯塚氏は「世耕氏の発言の通りなら、経産省に戻って1年くらいで大使館への赴任を決めていたことになる」と指摘。「経産省の人事異動サイクルは通常2〜3年。よほどの理由がない限り1年での異動はない」とした。

 谷氏は経産省の「クール・ジャパン海外戦略室」などで勤務。その後に内閣官房で昭恵氏付を担当した。問題の国有地売却に関し、財務省への照会結果を学園の籠池泰典前理事長にファクスで送ったことが問題視されたが、政府は「谷氏個人が作成したもの」(菅義偉官房長官)と説明。野党は参考人招致を要求したが、自民党が拒否していた。

 元駐イラン大使の孫崎享氏は「国内にいれば参考人招致などの形で国会に呼ばれる可能性があった。海外に逃がした人事ではないか」と指摘。飯塚氏も「首相夫人という『私人』が国家公務員に危ない橋を渡らせた。異動は論功行賞だろうが、政権による公務員の私物化の象徴だ」と批判した。

 

在イタリア大使館に“栄転” 谷査恵子氏の羨ましすぎる手当(2017年8月23日配信『日刊ゲンダイ』)

 

 森友学園問題で疑惑のカギを握る経産省の谷査恵子さんが、今月6日付で在イタリア大使館の1等書記官に“栄転”した。安倍昭恵夫人付の秘書官として真実を知り得る立場ながら、官邸の意向を忖度して無言を貫いたことへの論功行賞だろう。国家公務員のかがみともいえる人物だ。

 在ローマ大使館といえば、映画「ローマの休日」でオードリー・ヘプバーンがジェラートを食べたスペイン広場も徒歩圏内。独身の谷さんにとって、情熱的なイタリア男に囲まれながら、のんびりと“ローマの休日”を楽しめるに違いない。

 だが、谷さんには別のプレゼントも待っている。他省庁から在外公館に出向するケースは珍しくないが、職員には「在外公館に勤務する給与の法律」などに基づき、俸給(基本給)に加え、各種手当が支給されるのだ。その金額がスゴイ。

 「在外公館に勤務する職員には、勤務するのに必要な経費に充当するための手当が支給されます。これは他省庁からの出向者も同じです」(外務省人事課)

 では、谷さんはどれくらいの手当が支給されるのか? 現在の俸級は非公表だが、年齢と入省年次(1998年)、ノンキャリアの課長補佐クラスという役職を考慮し、彼女の俸級を「4号」と推測して計算してみた。在外公館の職員給与は高い順から「大使」「公使」「特号(参事官クラス)」ときて、書記官は「1号」から「9号」までランクがある。谷さんは上から7番目のランクだ。

 それによると、「在勤基本手当」だけで月額43万5800円。現地で生活水準を維持し、海外暮らしによる精神面の負担への補償も含まれる。当然、アフガニスタンへの赴任なら月63万4700円とイタリア勤務より多い。あまり行きたくはないが……。

 さらに、住居手当が上限1786ユーロ。現地通貨で支給されるもので、日本円に換算して月22万8500円。ローマでも相当セレブな住宅地に住めそうだ。

 結婚すれば配偶者手当として8万7160円(在勤基本手当の100分の20)。小学から高校に通う子がいれば、「子女教育手当」として1人8000円ももらえる。一応、戦争手当などもあるが、イタリアでは考えにくいので、これは考慮に入れなくていいだろう。

 つまり、彼女は在勤基本手当だけでも年間約520万円を貯金できるのだ。繰り返しで申し訳ないが、ベース給与(基本給)は別だ。国内勤務時の通勤手当や管理職手当はカットされるが、彼女の年齢なら年700万〜800万円は下るまい。

 帰国の際、トッティみたいなイケメンを伴侶にしていたらうれしい。

【イタリア大使館勤務・1党書記官の月額手当=俸給4号で計算】

 在勤基本手当 43万5800円

 住居手当   22万8500円

 配偶者手当  8万7160円

 子女教育手当 8000円(1人)

 

河野外相なぜ認めた 森友疑惑キーパーソンが海外“高飛び”(2017年8月15日配信『日刊ゲンダイ』)

 

 “忖度しない男”も牙を抜かれてしまったのか――。

 今月3日に行われた内閣改造で外務大臣に任命された河野太郎氏。自民党の原発推進政策に公然と異を唱え、南スーダンPKOの日報隠蔽問題も追及してきた。ところが、外相という「アメ」を与えられた途端、鳴りを潜めてしまったようだ。

 森友疑惑で“渦中の人”となった総理夫人付秘書官・谷査恵子氏の在イタリア日本大使館勤務という“栄転”を認めてしまった。谷氏は、経産省のノンキャリア官僚ながら安倍首相の妻・昭恵氏を秘書としてサポート。何より、大阪地検特捜部に詐欺容疑で逮捕された籠池泰典前理事長と財務省をつないだ「口利き役」という、疑惑のキーパーソンだ。

 外務省はそんな重要人物を出向先として迎え入れ、谷氏は晴れて6日付で1等書記官に着任した。これ以上、野党とマスコミが追及できないように、事実上、海外に逃がした形だ。なぜこんな人事がまかり通るのか。政治評論家の山口朝雄氏がこう言う。

 「常識的に考えれば、ノンキャリの官僚が在イタリア大使館へ栄転する人事はあり得ない。特別な人事を行うことで、政権に協力すれば褒美として出世させると官僚に見せつけたのも同然です。河野太郎氏も、外務大臣に“大栄転”したことで、官邸に歯向かえなくなっているのではないか。もともと、安倍首相が河野氏と野田聖子氏を入閣させたのは、自分と考え方の違う人間を閣内に入れることで、国民に対して謙虚な姿をアピールするためです。河野氏は、まんまと安倍首相の演出に一役買ってしまった。谷さんの人事をストップさせていれば、国民の河野外相に対する評価は跳ね上がったはずです」

 谷氏以外に、海外に出向したキーパーソンとして挙げられるのが、防衛省の前統合幕僚監部参事官付国外運用班長の小川修子氏だ。小川氏は、南スーダンPKOの日報隠蔽問題で実務レベルの責任者だったが、現在、在中国大使館の1等書記官を務めている。

 谷氏の“高飛び”をストップしなかった河野外相の責任は重い。

 

佐川国税庁長官に森友“虚偽答弁”疑惑 市民団体が罷免活動(2017年8月4日配信『日刊ゲンダイ』)

 

 やっぱり財務省は大ウソをついていた。

 大阪市の学校法人「森友学園」に対し、豊中市の国有地が約8億円も値引きされて売却されていた問題で、大阪地検特捜部に詐欺容疑で逮捕された籠池泰典前理事長と妻・諄子の両容疑者が、国との売買交渉時に地中のごみを理由に損害賠償をほのめかし、「0円で買いたい」と要求していたことが分かった。

 籠池容疑者側は安倍首相の妻である昭恵氏の名前もチラつかせていたという。これに対し、国側は土地改良の費用などを示したといい、最終的に売却額は1億3400万円となった。

 この問題で、財務省の佐川宣寿理財局長(当時)は3月15日の衆院財務金融委員会で、「価格を提示したことも、先方からいくらで買いたいと希望があったこともない」と答弁していたが、虚偽だった疑いが浮上。

 こうした状況を受け、弁護士らでつくる市民団体「森友・加計問題の幕引きを許さない市民の会」は、国税庁長官に就任した佐川氏は「公務員の適性を著しく欠く」などとして、麻生太郎財務相に罷免を求めるための要望書の署名活動を始めた。

 

                                                2017年8月1日

 

財務大臣 麻生太郎 様

 

佐川宣寿国税庁長官(前財務省理財局長)の罷免を求める要望署名

 

                                                                               森友・加計問題の幕引きを許さない市民の会

 

池住義憲(元立教大学大学院特任教授)/太田啓子(弁護士)/丘修三(児童文学作家)/きどのりこ(児童文学作家)/小林和子(『週刊金曜日』編集長)/笹井明子(老人党リアルグループ「護憲+」管理人)/佐々木江利子(児童文学作家)/杉浦ひとみ(弁護士)/醍醐聰(東京大学名誉教授)/武井由起子(弁護士)/那須正幹(児童文学作家)/根本仁(元NHKディレクター)/藤田高景(村山談話を継承し発展させる会・理事長)/湯山哲守(元京都大学教員・NHKを監視・激励する視聴者コミュニティ)/ 渡辺眞知子(キリスト者政治連盟)

(1)近畿財務局が格安価格で国有財産を森友学園に売却した問題を審議した国会で佐川宣寿前理財局長(現国税庁長官)は、森友学園側とあらかじめ具体的な金額を出して交渉したことはないと答弁してきました。また、10年の分割払いは森友学園側から出た話と答弁してきました。しかし、7月25日以降、NHKなどが伝えた報道から、近畿財務局は森友側にいくらまでなら支払えるかと尋ねるなど、具体的な金額のすり合わせをしていた事実が明らかになりました。また、10年分割払いも近畿財務局から持ちかけていたことが判明しました。こうした事実は、佐川氏が国会で虚偽答弁をしたことを意味します。

(2)佐川氏は売買契約の成立を以て事案は終了したので、交渉記録は廃棄したと答弁しました。しかし、10年分割払い、買戻し特約付きの売却である以上、売買契約が成立しただけでは事案は終了しません。また、売買契約に至る交渉記録を本当に廃棄したのであれば、行政機関の意思決定に至る過程を合理的に跡付け、検証できるよう、軽微な事案を除いて、文書を作成し、保存しなければならないと定めた「公文書管理法」第4条、第6条に背く行為です。

(3)佐川氏は、ゴミの撤去に充てる費用として鑑定価格から値引きされた8億2000万円が本当にゴミ撤去のために使われたかどうかは契約が成立した後のことであり、確認する必要はないと強弁しました。このように国有財産の不当廉売を放免した佐川氏を、あろうことか、国民に納税を促す国税庁長官に任命するのは許されない人事です。

そこで、私たちは国税庁長官の任命権者である貴職に対し、次のことを申し入れます。

 

申し入れ

 

日本国憲法第15条第2項が「すべて公務員は、全体の奉仕者であって、一部の奉仕者ではない」と定めた公務員の適格性を著しく欠く佐川宣寿国税庁長官を直ちに罷免すること

 

 

森友学園 国有財産審議会の議事録を公開(2017年8月3日配信『毎日新聞』)

 

 森友学園への国有地売却を議題に3月23日に開かれた国有財産近畿地方審議会の議事録が、財務省近畿財務局のホームページで7月末に公開された。売却価格について、財務局は地中のごみの発見で小学校開校が遅れる可能性を挙げ、「(学園側からの)損害賠償請求も想定した。ちゃんと積算された時価だ」などと説明。「法令違反は全くなかった」と強調していた。

 審議会は不動産関係者ら11人が委員となり、国有地売却などの可否を検討する財務局長の諮問機関。会合は非公開。財務局は2015年2月、国有地を学園に10年間貸し出してその間に売却する方針を示した。審議会は了承したが、翌年6月に評価額の1割あまりの1億3400万円で売却されたことは今年3月の審議会まで報告されず、議事録では、複数の委員が苦言を呈していた。

 

森友・加計 「学園」疑惑に共通構図(2017年8月2日配信『しんぶん赤旗』)

 

設置認可 財政支援 政治的な力

背後に安倍首相夫妻

   二つの学校法人をめぐる疑惑が、国政の焦点になっています。前理事長の籠池泰典容疑者(64)夫妻が逮捕された森友学園(大阪市)と、加計学園(岡山市)です。両者には国や地方自治体から“優遇”をうけるなど、多くの共通点があります。その背景に何があるのか―。


写真

(写真)森友学園が計画した小学校のパンフレットに掲載されていた安倍昭恵名誉校長のあいさつ文

 「加計学園と森友学園の問題は、非常に構図が似ている。両方に、学校の設置認可、公的支援、なんらかの政治的な力が働いているという疑惑がある」。文部科学省の前川喜平前事務次官は会見で、そう指摘しています。

 森友学園は今年4月の小学校開校を目指し設置許可を大阪府に申請。寄付金頼みの計画に府私学審議会で異論が続出しましたが、条件付きで「認可適当」という異例の扱いに。

 財政面では財務省近畿財務局が、国有地を約8億円値引きして1億3400万円で売却。その際、財務局は学校法人の「資金計画の確実性」を審査するとした通達に反する形で売却しました。

 2018年4月の獣医学部開学を目指す加計学園は、安倍晋三首相がトップダウンで進める国家戦略特区の特例を活用して申請にこぎつけました。愛媛県と今治市から上限96億円の建設補助金があり、市からは土地(37億円相当)の無償提供を受けています。

 両者とも、設置認可と財政面で特別な支援を受けた形です。

 「政治的な力」では共通点がよりはっきりと表れています。安倍首相夫妻の存在です。

 安倍首相は加計学園の加計孝太郎理事長と親友。首相夫人の昭恵氏も系列の保育施設の名誉園長で夫妻ともに交友があります。前川前事務次官は、加計学園が18年4月に獣医学部を開学することが「総理のご意向」だったと指摘。文科省の内部文書には、首相側近の萩生田光一官房副長官が、文科省に開学を急がせていたことも記されています。

 昭恵氏は森友学園の小学校で名誉校長を務めていました。籠池容疑者は国有地取引について昭恵氏に報告していたと証言。国有地売却が急速に進んだ背後に、昭恵氏の影響があったとの見方を示しています。

 政府関係者は指摘します。「森友は今年4月開校、加計は18年4月開学が決まっていた。その時期にあわせて、複数の省庁と地方自治体とを同じ方向で連携させるには、全体を統括する司令塔がいないとできない。それができるのは首相官邸だ」

 

「森友学園」籠池夫妻を逮捕 国の補助金詐取容疑(2017年7月31日配信『朝日新聞』)

 

 学校法人森友学園(大阪市)による国の補助金不正受給事件で、大阪地検特捜部は31日、前理事長の籠池泰典(やすのり)容疑者(64)と妻諄子(じゅんこ)容疑者(60)=いずれも大阪府豊中市=を詐欺容疑で逮捕した。特捜部は、27日に続き31日、両容疑者に再び出頭を求め、任意で事情聴取していた。加計学園問題と並んで安倍政権を揺るがせた疑惑は、大きな節目を迎えた。特捜部は両容疑者の認否を明らかにしていない。

 特捜部などによると、籠池容疑者らは大阪府豊中市の国有地を取得して開設を目指した小学校舎の建設にあたり、2015年12月3日の日付で、金額の異なる3通の契約書を作成。木材を多用した建築物の普及を目指す、国土交通省の「サステナブル建築物等先導事業(木造先導型)」補助金の申請時に、最高額の「23億8464万円(税込み)」で提出し、同省の委託を受けた一般社団法人に補助金計5644万8千円を振り込み入金させ、詐取した疑いがある。特捜部は3通りの金額のうち約15億5千万円が本来の額だったとみている。

 国交省の補助金をめぐり籠池容疑者は当初、三つの金額が「全て正しい」としたが、3月にあった国会の証人喚問では「刑事訴追を受ける恐れがある」と説明を避けていた。6月の家宅捜索翌朝に取材に応じた際には、国や大阪府の補助金疑惑について「反省すべき点もあるが、行政や関係者との協議の中で進めた話」と説明。「誠実な捜査で全容が解明されることを期待したい」と語っていた。

特捜部はこのほか、学園が運営する幼稚園の教員数などに応じて交付される大阪府の補助金計約6200万円を籠池容疑者らが不正に得たとする詐欺容疑についても捜査している。

 一連の疑惑の発端となった国有地売却問題では、鑑定価格からごみ撤去費8億1900万円が値引きされたことが表面化。小学校の名誉校長に、安倍昭恵首相夫人が就任していたことも判明した。特捜部は当時の財務省職員らが国に損害を与えた背任容疑の告発も受理して捜査中だ。

 

昭恵氏は「神風の発生装置」 籠池容疑者、逮捕前に語る(2017年7月31日配信『朝日新聞』)

 

 なぜ教育勅語にたどり着き、首相の名を冠する小学校を造ろうとしたのか。国との交渉で「神風」は吹いたのか――。朝日新聞は学校法人「森友学園」(大阪市)の籠池泰典・前理事長にノンフィクション作家の菅野完氏を通じて取材を申し入れ、籠池氏は5月8日と18日、計10時間ほどにわたってインタビューに応じた。あくまでも籠池氏の主張だが、国有地売却問題の真相解明につながる証言とみて、その生い立ちから現在までを語った言葉を紹介する。

 1953年2月、籠池氏は瀬戸内海を望む高松市の港町で生まれた。本人によると代々、海運会社を営んでいたが、籠池氏が小学生の時に事業が行き詰まり、大阪や兵庫を転々とすることになった。

 「海は近かったから。小さい時から、糸たらしたらカニが釣れるって感じでやってましたから。船の音も好きだし、船員さんのいなせな声も大好きだし。はっぴ着て、やくざの人が。ずっとあれもかっこええやないの、と思ってた」

 「海運陸運業、大きかったんですよ。(高松市を離れたのは)小学校の5年の終わりか、6年のはじめかな。引っ越したゆうより、倒産した。戦争中に船がたくさん沈んだから。戦争がなかったらまた違っていたかもしれん」

 「1年間ほどは、父母とも別れてた。父の兄の家に預かってもらって、それから親に大阪にひっぱってもらった」

 籠池氏は高校卒業後、関西大学に入学。「森友学園」の創始者、森友寛氏(故人)の娘だった妻、諄子氏と在学中に知り合った。大阪・心斎橋の百貨店でのバイトがきっかけだったという。

 「僕は催し物売り場。彼女は1階の真珠宝石売り場でしたか。僕が22歳くらいの時に、(諄子氏は)19歳だったのかな。ちょっと次の休み時間にお茶に行きましょうかという感じで行くわけですよ。心斎橋のあたりは、今よりももうちょっと家族的な雰囲気の喫茶店が多かったんです」

 籠池氏は大学卒業後、奈良県庁に就職した。そこで見たのは「日本の原点」だという。

 「はっきりと自分でわかってなかったんだけど、何とか社会に役立つことはしたいなあというのが原点にあったから。奈良県庁の行政職一般上級を受けたら合格しちゃった」

 「まほろばの国、奈良やから、自分自身の歴史観というかね、何というのかな、日本という国の原点というのかな。県庁があるとこいうのは高台で、東大寺もあって、いいとこでしょ。原点というのは色んな意味があって、ここから色んなことが発生していったんだなあと思いましたね。美しさとか、おごそかさ、のどやかさいうのは感じていた」

「教育勅語見て、すー、すとんっと入ってきた」

 就職から2年後、籠池氏は諄子氏と結婚する。奈良県庁の仕事に「未練」があったという籠池氏。だが、結婚から約5年後には県庁を退職。森友寛氏が経営する幼稚園で働き、教育者としての道を歩み始めた。

 「給料安かったから。ちょっと無理やろって感じだったんですよね。でも(寛氏が)君ら結婚するなら、もう結婚せなあかん、と。生活できるかなあ、と思いながら結婚したんやな。4月29日、(昭和)天皇誕生日に結婚したんですよ、絶対に忘れないように。右翼でもないんよ、普通やったんやけどなあ」

「先代もどちらかというと、普通の幼稚園の園長というより、陸軍士官学校の出身やったから、次の世代の子どもたちをつくっていかなければならないんだと。なんちゅうかな、一本気なところが当然あったからね」

 ただ、幼稚園教育で教育勅語を活用するという発想は当初、なかったものだという。

 「日本の国が好き。戦争で負けたけど、日本人の頑張りようが好き。(教育勅語にたどり着いたのは)それは人生経験してからですね。40歳ぐらい。(森友学園で勤めるようになってから)10年間はずーっとぞうきんがけしてて。ぞうきんがけって枕ことばみたいに思うけど、本当にぞうきんがけでね」

 「自分自身もそこまで成長してないというか。教育勅語ってあそこに書いてある12の徳目ってあるでしょ。徳目に、なんちゅうか、自分が今までやってきた教育の内容とか、心の思いが入っていくわけ。『あ、これか』となるまでに、まだ時間かかります」

 「15年ぐらい前、『これだ』と。四書五経とか色々な古書をみながら、どっかにつながるところがあるんだろうと。これだけ歴史の長い国のなかでみんな中途半端な教育をしている。教育勅語見て、すー、すとんっと入ってきた」

 籠池氏の中で、小学校を開校する構想が現実的になったのは09年ごろだ。

 「(籠池氏が活動に携わった)生長の家が(小学校を設立)すると思っていたら、しない。いまは自分はできない、まだと言っているうちにこの年齢になってきた。いまぐらいしかないか、70歳を過ぎたらできないだろうな」

 小学校の開校を決意した籠池氏が求めたのは、学校をつくる用地だった。

 「やっぱり土地を探さないといけない。自治体とか顔きくから、(当時の大阪府議に)『先生、どっかいいとこないですかね』と。(府議は)色々回ってくれはった。結局、私の方で(豊中市の土地を)見つけたんやけど。ロケーションて大事でしょ。夢を投影できる場所はどこかなと」

■「この人の名前、やはり後世に」

 小学校新設を決めた籠池氏にとって、大きな存在となった人たちがいる。安倍晋三首相夫妻だ。「安倍晋三記念小学校」という校名は、自民党が野党の時代に思いついたという。

 「過去の人という評価やないですよ。まだまだ一花咲かせてくれるだろう、実際的に国政を引っ張っていってくださるだろうという感じは持っていましたからね。顕彰という気持ちよりも応援したいという気持ちやったんやないかな」

 「顕彰(の意味)もあんねん。世間の人は色々言うてたけど、(第1次安倍政権で)立派にようやってくれた。体ぼろぼろになりながらようやってくれたと。涙出てくるような思いやった感じだったんですね。この人の名前をやはり後世にまで残していかなあかんなというような思いを持ったわけ」

 「あれだけ頑張った人がドロップアウトされていく。何でやねんと。この一時期に政治生命かけてやったんだ。それを顕彰してあげないと武士の情けに反するんじゃないかと。教育基本法、よう変えた。(第2次安倍政権が誕生したのは)うれしかったですよ、これは天命だと」

 籠池氏は第2次安倍政権下で、財務省近畿財務局と国有地売却に向けた交渉を進めていく。その過程で名前が浮上するのが、国有地に開校予定だった小学校の名誉校長に就任した安倍首相の妻、昭恵氏だ。

 「(14年4月、小学校建設を予定していた国有地に昭恵氏と一緒に行き)『ここですよ』という話をした。当然のことながら『いまどうなっているんですか』という話になる。『実はこういうことで私らも困っているんです。前に進めたいけど、ディフェンスが強くて』。そしたら『何かすることは?』という感じになる。『まあ、大丈夫ですよ』と言った、僕も。『また何かあれば、その時はよろしくお願いします』と。家内も横にいたから聞いている」

 国有地を格安で購入した経緯について、籠池氏は3月の国会の証人喚問で「神風が吹いた」と表現した。

 「(昭恵氏は)我々の学園の名誉校長をされる前から講演会に何度か来られてる。財務局の人間も知ってるから。知ってるがゆえに、なぎからそよ風、強い風になっていく、そうゆう感じなんですよ」

 ターニングポイントに挙げるのが、籠池氏の求めに応じて昭恵氏付の政府職員が15年秋、国有地の取引について財務省に問い合わせたことだ。

 「(当初の借地料が)すごく高い金額だったから何を考えているんだと。(政府職員による問い合わせの頃から風が)怒濤(どとう)のごとく吹き始めた。昭恵夫人とも電話はよくしていたし。ぐっぐっと動いているという感覚があった」

 籠池氏は、ほかにも国会議員の名前を挙げながら、昭恵氏を「神風の発生装置」と表現した。

 「(元防災担当相の)鴻池(祥肇)先生は鴻池先生の方で風を起こしてはる。(元経済産業相の)平沼(赳夫)先生もちょこっと起こしてはるわけ。それらによってぐーっとなったところに、すぽーんと大きな扇風機が入って、どごーんという感じやと思う」

■「もしも政権側と手を握っておったら…」

 小学校の計画が頓挫したうえに、大阪地検特捜部の捜査対象になった籠池氏。インタビュー当時、逮捕を覚悟していた籠池氏はその心境を語った。

 「何で僕が逮捕されないかんのかな思ってるんですよ。何でおとしめるかというと、国有地の問題はあいつがやったことやから全部あいつが悪いんやでという方向に持って行こうとしているわけでしょ。それってゆうのはすごくまずいことやないですか」

 「疑いを持って僕を見てほしくないと思ってるんですよ。結果としてこういうことになってしまってるけど、気持ちとしては本当に純粋にやってきたんでね」

 「もしも政権側と手を握っておったらここまで来なかったのかなという気持ちもある。これは真正直な話です。それはいまさら言ってもしょうがない話やけど」

 

沈黙の佐川新長官 国税庁就任1カ月 異例の会見なし(2017年7月30日配信『東京新聞』)

 

3月30日、参院財政金融委で、財務省理財局長として森友学園に関する質問に答える佐川氏

 

 大阪市の学校法人「森友学園」と財務省の国有地取引問題で、売買交渉記録について「残っていない」という国会答弁を連発した佐川宣寿(のぶひさ)・前財務省理財局長が国税庁長官に就任して一カ月近く就任会見を開いていない。国税庁長官にとって、公の場で報道機関の質問に答える唯一の機会で異例の事態。庁内では「会見で森友問題に質問が集中する可能性があるので、開かない方が混乱を避けられる」という声もある。

 国税庁長官は1年程度の任期中、定例会見は行っておらず、本紙などが加盟する国税庁記者クラブは、佐川長官が5日に着任して以降、できるだけ早く就任会見をするよう同庁に求めてきた。同庁広報は取材に「諸般の事情で調整が長引いている。開かない可能性もある」としている。

 広報によると、長官の就任会見は慣例で、着任して2〜3週間後に開かれてきた。記録の確認できる2000年代以降、すべての長官が行ってきたという。会見では、今後の抱負などに加え、趣味や座右の銘などを記者が質問してきた。

 佐川氏は、財務省理財局長だった今年2〜6月、森友問題で連日、国会答弁に立ち、国有地が8億円安く売却された経緯に関する野党の追及に対し、「規則にのっとって適切に処分した」などと主張。一方で、交渉過程で何が起きたのかについては「(交渉記録は)破棄した。残っていない」「(担当者の)記憶に残っていない」「政治家は関与していない」と繰り返すだけで、事実関係の説明を拒んできた。

 国民の疑問が解消されない中、佐川氏は理財局長から次官級の国税庁長官に昇格。理財局長からの昇格は4人連続だが、国民からは安倍晋三首相を守ったことへの「論功行賞」といった批判が上がり、国税庁にも苦情が寄せられている。今後、就任会見を開けば、記者から森友問題に質問が集中する可能性が高い。

 ある国税庁職員は「佐川長官になり、税務調査がやりにくくなった。長官が書類の廃棄を認めているので、調査対象者から『自分たちが書類を廃棄しても構わないだろう』というような嫌みを言われる。現場にも影響が出ている」と、困った表情で語った。

 

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前理財局長;「ゼロ回答」で栄転 禍根残す人事?(2017年7月22日配信『毎日新聞』)

 

 学校法人「森友学園」への国有地格安払い下げ問題で財務省理財局長として国会答弁に立ち続けた佐川宣寿(のぶひさ)氏(59)が、今月5日付で国税庁長官に就任して2週間あまり。野党の追及に徹底した「ゼロ回答」で臨んだ功で栄転した−−と国民から疑問の声が上がっている。実態はどうなのか。

 就任を受けて毎日新聞11日朝刊に神戸市の男性(61)の投稿が載った。「拝啓 国税庁長官様」で始まる。

 「私も納税者の一人です。税務調査の際に『関係書類は紛失しましたが、適切に処理しているので経費の計上を認めてください』と申し上げる場合もあります」「国会で何の証拠も示さずに自らの主張を押し通されたのですから、このお願いはよく理解していただけると思います」。皮肉たっぷりに佐川氏の答弁を批判している。

 実際、森友問題で佐川氏の答弁は「記録は破棄した」「データはない」「政治家の関与はない」と“ないないづくし”だった。

 自民党の鴻池祥肇元防災担当相らの関与を示す文書が出てきても、政治の介入を否定し続けた。4月3日には行政文書について「短期間で自動的に消去されるシステム」と答弁。どんなシステムなのかと大騒ぎになり、4日後に国会で理財局次長が「自動消去機能というのは基本的にございません」「消去は職員がパソコンを操作して行う」と、佐川氏の答弁を事実上修正した。

    ◇

 今回の長官人事を論功行賞と見るのは勘ぐりすぎかもしれない。佐川氏以前に3代続けて理財局長が長官に就いた。佐川氏は過去にナンバー2の国税庁次長も務め、既定路線との見方が強い。だが、麻生太郎財務相は長官人事について「(佐川氏は国会で)丁寧な説明に努めてきた。適材だ」と述べ、国民の怒りを買った。

 国税当局の若手職員は「長官が自ら税務調査をするわけではない。粛々と法律通りやる」と業務への影響を否定する一方、「これまで痴漢や横領など職員の不祥事が報じられるたびに税務調査の相手から嫌みを言われてきた。今回は『財務省も書類を保存していないだろ』とかみつかれるかもしれない」とため息交じりに言う。

 籠池泰典前理事長と財務省幹部の交渉時の音声記録を入手するなど森友問題の取材で注目された著述家の菅野完氏が、笑いながら言った。「最近、税理士との打ち合わせで『僕も財務省のように、領収書や入金伝票を捨てていいですよね』と冗談で言ったら、『みなさん、そうおっしゃる』と返されました」

 菅野氏は佐川氏を、森友学園問題の真相究明を阻んだキーマンだと見ている。「私にでさえ見つけられた資料を財務省が見つけられないわけがない。データは自動的に消去されるなどと、子供でも分かるような見えすいたうそを国会の答弁で重ねた人が栄転するのはモラルハザード。長く禍根を残す人事だ」

 新長官は着任後に記者会見するのが通例だが、佐川氏の会見はまだ開かれていない。

 

佐川理財局長「栄転」に波紋 与党からも「あしき前例」(2017年7月4日配信『朝日新聞』」)

 

 財務省は7月4日、佐川宣寿(のぶひさ)・理財局長(59)を5日付で国税庁長官とする人事を発表した。佐川氏は学校法人「森友学園」(大阪市)への国有地売却問題の国会答弁で事実確認や記録の提出を拒み続け、「真相解明を阻んでいる」と批判を浴びただけに、与野党から疑問の声があがっている。

 国有地売却問題では、8億円の大幅値引きや安倍晋三首相の妻、昭恵氏の関与など数々の疑問が指摘された。佐川氏は連日のように答弁に立ったが、売却の経緯などの具体的な説明は避け、法令の説明などに終始する姿勢が目立った。

 自由党の森ゆうこ氏は「首相を守るため、『ありえない』答弁を平然と繰り返して栄転された」と批判。与党の閣僚経験者も「事実に背を向けてでも、官邸の意向に従っていれば出世できるというあしき前例になる」と、起用した政府の姿勢を疑問視する。国会で向き合った共産党の宮本岳志氏は「場合によっては国民に記録提出を求める立場の国税庁トップになる人は、私に面と向かって『記録がありません』と言い続けた人物だ」と指摘した。

 NPO法人「情報公開クリアリングハウス」の三木由希子理事長は「佐川氏の答弁は国民の怒りに油を注ぐだけで、必要以上に政府の信頼性を失わせた」と指摘。「守るべきものは国民への説明責任ではなかったことは明確だ」と話す。

 

森友問題は終わらない 籠池氏立件で財務省の悪事がバレる(2017年6月13日配信『日刊ゲンダイ』)

 

 大阪地検特捜部がいよいよ森友学園の籠池泰典前理事長を立件するという。国交省と大阪府からの補助金約6000万円を不正受給した疑いで、今月中にも強制捜査に踏み切る方向で検討していると、11日の毎日新聞が伝えている。

 国会での疑惑追及が加計学園問題に移り、森友問題は静かになってしまった感がある中、籠池氏逮捕でこの問題はジ・エンドかと思いきや、そうじゃない、逆だ。刑事事件として本格捜査となれば、籠池氏の周辺が徹底的に調べられ、国交省や財務省も無傷ではいられなくなる。

 というのも、籠池氏は新設を計画していた小学校の用地取得などに関する全てを、顧問弁護士や設計・建設業者に任せっきりだったからだ。

 今年4月、民進党の調査チームが、森友学園の顧問弁護士だった酒井康生氏とキアラ建築研究機関、藤原工業などの間で地下のゴミ処分に関してやりとりしたメールを公開したが、その際、籠池氏は、「メールの内容はよく理解できない」「小学校建設をめぐる細かなやりとりについては、弁護士に任せていた」と明らかにしていた。さらに籠池氏は、小学校の認可申請取り下げについても「顧問弁護士の勧めに従った」と話していた。

 ■全貌を知る顧問弁護士や業者も聴取

 これらの発言が本当だとすると、小学校建設において籠池氏は“カヤの外”だった可能性がある。事件の背景や動機など全貌を明らかにするためには、検察は全てを任せられ事情をよく知る酒井弁護士、そしてキアラや藤原工業の関係者を呼んで話を聴かざるを得ない。そうなれば、弁護士や業者も籠池氏との“共犯”で挙げられる可能性が出てくるわけで、もはや誰かをかばう必要はない。国交省や財務省との交渉経過について、ベラベラしゃべり出してもおかしくないのだ。

 元検事の落合洋司弁護士がこう言う。

 「任意の事情聴取で、籠池氏は容疑を否認していると検察が受け止めている可能性があります。そういうことなら強制捜査して、逮捕・勾留を含めて調べるということなのでしょう。籠池氏だけなのか、関係者を共犯として逮捕するのか、その辺りも詰めていくことになります」

 事件化によって、森友問題はここからが始まりだ。「知らぬ存ぜぬ」で逃げ切ったとニンマリだった財務省は、首を洗って待っていた方がいい。

 

橋下松井コンビに激高 安倍首相“維新3点セット”白紙撤回か(2017年3月22日配信『日刊ゲンダイ』)

 

 長すぎた蜜月がついに終わった。森友騒動で連日、野党の追及を受ける安倍首相は錯乱状態。虚偽答弁が発覚した稲田防衛相を「答弁には気をつけてくれと、何度も言っただろ!」と叱りつけたと報じられたが、最近は辺り構わず腹いせをぶつけているという。

 なかでも苛立ちを隠さないのが、日本維新の会のツートップの態度だ。大阪府の松井一郎知事と橋下徹前知事は今さら「国の圧力があった」と口をそろえている。

「昭恵夫人が名誉校長だった責任を棚に上げ、首相はあくまで今回の疑惑は大阪府の責任との認識です。確かに大阪府は私立小学校の設置認可の審査基準を緩和し、森友学園が問題だらけと知りながら、スピード審議で『認可適当』と判断。首相にすれば、騒動の発端は大阪府の怪しい手続きで、この問題で矢面に立たされるのは松井知事らの不手際のトバッチリ。おまけに『国の圧力』の“責任逃れ”発言を聞かされたから、もう怒り心頭です。『大阪の3点セットは白紙に戻す』と語気を荒らげているそうです」(官邸事情通)

安倍首相の言う3点セットとは「大阪万博誘致への国を挙げた協力」「大阪・夢洲のカジノ計画」「リニア大阪延伸の前倒し」を指し、いずれも維新の“看板公約”だ。維新が与野党対立法案に軒並み賛成、安倍政権に全面協力してきたのも、見返りに3点セットの実現を求めているためだ。

それにしても、安倍首相の私怨で国策が左右されるとは「首相を侮辱したから証人喚問」と同様のおぞましさだが、そんな政権と維新のもたれ合いに森友騒動は亀裂を入れ、その裂け目は日ごとに広がっている。

■5年の蜜月にピリオド

「橋下・松井コンビにすれば『国の圧力』発言は先手を打っただけでしょう。鼻の利く2人は安倍政権側の言動をみて、森友問題を“大阪ローカルの問題”と矮小化させ、責任を押し付けてくるニオイを嗅ぎ取った。“やられる前にやれ”ですよ」(維新関係者)

安倍首相と松井知事は2012年2月、大阪で開かれた「日本教育再生機構」のシンポジウムで会談したのを機に意気投合。再生機構はHPで〈教育を通じて国民意識を覚醒させ、国家への愛情を取り戻すこと〉を標榜し、メンバーは「日本会議」と重なる。森友学園とも関係の深い組織だ。

会談から5年。菅官房長官と橋下氏を交えて会食を重ね、親密さを誇示してきたが、互いに思想の共鳴し合う森友学園のせいで関係にヒビが入るとは皮肉である。

 

籠池砲どこ吹く風 “スキー三昧”昭恵氏のブッ飛び行動力(2017年3月22日配信『日刊ゲンダイ』)

 

国有地払い下げ問題の闇を解明するには、籠池泰典理事長だけでなく安倍昭恵夫人の証人喚問が不可欠だ。安倍首相は籠池氏との「個人的な関係」を完全否定してきたが、昭恵夫人と籠池氏の妻がいまだにメールのやりとりを続けている事実が明らかになった。しかも、昭恵夫人は籠池氏に「これをお使いください」と現金100万円を手渡したとされる。もしデタラメなら公の場で否定すればいい。

昭恵夫人は誰がどう見ても、森友騒動の中心人物。小学校の名誉校長就任の理由に始まり、100万円の寄付の有無など、本人に直接聞かないと分からないことが山ほどある。むろん、記者会見を開いてくれてもいいのだが、偽証をしたら刑事罰を科される証人喚問でなければ、シラを切り通す恐れがある。

■お忍びスキーで「ウソ」の回答

実は昭恵夫人には“前科”があるのだ。国会が本格的に森友一色となった3月3日から2泊3日で蔵王温泉のスキーイベントに参加。その際、政府職員を公務として同行させた。日刊ゲンダイはイベントが始まる3日に「国家公務員の専属秘書を連れて行ってませんか?」と実行委員長(アッキーの母校・聖心女子学院の後輩)に電話で質問。委員長は「それだけは絶対にない」と完全否定したが、真っ赤なウソだったわけだ。

 土生栄二内閣審議官によると、昭恵夫人が専属秘書の旅費を負担。秘書は公務以外の時間にスキーを楽しんだという。昭恵夫人が後輩に“虚偽答弁”したり、後輩が“忖度”してデタラメを言った可能性も捨てきれない。

 なぜ、とぼけたのか――。その理由を聞くために17日、アッキーの後輩に再び電話したが一向につながらず。留守電に用件を吹き込んでも折り返しはなかった。

 それにしても驚くのは、昭恵夫人のぶっ飛んだ行動力だ。籠池理事長が「首相から寄付金」の衝撃爆弾を投下した16日には、籠池夫人に「幸運を祈ります」とメールする一方、アート系のイベントなどをハシゴ。3連休中も18日は北海道ルスツで開催された「G1サミット」という民間団体のイベントに参加した。SNSなどによると、前日から現地に前乗りし、またもスキーを満喫したという。

 19日には首相の地元・山口県下関市に飛び、知人の結婚披露宴に出席。20日は児童養護施設の卒園式に参加という目まぐるしさ。“籠池砲”などどこ吹く風といった感じである。なおさら、疑惑について正面から説明すればよさそうなものだ。

 「証人喚問は本来、懲罰や脅しのためではなく、真相解明のために行われるもの。今回の件で言えば、『100万円の寄付』があったかどうかの究明は極めて重要になります。金銭授受の反対当事者である昭恵夫人は、身の潔白を晴らすためにも証人喚問に応じた方がいいと思います」(政治評論家・山口朝雄氏)

 安倍首相はことあるごとに「レッテル貼りだ」と声を荒らげて激怒する。昭恵夫人が“うそつき”のレッテルを貼られないためにも、首相自ら証人喚問への出席を積極的に促した方がよさそうだ。

 

昭恵夫人から受け取ったとの「暴露」…証人喚問で真相迫れるか(2017年3月19日配信『産経新聞』)

 

 

 大阪市の学校法人「森友学園」理事長退任の意向を表明している籠池泰典氏の証人喚問が23日、衆参両院の予算委員会で実施される。国有地払い下げや小学校認可への政治家の関与の有無、安倍晋三首相の100万円寄付の真偽、稲田朋美防衛相との関係−。国政を揺るがす数々の疑惑解明は進むのか、小学校設置という悲願がついえた末の発言に注目が集まる。

 森友学園を巡る一連の問題の発端は、2月に表面化した格安での国有地払い下げ問題だった。建設が進む小学校の名誉校長を安倍晋三首相の昭恵夫人が一時務めており、保守政治家に広がる籠池泰典氏の人脈が影響力を行使したのではないかと野党が追及した。一方、学園側が小学校設置認可申請に際し虚偽報告をした可能性も取り沙汰されてきた。

 財務省近畿財務局は昨年6月、9億5600万円の評価額から地下のごみ撤去費用8億円余りを差し引き、大阪府豊中市の国有地を1億3400万円で学園に売却。金額は学園側の意向で非公表としていたが、一転して公開された。

 根拠あいまい

 ごみ撤去費用の算定を一度も経験がなかった国土交通省大阪航空局が実施し、算定の根拠があいまいだったことが判明。処理業者は、ごみ交じりの土砂を「埋め戻した」と証言した。

 学園が「安倍晋三記念小学校」の触れ込みで寄付を募り、運営する幼稚園の運動会で園児に「安倍首相頑張れ」と選手宣誓させていたことも話題に。首相は2月17日の衆院予算委員会で「私や妻、事務所が関わっていれば、首相も国会議員も辞める」と明言した。

 鴻池祥肇元防災担当相は2014年4月、籠池夫妻と議員会館で面会し「紙に入ったもの」を差し出されて受け取らなかったと自ら明かした。事務所の面談記録によると、籠池氏は13〜16年、鴻池氏側に16回接触し、国有地取得交渉で便宜を図るよう陳情。ただ、籠池氏側は政治家への働き掛けを否定し「お見舞いを兼ねて商品券を渡そうとした」と説明した。

虚偽報告の疑い

 雇用予定者リストや籠池氏自身の経歴、愛知県の私立学校への推薦入学枠など、小学校設置認可申請に関する虚偽報告の疑いも相次いで指摘された。建築費の金額が異なる3種類の工事請負契約書や補助金の不正受給に関する疑惑もある。

 大阪府の松井一郎知事らが認可に否定的な姿勢を強め、包囲網が敷かれる中、申請取り下げに追い込まれた籠池氏。13日になり「稲田朋美防衛相は旧知の仲。学園の顧問弁護士だった」と口を開いた。首相からの寄付金100万円を15年9月に講演に訪れた昭恵夫人から受け取ったという「暴露」も飛び出した。首相は真っ向否定しており、証人喚問で真相に迫れるかは見通せない状況だ。

 

森友学園;校舎、たなざらしの恐れ 廃棄物搬出、今も未定(2017年3月7日配信『毎日新聞』)

 

 大阪市の学校法人「森友学園」が4月に大阪府豊中市に開校を予定する「瑞穂の国記念小学院」の設置認可を巡る問題。校舎もほぼ出来上がった小学校の4月開校が困難な状況で、敷地の取り扱いはどうなるのか。土地の売買契約書によると、学園は3月31日までに必要な工事を終え、小学校として使用する義務を負う。開校できなければ、国は売買額と同額の1億3400万円で買い戻せる。学園が違約金を支払う条項もある。

 外見上、校舎や体育館は完成に近い状態だが、国の買い戻しが決まれば原則、学園は土地を更地にして返還しなければならない。設置が認可されなければ建物だけが「たなざらし」となる。財務省は6日の国会審議で「大阪府の私立学校審議会の議論を踏まえて対応したい」と答弁した。

 敷地には今も土砂が山積みで、豊中市によると、その傍らには廃棄物も積み上がったまま。市が聞き取った施工業者の話によると、土砂と廃棄物をふるい分け、土砂は3日から順次、残土処理場に運び出している。

 問題は廃棄物だ。コンクリート片から生活雑品まである。市の担当者は「目視なので厳密ではないが、全体の9割が土砂、1割が廃棄物ではないか」。廃棄物を搬出する業者は見つかっておらず、7日以降も未定という。

 一連の廃棄物の搬出を巡り、大阪府私学課は学園に作業予定を照会したが、学園側の代理人弁護士は6日、メールで「15日までに搬出を終え、16日から新しい土を持ちこんで埋める」と回答した。しかし府は「業者名も明記されず、細かい工程も書かれていない。計画書として不完全」として再提出を求めた。

 課題だらけの開校計画。学園の設置認可申請に、府の私立学校審議会は条件付きで「認可適当」と答申しているが、文部科学省の私立学校の担当者は「答申が出ただけで認可権限がある知事、教育長は何も判断していない。事実誤認などがあれば、答申取り消しは理論的に可能」と話す。

 松井知事が認可は困難との見通しを示したことに、教育行政に詳しい寺脇研・京都造形芸術大教授(元文科省大臣官房審議官)は「虚偽申告なら認可は無理。(入学希望の)子どもを他校で受け入れる準備を考えれば、このタイミングでサインを出したことはよかった」と評価。一方で「今後は私学審も事務局も厳正にチェックしてほしい」と注文した。

 

「森友学園」破綻危機 不安増す工事業者で暴露合戦の恐れ(2017年3月7日配信『日刊ゲンダイ』)

 

新事実が出てくるのも時間の問題だ

 

 5日の学校説明会の参加者はたった5組だったという。激安価格の国有地払い下げや、学校設置認可の審査をめぐって問題が続出している大阪・豊中市の「安倍晋三記念小学校」こと「私立瑞穂の國記念小學院」。大阪府の松井一郎知事は、府教育庁が正式に認可の可否を判断するのに必要な書類の提出期限を「14日まで」と区切り、これを過ぎた場合は不認可とする可能性も示唆した。この方針に戦々恐々としているのが、学校建設に関わっている工事業者たちだ。

 「冗談じゃない。ウチは既に2億円の赤字だ。認可が出なければオシマイになってしまう」

 安倍小学校の建設に関わる現場の工事業者からは最近、工事費用をめぐって不安の声が高まっているという。

 「工事現場は普通、元請けの大手や中小のゼネコンがいて、子、孫請けに仕事を出している。元請けが差配するから、下請けの取り分はゼロではない。ところが、学校を管理、運営する森友学園では、理事長自らが工事を発注していると聞きました。そのため、工事業者は本当に自分のところにカネが入るのか――と疑心暗鬼になっているのです。『安倍夫妻がバックに付いている。国や府から補助金もタンマリ入る』という話を信じてきたが、さすがにヤバくなったと危機感を抱いているのでしょう」(大阪府政担当記者)

 地中に埋め戻した“仮置き”の土砂搬出業者がなかなか決まらなかったのも、森友がカネの工面で苦労したから――ともっぱらだ。それでいて、籠池理事長の自宅の土地・建物に設定された5000万円の抵当権は消えていたのだから、業者がカンカンになるのもムリはない。

■工事業者の不安、不満が最高潮に

 今や新設小学校の建設現場で働く作業員の最大の関心事は、ごみの撤去や埋め戻しではなく、森友学園の経営見通しだ。

 仮に設置認可が見送られ、生徒も集まらずに法人破綻に追い込まれれば、工事業者が一気に不満の声を爆発させるのは間違いない。理事長の吊るし上げはもちろん、これまで伏せられていた極秘情報だって、マスコミにリークされる可能性が高い。政治家の名前だってバンバン飛び交うだろう。

 今回の問題が発覚するきっかけをつくった豊中市の木村真市議はこう言う。

もともとムリがあった計画なので、最悪の事態を迎えるのもある程度、予想されたこと。とはいえ、破綻となれば大きな問題になるでしょう。そういう不安を抱えた学校法人になぜ、条件付き(の仮)とはいえ、府の審議会は認可を出したのか。きちんと検証する必要があると思います」

 新事実が出てくるのも時間の問題だ。

 

森友学園理事長長男「関係が深い自民党の先生の名前明かす」(2017年3月7日配信『NEWS ポストセブン』)

 

 森友学園理事長長男「関係が深い自民党の先生の名前明かす」

 鴻池祥肇・元防災相が緊急会見で「無礼者! とカネは突き返した」と言えば、安倍晋三・首相は国会で「会ったこともない」と繰り返す。国有地払下げ問題の疑惑拡大とともに森友学園と“親交”があった政治家たちが一斉に手の平を返すなか、「あんなに応援したのに、政治家の先生方の物言いには納得がいきません」と怒る新たな証言者が現われた。

 森友学園が幼稚園児に教えている君が代や軍歌の斉唱も、教育勅語の朗読も、「安倍首相ガンバレ」の激励を含めて、安倍首相の教育観と親和性が高い。だからこそ首相は国会で同学園の籠池泰典・理事長について最初はこう激賞してみせたはずだ。

 「いわば私の考え方に非常に共鳴している方でですね」

「妻から森友学園の先生(籠池氏)の教育に対する熱意は素晴らしいという話を聞いている」

 ところが、森友学園批判が強まると発言を一変させた。

 「学校がやってることの詳細はまったく承知していない」

「個人的には一回もお会いした記憶はない」

 さらには森友学園が「安倍晋三記念小学校」の名称で新設する小学校の寄付集めをしていたことについて、首相は何度も断わったと説明したうえで、「教育者の姿勢としていかがなものか」「この方は簡単に引き下がらない。非常にしつこい」と酷評した。こうした首相の“豹変”に怒っているのが籠池氏の長男・佳茂氏だ。

 「父は安倍先生の熱狂的な支持者なんです。安倍政権ができた時には、日本という国が本当によくなると本当に喜んでいた。父の気持ちは安倍先生にも伝わっていたと思います。だから父のことを『立派な教育者だと聞いている』と仰った。

 それがいまや安倍先生から、『しつこい』とか、『教育者としていかがなものか』とまで言われ、あれだけ一所懸命応援していた父がどんなにショックを受けているかと思うと黙っていられません」

 佳茂氏は本誌のインタビューに応じ、安倍首相との面会から、日本会議との接点、稲田朋美・防衛相や山谷えり子・元拉致担当相との奇しき縁まで語った。

 ◆安倍先生とお会いしました

──安倍首相は国会で籠池理事長と会ったことがないと説明している。

「父の代理で私が安倍先生とお会いしました。2012年9月の自民党総裁選の時に、安倍先生は大阪で街頭演説をしたあとリーガロイヤルホテルに向かいました。私はホテルのロビーで待っていて、『籠池です。父の名代としてきました。くれぐれもよろしく伝えてくれと言われています。応援しています』と挨拶して、父の名刺を差し出したのです。

 安倍先生は父の名刺を隣にいた秘書の方に渡されていました。私は確かに父の名代として、ご挨拶をしました。安倍先生が『会ったこともない』と言われるのはどういうことかと。心にぶれがあるからなのでしょうか」

 佳茂氏が「これを見てください」と差し出した名刺には、<衆議院議員 安倍晋三>とある。当時は総理退任後で自民党も下野しており、安倍氏は無役の“ヒラ議員”だった時期だ。

──会ったのは1度だけ?

「実は、その前に直接、電話をもらったことがあります。父が安倍先生を幼稚園の講演会にお呼びしていたのが、安倍先生から急にキャンセルになると私の携帯電話にお詫びの連絡が入ったのです。間に入ってくれた人が、父と間違えて私の番号を教えたのではないでしょうか? 『すみません。私は息子です。父のほうに電話をしてください』と、父の番号を伝えました」

──仲介者は誰か。

「よくわからないんです」

 佳茂氏は森友学園と安倍首相をつないだ「仲介者」については頑なに口をつぐんだ。

◆山谷、稲田、中山との関係

──他の議員との関係はどうか。

 「大学を卒業して、山谷えり子先生(第2次安倍内閣の拉致問題担当相)の事務所で半年ほどカバン持ちをしました。(落選中だった)山谷先生が自民党から参院選の比例代表に出馬する頃です。日本会議が初めて選挙で推薦したのが山谷先生でしたから、椛島有三・日本会議事務総長に連れられて、東京の事務所で紹介されたのがきっかけです。

 私が事務所に出入りしていたのは半年で、次に東京で連合系の労働組合の職員になりました。父の名代で安倍先生にお会いしたのはその後、大阪に戻って事業を始めた頃です」

 山谷事務所に佳茂氏がスタッフとして関わっていたのか確認すると「事実ではございません」と回答。双方の言い分は食い違っている。

──森友学園の園児が自衛隊員に手作りの品を贈ったことに対して、籠池理事長は稲田朋美・防衛相から感謝状を受けている。

 「稲田先生が初めて政界に出馬されたときから、父は応援していました。それなのに、今になって稲田先生が感謝状取り消しも検討すると仰るなんて、ハシゴを外されたという思いはあります」

 稲田事務所は、籠池理事長との関わりについて、「どういった機会に会ったかは定かではありませんが、面識はありました。が、とんでもないことをしつこく言ってくることなどがあり、無視をしていたら、稲田の私邸にFAXや電話を入れるようになったので、お付き合いは10年前に一切やめています」と回答した。

──中山成彬・元文科相は森友学園について、<園児に教育勅語を斉唱させている幼稚園ということで視察したことがあるが、経営者自身が勅語の精神を理解していないようだ>とツイッターで批判したが。

 「中山成彬さんも講演にいらしたことがあり、その時には、参観して朝礼からみてもらって、どんな教育をしているのか、知っていたはず。応援してくれていた一人だと思っていました。それが、いまでは手のひら返しですから」

 中山氏が語る。

 「10年ほど前、1度だけ森友学園の幼稚園に視察に行った。園児がワーワー言っているので、何を言っているのか分からなかったんだけど、それが教育勅語だったと。講演した記憶はないが、理事長が、『自分は一生懸命に(こういう教育を)やっているんだけれど、ここは大阪だから、日教組の小学校に入ると、全然無駄になってしまうんだ』と、そういうことを仰っていたことは記憶しています」

 いくら切り捨てようとも、過去の関係までは“なかったこと”にはできないということだ(週刊ポスト2017年3月17日号)。

 

責任逃れから一変 松井知事“森友不認可”で人気取りの噴飯(2017年3月6日配信『日刊ゲンダイ』)

 

 小学校開校が来月に迫る中、「認可」が怪しくなってきた森友学園。大阪府の松井一郎知事はごみの撤去計画や経営見通しが期限内に提出されない場合、「認可は難しい」と表明。暴走する森友学園に体を張って“待った”をかけるリーダー気取りだが、ちょっと待った。これまで、「自分は認可権者じゃない」と責任逃れしていたではないか。

 例えば、2月21日、記者に囲まれて松井知事はこう言っている。

〈昨年(2016年)4月の時点で、私学についての権限を教育長に委譲している。学校の経営が成り立つかどうかについては、20人の専門家でつくる私学審の判断を尊重し、教育長が最終判断する〉

■「認可権限は教育長」と断言も……

 さらに、24日に日刊ゲンダイが、12年に松井知事が私立小設置基準を緩和し、森友学園に門戸を開いたことを報じると、松井知事はツイッターで「新規参入を促すため」と弁明。森友ありきの規制緩和の疑いについてこう反論した。

 〈私学審議会の開催は審議会会長判断であり、認可権限は教育長です。ゲスな勘ぐりとはこの事ですね〉

 これはまったく的外れだ。前述した松井知事の記者への説明にあるように、教育長への認可権限移管は16年4月から。基準緩和の12年も、森友学園に「認可適当」を与えた15年も、認可権者は松井知事本人だ。

 ここまで松井知事は、森友学園への認可の“汚れ役”を教育長に押し付ける魂胆がミエミエだった。ところが、問題続出で「不認可」が現実味を帯びると態度を一変させる。25日の日本維新の会の会合でこう言い出したのだ。

〈安定した経営ができないようであれば認めるわけにはいかないというのが、府教育庁の立場だ〉

 あれっ? 認可の権限者は教育長じゃなかったのか? 以降、松井知事は教育長をさしおいて、認可に口を出すようになる。今や世間は松井知事の“英断”に注目するようになった。

 しかし、森友学園問題の元凶は何か。橋下徹元知事は28日のツイッターで「僕が私学設置基準見直しの大号令をかけた」と認め、松井知事同様、「新規参入促進」を強調している。だが、現実には緩和後5年間で私立小学校の申請は森友学園のみというお寒い結果だった。“競争”で活性化どころか、緩和のせいで、質の悪い学校法人を招き入れ、結局、経営不安で「不認可」というオチがつきそうなのだ。橋下、松井両氏は、自らの失政を認めて、府民に謝るべきだ。

 

豊洲にも地下ゴミ 撤去経緯で知る森友“8億円値引”きの謎(2017年3月5日配信『日刊ゲンダイ』)

 

 森友学園に格安で払い下げられたのは国有地だけじゃなかった。実は、移転問題で大揺れの豊洲市場の敷地地下にも大量の障害物が埋まっていた。ところが、撤去費用の算出方法には雲泥の差があるのだ。

 本紙は豊洲市場の建設途中で設計時からの変更箇所などを記した「工事変更設計書」なる内部資料を入手。2015年1月15日付の青果棟が立つ5街区の書類には〈現場作業中に想定外の地中障害物が発見されたため、その撤去及び処分を行う〉とあり、その工費に約3億1400万円が費やされた旨が記載されてある。

「建設用の杭を打つため、地下16メートルまで掘り下げたところ、東京ガスの工場で使用された古い杭が敷地全体に残されていた。コンクリート製や木製で、大きいものは長さ15メートルほど。崩れたコンクリート塊なども埋まっていました」(新市場整備部施設整備課)

 ここまでは、小学校建設の杭打ち時に、地下から大量のゴミが見つかった森友学園の用地とほぼ同じ。経緯が異なるのはこの先で、5街区の地下から古い杭などを撤去した範囲は、「新しく杭を打つ箇所とその周辺のみ」(同前)。都の説明をもとに計算すると、5街区全体の敷地約12・1ヘクタールのうち、撤去範囲は2700平方メートル程度で、全体の約2%にとどまる。

 森友学園の小学校用地で撤去の対象になったのは、深さは杭が打たれる最深部9・9メートルまで。範囲は敷地面積の約60%に当たる5190平方メートルに達する。豊洲と比べても、やはり対象範囲が不自然にデカすぎるのだ。

 「新たに杭を打つために、敷地面積の6割もの範囲のゴミを撤去する必要があるとは思えません。工費を圧縮するためにも、撤去範囲を抑えた豊洲市場の工法の方が妥当と言えます。また、豊洲の地下から出てきたゴミの中には、巨大なコンクリート塊もあるので、工事はかなり大規模なものだったと思われます。それに引き換え、小学校の敷地から出てきたのは、生活ゴミやコンクリート片。そこまで大規模な工事は必要ないはずです。豊洲でかかった費用が3億円だったのと比較しても、8億1900万円もの撤去費用の見積もりは、高すぎます」(建築エコノミストの森山高至氏)

 どう考えたって、「上からの政治力」で“値引き”されたとしか思えない。

 

籠池夫妻経営の別の幼稚園 休園に追い込まれた危ない理由(2017年3月5日配信『日刊ゲンダイ』)

 

 傘下の幼稚園や保育園での保護者とのトラブルや園児「虐待」疑惑が次々と発覚。森友学園の籠池泰典理事長夫妻は、教育者としての資質にも疑問符がつく。実際、3年前には塚本幼稚園とは別の幼稚園がトラブル続きで休園に追い込まれていた。驚くことに、きっかけは妻・諄子夫人と小学生との間のトラブルだったという。

 2014年4月に休園したのは理事長夫妻が運営していた「南港さくら幼稚園」(大阪市)だ。同年12月、問題の小学校認可を巡る大阪府の私立学校審議会の議事録には、〈(森友学園は)2園やっておられたのですが、その1園は現在休園状態。永続的に小学校を運営されることには疑問を持ちます〉との記載がある。

 休園のいきさつについて、塚本幼稚園に子どもを預けていた女性はこう証言する。

「諄子副園長は塚本と南港の2つの幼稚園を掛け持ちしていました。2010年末に副園長が2週間ほど、塚本幼稚園に一度も現れなかったことがありました。私が不在だった理由を聞くと、副園長から次のような説明があったと記憶しています」

その説明をまとめると、南港幼稚園の近隣の小学校に通う顔なじみの生徒が幼稚園の前を通った。「おはよう」と声をかけても無視したので注意したら、逆に歯向かってきた。もう頭にきて……。

「その後、小学生の親がこのトラブルを表沙汰にし、その対応に追われたそうです。『こちらはしつけでやっているのにアホな親や』とも言っていました。小学生の家族は“被害”を訴えているのに、副園長には悪びれた様子はなく、正しいことをしたという言い方でした」(前出の女性)

このトラブルを機に、入園希望者が激減。休園に至ったというのだ。諄子夫人宛てに事実関係を書面で問い合わせたが、期限までに回答はなかった。

休園に追い込まれたのは、籠池夫妻が鴻池参院議員に接触した時期と重なる。休園による学校法人の財政悪化に苦しむ中、政治家に頼らざるを得なかったのか。

 

森友追及にニタニタ笑顔 “ポスト安倍”狙う麻生大臣の計算(2017年3月4日配信『日刊ゲンダイ』)

 

笑顔が絶えない麻生太郎副総理

 

「最近の麻生さんは機嫌がいい」――。安倍首相が「森友学園」疑惑で窮地に立たされているのと反比例するように、いきなり麻生太郎副総理が元気になっているという。

 実際、安倍首相が野党から厳しい追及を受けている、その後ろでニタニタと笑顔をみせている。

 「麻生さんの機嫌がいいのは、安倍首相が倒れたら“ポスト安倍”は俺だと計算しているからだろう、と政界ではみられています。とにかく笑顔が絶えない。たしかに、いま安倍首相が退陣に追い込まれたら、後継は麻生さんになる可能性が高い。副総理だし、安倍首相が禅譲するなら麻生さんでしょう。大嫌いな石破茂氏や野田聖子氏には絶対に譲らない。麻生首相なら、安倍首相も政治力を維持できますからね」(自民党関係者)

 麻生太郎氏の側近である鴻池祥肇元防災担当相の事務所から、森友学園との面会記録が流出したのも、安倍首相にダメージを与えるために意図的にやったのではないか、といったうがった見方まで出ている。

 「麻生さんが元気になったといった話が飛び交うのは、“森友学園疑惑は安倍首相の致命傷になりかねない”と自民党議員が危機感を強め始めた裏返しです。これまでの大臣の疑惑とはインパクトが違う。石破茂さんも倒閣のチャンスと思っているのか、森友学園疑惑を問題にし始めています」(政界関係者)

 安倍首相が、かなり追い詰められているのは間違いなさそうだ。

 

政治家関与の新局面(2017年3月4日配信『しんぶん赤旗』)

 

森友問題 小池書記局長語る

IWJ番組

 日本共産党の小池晃書記局長は3日、インターネット報道メディア・IWJ(インディペンデント・ウェブ・ジャーナル)の番組で岩上安身IWJ代表のインタビューに応じ、「森友学園」への国有地払い下げ問題をめぐり、自民党の鴻池祥肇参院議員事務所の資料で政治家の関与が明らかとなった、新たな局面について語りました。

 岩上氏は、小池氏が1日の参院予算委員会で「自民党のある議員」の資料を安倍晋三首相に突きつけた直後に、鴻池議員が記者会見で同学園側からの働きかけがあったと認めたことにふれ、「めまぐるしい展開だった」と述べました。

 小池氏は、安倍首相は行政府の長として、さらに自民党総裁として、財務省や国交省などの担当者と政治家の関与について徹底調査する責任があると強調。「森友学園への土地売却に関わったすべての当局者に聞き取り調査を行い、自民党の全議員に、籠池氏(泰典理事長)が何か持ってこなかったか全部明らかにするよう聞くべきだ」と語りました。

 さらに、同学園が塚本幼稚園の園児に、「教育勅語」を暗唱させたり、「安倍首相頑張れ」と運動会で“宣誓”させたり、さらに虐待的なことまで行っている実態に言及。安倍首相夫人の昭恵氏について、「教育の名に値しない学校法人の小学校の名誉校長となり、幼稚園の講演のなかでは『こちらの教育方針は大変主人(安倍首相)もすばらしいと思っていて』と言っている」と批判しました。

 小池氏は、安倍首相夫妻には同学園の教育を賛美した道義的責任があると述べ、「安倍政権が何をめざしているのかという問題と重なってくる。この間の安保法制=戦争法の問題や、秘密保護法、そして国会に上程されようとしている共謀罪法案。まるで戦前のような国にしてしまっていいのかが問われている」と語りました。

 

国有地売却(2017年3月4日配信『しんぶん赤旗』)

 

見積もり依頼 不透明

清水氏に 航空局長答えられず

 日本共産党の清水忠史議員は3日の衆院国土交通委員会で、学校法人「森友学園」への国有地売却問題をめぐり、近畿財務局が大阪航空局に地下埋設物の撤去費用を見積もるよう依頼したことについてただし、大阪航空局長や国交省本省が知らないままに、大阪航空局のごく一部の担当課で見積もりが進められていた可能性が明らかになりました。

 清水氏は、大阪航空局が地下埋設物の撤去費を約8億円と積算したことが、国有地値引きの根拠になっているとして、「どの担当課が見積もり依頼を受け、どのように検討したのか」「大阪航空局長はいつ依頼を知ったのか」「(国交省の)本省に報告したのか」とただしました。

 国交省の佐藤善信航空局長は「(依頼を受けたのは)大阪航空局空港部補償課」というだけで、「大阪航空局長に(報告が)上がった日がいつかは現時点でわからない」「本省に報告が上がったかどうかも確認する」と述べ、何も答えられませんでした。

 清水氏は「大阪航空局としてやったことのない撤去費用の見積もりを、大阪航空局長も知らない、本省にも報告していないのなら問題だ」と批判して、一連のやりとりをまとめて報告するよう求めました。

 清水氏は、▽一般競争入札に要する期間は1カ月であり、入札による見積もりは可能であったこと▽森友学園の小学校開校を延期することは可能である―として開校時期が迫っているからと近畿財務局が大阪航空局に見積もりを依頼した理由は成り立たないことを指摘しました。

 

森友側 陳情2ルート 「用地取得」鴻池氏ら 「学校認可」維新府議(2017年3月4日配信『東京新聞』)

 

 大阪府豊中市の国有地が学校法人「森友(もりとも)学園」(大阪市)に小学校用地として格安で売却された問題で、学園の籠池(かごいけ)泰典理事長が用地取得を目指して鴻池祥肇(こうのいけよしただ)元防災担当相に接触した一方、小学校認可を巡り地方議員にも陳情していたことが3日、明らかになった。用地取得と認可の二つの「壁」を突破するための政治ルートを自ら構築しており、関係は適切だったか疑惑は深まる。

 学園は2014年10月、大阪府に小学校の認可申請書を提出。同12月18日に府私立学校審議会(私学審)が答申を保留し、継続審議となった。

 籠池氏はこの直後、豊中市選出で政治団体・大阪維新の会の中川隆弘大阪府議(56)に認可への協力を要請。中川氏によると、籠池氏とは初対面だったが、山口県防府市の松浦正人市長が仲介した。松浦氏は一五年に籠池氏と雑誌で対談、学園の教育を「素晴らしい実践」と評価している。

 小学校の名誉校長には2月まで安倍晋三首相の妻昭恵氏が就任。首相は「講演の場で拍手をされ、『お引き受けできない』と言うことができなかった」としている。

 一方、籠池氏は国有地の借地や購入を巡り、鴻池氏側に13年8月から16年3月まで計16回にわたり陳情。14の面会で紙包みを差し出したことを代理人弁護士が認め、「お見舞いを兼ねて商品券を渡そうとしただけだ」と説明している。

 鴻池氏の元秘書で自民党の黒川治兵庫県議は三日に記者会見し、籠池氏からの依頼を受け、08年7月に学園が運営する幼稚園であった講演を鴻池氏に引き受けてもらった経緯も明かした。

 森友学園は3日、籠池氏との接触を明らかにした鴻池氏の1日の記者会見について「合理性を欠く」などとする批判文書をホームページに掲載。鴻池氏の事務所は取材に「意味が分からない」などと反論した。

 

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クローズアップ2017;「森友」保守系に浸透(2017年3月3日配信『毎日新聞』)

 

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 大阪市の学校法人「森友学園」の土地取得を巡る疑惑は、籠池泰典理事長が鴻池祥肇(よしただ)元防災担当相に助力を求めていたことが分かり、新局面を迎えた。鴻池氏は依頼を断ったというが、国への働きかけを頼まれ、実際に動いた政治家は他にいないのか。全容解明を求める声は高まる一方だ。

議員ら、思想に共鳴

 可愛い園児が朗々と教育勅語を暗唱したことに感動した−−。鴻池氏は2008年、森友学園の運営する塚本幼稚園(大阪市淀川区)で講演した際、学園の教育理念を絶賛した。大阪府に隣接する参院兵庫選挙区選出の自民党議員で、塚本幼稚園を何度か訪れていたという。教育理念は思想的には合うと感じていたという。一緒に見学した保守系の大阪市議は、鴻池氏について「教育に熱心な先生だなあ、と思った」と振り返る。

 森友学園に引きつけられたのは、鴻池氏だけではない。

 安倍晋三首相は同学園の寄付金集めで名義を無断使用されていたが、2月中旬には「私の考え方に非常に共鳴している方」と答弁していた。開校予定の小学校で名誉校長となっていた夫人の昭恵氏も15年9月5日、塚本幼稚園で講演したことを自身のフェイスブックに投稿。「園児達はお行儀が良く……毎朝君が代を歌い、教育勅語を暗唱」などとほめた。日本維新の会の地方議員の一部からも教育理念に共感する声が上がっていた。

 関係者によると、籠池氏は10年前から「いずれ小中高を備えた総合学園を作りたい」と周囲に夢を語っていた。

 籠池氏は憲法改正を目指す保守団体・日本会議の大阪の支部で運営委員を務めている。同会議の国会議員懇談会には安倍首相や鴻池氏ら、有力政治家が軒並み名前を連ねる。また1000人超が所属する「地方議員連盟」もある。地元では「最近の会合ではほとんど姿を見ていない」との声もあるが、政界との接点を深めようとしたのか。

 鴻池氏は1日夜、籠池氏から用地取得で助力を求められていたことを明かした。鴻池氏は麻生太郎財務相の派閥に属している。「籠池夫妻は近畿財務局への影響力を期待したのではないか」との見方もある。毎日新聞が入手した記録によると、籠池氏は13年8月〜16年3月、事務所に15回も陳情攻勢をかけていた。

 鴻池氏の説明では関係は3年前に終わったという。参院議員会館の事務所に陳情で訪ねてきた夫妻とトラブルが起きた。事務所関係者は取材に「籠池氏の妻が封筒のようなものを出したとき、オヤジ(鴻池氏)は本当にキレた。『無礼者、帰れ!』と封筒を投げつけた」と話す。ただ、その後も陳情は続き、鴻池氏は黙認していた。籠池氏は保守政界の人脈を誇る。国への働きかけを頼まれ、実際に動いた政治家は鴻池氏だけなのか。土地取引を巡る疑惑は深まっている。

用地取得、異例ずくめ 財務局、鴻池氏側へ経過伝達

 森友学園が問題の小学校用地を取得するまでの経緯は異例ずくめだ。特に財務省の異様なまでの学園への「配慮」が陳情記録から浮かぶ。記録には、13年9月13日、近畿財務局の課長補佐が鴻池氏の事務所に問い合わせへの回答を伝えたとする記述がある。事務所は「話の分かる役人さんです」と書き込んでいた。

 2日の国会審議で財務省の佐川宣寿理財局長は、15年2月の国有財産地方審議会前に土地の貸付料などの条件を提示することはない、とした。ところが陳情記録では14年1月、「近畿財務局と前向きに交渉中。賃料年間3500万円を2500万円に」などと貸付料の記述が出てくる。

 国は資金を用意できない学園側の事情を踏まえ、15年5月に国有地借地契約を結んだ。希望時に時価で買える特約付きで売買代金は10年分割払い−−という厚遇ぶりだった。学園からの「地下からごみが見つかった」との報告を受け、国は不動産鑑定士が査定した土地価格9億5600万円からごみ撤去・処分費約8億円を引いた1億3400万円で売った。価格は公開が一般的だが、学園の希望で当初非公表だった。

 さらに、国は契約締結前に見つかった土壌汚染の対策費として約1億3200万円を学園に支払い、「森友学園は200万円で土地を手に入れた」(共産党・志位和夫委員長)。ごみ撤去・処分費は第三者ではなく国土交通省大阪航空局が算定した。前例のない対応で、佐藤善信航空局長は「開校時期が迫る中(近畿)財務局から依頼があった」と国会で説明した。

 学園から大阪府への学校設置認可申請の取り扱いも奇妙だった。府の私立学校審議会は14年12月に教育内容や多額の借入金を理由に継続審議としたが、15年1月の臨時会で「認可適当」とした。当時は「国と用地の借地契約を締結済み」という審査基準を満たしていなかったが、府は国と学園が借地契約を結ぶ見通しだとして審議を続行。向井正博府教育長は「開校時期や校舎建設の工期から見て、早期に審議する必要があった」と言う。

 大阪府は森友学園の小学校について、認可判断の先送りを検討している。

籠池氏就任後、右傾化 学園運営の幼稚園

 万国旗がはためき、体操着姿の幼稚園児たちが元気に入場行進する。見守る保護者たち。ほほ笑ましい運動会の風景は、選手宣誓の場面で一変する。

 「大人のみなさんには日本が他の国々に負けぬよう、尖閣列島、竹島、北方領土を守り、日本を悪者として扱っている中国、韓国が心改め、歴史教科書でウソをおしえないようお願いいたします」

 2015年秋、森友学園が運営する幼稚園の運動会の一コマ。園児が「安倍首相がんばれ。安倍首相がんばれ。安保法制国会通過よかったです」と叫んだ。続くお遊戯では何事もなかったかのように「嵐」の「GUTS!」を踊った。

 学園設立は1950年。初代の森友寛理事長が95年に死去し、娘婿の籠池氏が継ぐと「右旋回」を始めたとされる。

 過去のインタビューでは、教育勅語の暗唱は00年ごろから。保守派の間で話題となり、安倍昭恵氏など著名人も訪れるようになった。一方で、軍歌を歌わせ、保護者に「よこしまな考え方を持った在日韓国人や支那人」などと記載した文書を配ってヘイトスピーチまがいだと批判されることも多かった。

 問題の選手宣誓について野党は「教育基本法が禁じる学校での政治的活動だ」と批判する。

 同法に抵触するかどうかについて、松野博一文部科学相は「大阪府の判断だ」と答弁。文科省の責任については「大阪府の行政事務が違反行為なら適正化を求める」とした。

 学校教育法では、法令に故意に違反する学校には知事が閉鎖命令を出せる。同省担当者は「命令は聞いたことがない。その前に指導する」と話す。

 戦時下で天皇や国家への奉仕を求め、軍国主義を正当化した教育勅語について、同省は「戦前のように我が国唯一の根本理念と教えるのは問題だ」とする。

 

陳情報告書の主な内容 籠池理事長「高すぎる。何とか働きかけてほしい」(2017年3月3日配信『東京新聞』)

   

 大阪市の学校法人「森友学園」への国有地売却問題を巡り、鴻池祥肇元防災担当相側が籠池泰典理事長らとのやりとりを記録した陳情整理報告書の主な内容は、以下の通り。(■は黒塗り部分。※は記入者のコメントとみられる)

13年【8月5日・相談】■から

 ■幼稚園が小学校設立希望の件、豊中市の国有地借地を希望。近畿財務局より、学校の場合は「購入」のみと回答あり。ついては8年間は借地にて、その後「購入」とできないか?

【同月21日・報告】籠池理事長から

 大阪航空局にて、財務局も同席にて、土地借り入れ希望の件。話し合い済みの1回目の要望を承る旨にて終了。

【同月27日・報告】籠池理事長から

 小学校建設の件。8月26日、大阪府へ設置認可等に関する相談。審査基準に借地の場合は、20年以上の賃借権が要。大阪航空局へは、8年の賃借後、購入予定で交渉中。(※当事者が詳細は詰めてやってください)。コンサル業ではありませんので。

【同月30日・報告】籠池理事長から

 近畿財務局から連絡があり、9月2日に経過説明を行う。

【9月9日・報告】籠池理事長から

 小学校用地の件。先週9月2日、財務局より、7〜8年賃借後の購入でもOKの方向。本省および大阪府と話し合ってくれる。上記の賃借料を“まけて”もらえるようお願いしたい。

【同月13日・相談】籠池理事長から

 9月12日、大阪府庁へ近畿財務局(国有財産管理官)が来て、小学校設立認可(私学審議会、年1回の認可)のおスミ付きが必要と、大阪府は土地賃借の決定が必要と。ニワトリとタマゴの話。何とかしてや。※どこが教育者やねん!

【同日・回答】近畿財務局■課長補佐から

 上記の件、上司にヨロシクと申し入れした、と籠池理事長に言うてください。9月12日は、大阪府担当部署との顔合わせ的ニュアンス。ある意味、ニワトリタマゴの話ですが、前向きにやっていきますから(※話の分かる役人さんです)

【10月12日・相談】籠池理事長夫妻から、議員同席

 小学校用地の件。4〜5日前は、近畿財務局と大阪航空局職員数名と共に、現地視察。その際、事務方の判断できる事ではない?というニュアンスを感じたので、上から政治力で早く結論が得られるようにお願いしたい。土地価格の評価額を低くしてもらいたい(※近隣路線価記載地図コピーあり)。ウチは不動産屋ではありませんが!

【同月15日・回答】近畿財務局■統括官から

 塚本幼稚園の件。従来通り前向きに、ただし大阪府の認可を取っていただかないと進みません。

【同月16日】籠池理事長から

 大阪府の小学校設立認可条件として、土地基本財産の手当が絶対。国が土地の件を確約してもらわんと…。

【同日・回答】近畿財務局国有財産■統括官から

 大阪府とは、横の連携をとっているので土地手当の件は府から確認があればOKと回答できます。また、賃借の件は本省と打ち合わせ済み。※大阪府の担当者は土地以外の生徒募集を一番に懸念されているようですが

【同月24日・報告】籠池理事長から

 小学校設立申請書類の内、収支予定書があり月額賃料を月100万とする(これは希望額)。低く見積もっておけば、そこをベースに賃料交渉ができるのではと思っている。(※策士)

【12月2日・報告】籠池理事長から

 新設小学校用地の件。先週1週間で測量終了(ありがとうございました)。長年の夢のカリキュラムを検討中。お目通りを。別紙FAX

14年【1月31日・報告・相談】籠池理事長から

 小学校用地の件。近畿財務局と前向きに交渉中。賃料および購入額で予算オーバー。賃料年間3500万円を2500万円に。5月に契約。売却予定額15億円を7〜8億円に、が希望。※不動産屋と違いますので。当事者間で交渉を!

【同月21日・相談】籠池理事長から

 うわさで、■伊丹店は国有財産地を格安で購入した土地だそうで、購入価格を参考に知りたい。

【同月22日・回答】近畿財務局神戸財務(事)から

 上記の件。平成3年に運輸省が取得。平成24年7月、新関西国際空港に現物出資。払い下げ物件ではありませんので、価格も分かりません。

【同日・回答】大阪航空局管財調達課から

 ■伊丹店の件。該当地は新関西国際空港会社に現物出資したもの。新関空さんがどのような条件で賃貸されているかは不明。

【3月19日・相談】籠池理事長から

 私立小学校へ経常費助成について、初年度1年生、2年生を入学させるが、大阪府は文科省の指導により、1学年しか補助できないと。ホンマか? 確認してほしい。

【同日・回答】■秘書から

 経常費助成費補助金交付の件。単学年のみの規約などなし! 文科省より大阪府へ問い合わせ済み。2学年共補助するとの回答あり。※別紙、交付要綱FAXあり。籠池氏へ転送済み

【4月24日・報告】籠池理事長から

 4月28日近畿財務局へ(4月中期限)用地賃借希望書類一式提出します。

【6月17日・報告】近畿財務局管財課から

 塚本幼稚園、小学校用地の件。平成28年4月開校のためには、本年12月までに手続き完了が必要。そのためには7月末日までに申請が必要。籠池理事長より諸手続きをコンサル業者に任せると報告あり。これでやっと事務処理が進むと思う。※要は資金調達がポイント!

15年【1月9日・相談】籠池理事長から

 国有財産、賃借の件。本日1月9日、財務省担当者より土地評価額10億、10年間の定期借地として賃料年4%約4000万円の提示あり(固定資産税分が根拠?)。高すぎる(※2%〜2・3%を想定)。何とか働きかけしてほしい。

16年【3月14日・相談】籠池理事長から

 小学校用地の件。近畿財務局の対応に不満。3月15日に本省に行く。アポ等お願いしたい。

 ※現状、お断りします。昨年9月に土壌改良工事について、業者、設計の担当者に対して近畿財務局より不当な提案があった事を3月11日に聞いたので。

【同日・回答】近畿財務局■課長補佐から

 上記の件。今朝、一方的に3月11日本省へ行く旨、電話があった。対応として、本日3月14日16:00に籠池理事長等とお会いして説明予定。近畿財務局としては、施工業者に説明。イコール施主も考えていたが…。キチンと説明してきます。

【同月15日・報告】近畿財務局■課長補佐から

 3月14日籠池理事長と面談済み。納得されず、本日3月15日財務省理財局へ行かれました。本省より、近畿財務局でキチンと対応する旨、説明済み。地下埋設物の撤去に関わる予算は、地主の大阪航空局。財務局は契約関係のみ。今後も話し合っていきます。了解

 

森友学園と国 鴻池氏側が仲介 陳情記録に用地交渉、接触25回(2017年3月3日配信『東京新聞』)

 

 学校法人「森友(もりとも)学園」(大阪市)が大阪府豊中市の国有地を評価額より大幅に安く取得した問題で、本紙は鴻池祥肇(こうのいけよしただ)元防災担当相側と学園の籠池泰典(かごいけやすのり)理事長らのやりとりを記した陳情整理報告書の写しを入手した。鴻池氏の神戸事務所が籠池氏や国側などと接触した回数は記録上、2年7カ月に25回。「何とか働きかけしてほしい」という籠池氏の露骨な要望も記録されている。鴻池氏の秘書は2日、本紙の取材に応じ、報告書を書いたことを認め「(財務省近畿財務局などへ)要望を伝えた」と語った。

 報告書はA4判六ページ。2013年8月5日〜16年3月15日のやりとりが手書きされている。鴻池氏側と籠池氏の接触の記録は15回。この間に学園は国有地の定期借地権契約を結ぶが、同年3月11日に敷地で新たなごみが見つかる。

 報告書は「小学校設立希望の件 豊中市の国有地借地を希望」で始まる。9月9日には「財務局より、7〜8年賃借後の購入でもOKの方向」との記載。「賃借料をまけてもらえるようお願いしたい」という籠池氏の要望も書かれている。

 払い下げ交渉が難航した時期には、近畿財務局の担当者の「前向きにやって行きますから」という発言も。これに「話の分かる役人さんです」という鴻池氏側のコメントが付記してある。

 13年から15年にかけ籠池氏側は「政治力で早く結論が得られるようにお願いしたい」「賃料年約4千万円の提示あり。高すぎる。何とか働きかけしてほしい」と繰り返し要望。鴻池氏は1日の会見で、この間の14年4月に東京の事務所で籠池氏夫妻から紙包みを差し出されたが受け取らなかったと明かした。この面会は記録にない。報告書には「どこが教育者やねん!」「ウチは不動産屋ではありません」などの鴻池氏側の愚痴も随所にみられる。

 15年1月9日の面会の後、小学校新設計画は順調に進む。同月27日に大阪府私立学校審議会が条件付きで設立を認可。2月10日に国有財産近畿地方審議会が賃借を了承した。5月の契約では賃料が年730万円だった。

 入手した報告書は、敷地から新たなごみが見つかった直後まで。学園側はその後、ごみ撤去費を差し引いた1億3千400万で国から土地を購入した。

◆秘書「要望を伝えただけ」

 鴻池祥肇元防災担当相の公設秘書が2日、本紙の取材に、森友学園の国有地取得問題で、学園の籠池泰典理事長からの陳情整理報告書を作成したことを認め、財務省近畿財務局などの担当者に籠池氏からの要望を伝えたと明らかにした。

 秘書は、鴻池氏の地元・神戸事務所に勤務する古参の男性秘書。秘書によると、籠池氏から要望を受けると、近畿財務局などの担当者名と連絡先を聞き取った上、財務局に電話をして取り次いだ。籠池氏との直接の面会は1、2回で、ほとんどは電話だった。

 秘書は取材に「何かしてほしいということではなく、要望してきたことを(財務局などに)伝えただけ」と説明。財務局が国有地の賃貸を認めるなど要望に応じた対応をしたことについては「判断は役所の司(つかさ)、司がする。政治力を使ったことはないし、そのような政治力はない」と述べた。

 面談記録は、国会の事務所にも送り、鴻池氏が目を通せるようにした。鴻池氏自身が財務省などに仲介したことは「ない」とした。

 鴻池氏は麻生太郎副総理兼財務相の側近で、自民党内の麻生派に所属。麻生政権で官房副長官も務めた。

 

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森友学園理事長、大阪府議に接触…認可働きかけ(2017年3月3日配信『読売新聞』)

 

 大阪府豊中市の国有地が国の鑑定評価額を大幅に下回る価格で学校法人「森友学園」(大阪市)に売却された問題を巡り、鴻池祥肇こうのいけよしただ元防災相側に接触していた同学園の籠池泰典理事長が、小学校の設置認可や国有地の取得に向け、地方議員にも働きかけを行っていたことがわかった。

 同学園が買い取った国有地で今年4月の開校を目指している小学校「瑞穂の国記念小学院」を巡っては、設置認可を審議する府私立学校審議会(私学審)が2014年12月、財務状況への懸念などから認可答申を保留。その直後、豊中市選出の大阪府議・中川隆弘氏(大阪維新の会)は、籠池氏から面会の要請を受け、同市内で初めて会った。

 中川氏によると、夫人を伴って現れた籠池氏は「認可されるようにしてほしい」と依頼。中川氏は、府の担当者から認可に向けた課題を聞き取り、籠池氏に伝えたという。私学審は翌15年1月、一転して条件付きで「認可適当」と答申した。中川氏は「審議の状況を確認して伝えただけ。金品の授受もない」と説明している。

 また、鴻池氏の元秘書で、兵庫県議の黒川治氏(自民)は、小学校用地として国有地の取得を目指していた籠池氏から「色々相談したい」と鴻池氏の紹介を依頼され、13年8月、神戸市にある鴻池氏の事務所で秘書に取り次ぎを求めたという。

 その後、籠池氏は鴻池氏や秘書と面会し、「土地価格の評価額を低くしてもらいたい」と要望。翌14年4月には、参院議員会館で鴻池氏が籠池夫妻と面会した。鴻池氏によると、夫妻は紙包みを渡そうとしたが、鴻池氏は中身を確認せず突き返したという。籠池氏はその後も秘書への働きかけを繰り返していた。

 

森友学園疑獄 8億円値引きの裏でうごめいた“政官界の闇”(2017年3月3日配信『日刊ゲンダイ』)

 

 予想通り、政界工作が行われていた森友学園への国有地払い下げ疑惑。籠池理事長はこれまでメディアの取材に「政治家に頼んだことはない」と答えていたが、それがウソだということが鴻池会見でハッキリした。籠池理事長は幅広い政界人脈を誇っていた。タダ同然の不当な国有地売却で、どんな裏工作が行われていたのか。

■近畿財務局の独断ではあり得ない異常

 今度のことは、何から何まで異例ずくめだ。国有地の売却価格が8億円も値引きされたことだけじゃない。財務省が当初、売却価格を隠していたり、売買の交渉記録を既に廃棄したのもおかしな話だ。大阪府が小学校の設置基準を緩和したこと、私学審議会がいったん保留にしたのに、その後わずか1カ月でスピード認可したことも異常である。地方の出先機関である近畿財務局の独断ではあり得ないことだ。

 「8億円もの値引きを、ルールを重視する官僚が自分たちの一存でやれるはずがない。しかも、森友学園が国有地を取得する前、別の学校法人が5億8000万円での購入を希望した時、財務省は『安過ぎる』と突っぱねているのに、森友学園には1億3400万円という安値で払い下げている。官僚が応じざるを得ない大きな政治権力からの圧力があったとみて間違いないでしょう。国有地売却では官邸サイドが、小学校の認可では大阪維新の会が関わっているのではないか。両者の連携プレーが疑われます」(立正大教授・金子勝氏=憲法)

 実際、籠池理事長は学園の催しの際に、「行政に一生懸命後押しいただきながら」と発言。小学校開設が実現したことを自慢げに語っていた。行政がなぜ“後押し”するのか。政治力のなせる業だ。

■完全に崩れた認可取り消し幕引きシナリオ

 国有地の払い下げには過去、必ずといっていいほど政治家が暗躍していた。今回も数多くの政治家の名前が水面下で囁かれている。安倍首相だけじゃない。現職閣僚、元文科大臣、自民党役員、自民党女性議員、自治体首長、府議……。当選1、2回の陣笠議員や野党議員の働きかけで、財務省が動くことはないだろう。与党の大物議員の働きかけがあったとみるのが自然だ。

 1日の参院予算委での安倍は、いつにも増してヒステリックで異様だった。開設予定の小学校の名誉校長だった昭恵夫人と学園の関係を追及されると、「妻を犯罪者扱いするのか」と声を荒らげたのだ。質問者の共産党・小池議員はそんなこと言っていないのに、安倍は後ろめたい気持ちがあるから、過剰反応するのだろう。

 4月の開校を前に今月、大阪府に「不認可」を出させ、“安倍晋三記念小学校”をなきものにして幕引きしようというのが安倍政権のシナリオだったが、完全に崩れた。疑獄は底ナシである。

 

別の政治家関与調査を 森友学園への国有地格安売却(2017年3月3日配信『しんぶん赤旗』)

 

小池氏、鴻池議員事務所記録示し追及

参院予算委 安倍首相は解明に背

 日本共産党の小池晃書記局長は2日の参院予算委員会で、大阪市内の学校法人「森友学園」(籠池泰典理事長)への国有地不透明売却問題を追及。前日の質問で示した自民党議員の面談記録は、鴻池祥肇参院議員事務所のものであることを明らかにしたうえ「森友学園側が異常な国有地払い下げのために政治家の力を利用したことは明白だ」と追及。「政治家の関与はない」という説明の根拠が崩れたとして、安倍晋三首相に徹底解明を求めました。

 小池氏は、安倍首相がこの記録について前日の同委員会で「どういう文書かわからない」「まるで私の事務所であるかのようなイメージを与えている」とあたかも虚偽であるかのような答弁をしたことに厳しく抗議。前日に「どういう文書か承知していない」と答弁拒否した財務省にたいしても「逃げ回らず答えよ」と求めました。

 財務省の佐川宣寿理財局長は「学園側と多くのやり取りがあったが、記録は残っておらず、(担当者も)記憶がない」と答え、具体的な事実を一切明らかにしない態度をとりました。

 小池氏は「記録を廃棄してしまったので分からないというが、隠しているとしか思えない」として、籠池氏と近畿財務局の詳細な面談内容の国会への提出を要求しました。山本一太予算委員長は「理事会で協議する」と答えました。

 籠池氏は16年3月15日、財務省国有財産審理室長と面談し対応を求めています。当時は森友学園が賃借中だった土地から新たな埋設物が出たと主張し、8億1900万円の異常な値引きと土地売却の方式が決められていく重要な時期でした。

 小池氏は、この会談は、鴻池事務所が依頼された財務省への仲介を断った後に行われており、「別の政治家の仲介があったのではないか」と指摘。「鴻池氏のように、森友側から働きかけを受けた議員がほかにもいるか、財務省、国交省なども含め徹底調査すべきだ」と求めました。安倍首相は「嫌疑をかけられた政治家は自ら説明責任を果たすべきだ」とだけ答弁。

 小池氏は「まるで評論家のような無責任さだ。解明しようという姿勢がない、それどころかフタをしようという姿勢だけで、これでは国民は納得しない」とのべ、引き続き徹底追及することを表明しました。

 

森友学園疑惑 政治家の関与は明らか(2017年3月3日配信『しんぶん赤旗』)

 

安倍首相に解明責任

参院予算委 小池書記局長の連続追及

 日本共産党の小池晃書記局長は1日に続き2日の参院予算委員会で、大阪市内の学校法人「森友学園」をめぐる疑惑について、政治家関与の解明を迫りました。やりとりの要旨を紹介します。

鴻池議員事務所資料で質問

国会審議冒涜答弁に抗議

 小池 きのう(1日)私は、自民党国会議員事務所の記録をもとに質問をしました。昨日の段階では「ある国会議員」として紹介いたしましたが、これは鴻池祥肇議員の事務所で作成された「陳情整理報告書」です。私どもが独自に入手したものです。

 昨夜、鴻池氏が記者会見を行いました。森友学園の籠池理事長側から、何度も財務省などへの働きかけを求められたこと、3年前の4月には、籠池理事長夫妻が金銭らしきものを持ってきたことなどを証言されています。鴻池氏は、「一瞬で金だとわかった。だからそれをとって、無礼者!と言った。男の面を銭でたたく、政治家の顔を銭でたたくのは教育者と違う、帰れと言った」「その後出入り禁止にした」と話しています。

 森友学園側が異常な国有地の払い下げのために、政治家の力を利用しようとしたことが明らかになった。事実ははっきりしたと思います。総理はきのう私の質問に対して「どういう文書かわからない。本当かどうかもわからない」「どういう資料かを示さなければ、理財局長は答えようがない」、あげくの果てに、「ある事務所というのはまるで私の事務所であるかのようなイメージを与えている」と、まったく意味不明の答弁をされました。厳しく抗議したい。

 私どもは全力を挙げて情報を集めて質問しています。同時に、どんなときも必ず裏付けをとって質問しています。情報源は断固として守り抜くという立場で臨んでいます。政府の公式発表だけで国会質問やっていたら、真実は明らかにならない(「そうだ」の声)。それをああだ、こうだというのは国会審議に対する冒涜(ぼうとく)、否定だと思いますよ。(「その通り」の声)

開校迫る時期の面談記録

廃棄・隠ぺい許されない

 小池 きのうの質疑で、財務省はどんな文書かわからないと、こう言いました。まるで怪文書のような極めて失礼な、無礼な言い方をしました。自民党の鴻池議員事務所の記録だと示したんですから、今度は逃げ回らずに答えてください。

 財務省には昨日(1日)、面談記録に書いてある個人名、近畿財務局の担当官の名前も伝えました。鴻池事務所の面談記録にあるように2015年1月9日、近畿財務局管財課の統括官が籠池理事長に会って、そこで近畿財務局が「土地評価額10億、10年間で賃料年4%、約4000万円」と籠池氏に提示した。籠池氏は「年間2000万から2300万円」にしてくれと要望した。この事実を、事実として認めますね。

 佐川宣寿財務省理財局長  当方として、議員事務所と学校法人との間でのやりとりのメモということで、私どもとしてお答えすることは差し控えさせていただきます。

 小池 私は議員事務所とのやりとりについて聞いてるんじゃない。近畿財務局の担当官が籠池さんと会った経過が書いてある。これが事実かと聞いている。

 理財局長  公的取得要望から貸し付け契約、売却契約まで、学校法人と近畿財務局の間で議論しているわけであります。その中で何月何日にという意味での詳細な面会記録は、残っていないわけで、逐一その点については確認できないと申し上げている次第です。

 小池 私は、誰が会ったか具体的な人の名前も統括官の名前も伝えている。その人に聞いたんですか。

 理財局長  何度も申し上げておりますが、その担当者と先方の間でいろんなご議論をしているのも確かです。そういう中で、そういう個別の面会の記録は残っていません。

 小池氏が「1月9日に籠池氏に会ったかどうか統括官に聞いたのか」と重ねて確認しても、「面会記録が残っていない」と繰り返し、事実を明らかにしない理財局長。小池氏は「なんでこんなことが言えないのか。隠しているとしか思えない」と批判し、15年1月9日の近畿財務局と森友学園の面談が意味する重大性について指摘しました。

 小池 この時期は重要な時期なんです。大阪府私立学校審議会で森友学園の財務状況について議論が沸騰していた時期なんですよ。最初に予定されていた開校時期が迫っていて、森友側だって必死だったはずなんです。

 そういう時期に陳情の交渉をして、財務省が森友側に有利な条件を提示していたとすれば、それが大阪府私学審議会の議論に影響を与えたとすれば重大な問題じゃないですか。1月9日というのは、そういう時期なんです。だから聞いているんです。これまったく答えない。隠ぺいです。籠池理事長と近畿財務局の詳細な面談内容を国会に提出するよう求めます。

 山本一太予算委員長 後刻理事会で協議します。

 小池 われわれが資料を示すと、誰が書いたかわからない。資料の出所を示すと、今度は自分たちの記録を廃棄してしまったという。

 きのう、総理は「ないことを証明するのは悪魔の証明だ」とおっしゃったが、自分たちで廃棄しておいて、立証責任を野党に求めるのは本末転倒ですよ。

 国民の財産を8億円も値引きして売却した経過を「適正な処理だった」と言い張る。ほとんどの国民はこの経過に納得していないですよ。大事な税金を、どうなっているんだと、みんな怒っていますよ。ならばそれが適正であったかどうかを証明する責任はあなた方にある。立証責任があるんです。それを全部覆い隠している。こんなことは断じて許されないと私は申し上げたい。

財務省室長との面会

政治家仲介なしに不可能

 小池氏は、鴻池議員事務所で作成された「陳情整理報告書」には他にも行政側の名前がでてくるとして、その中身を詳しく紹介しました。

 2013年9月9日、籠池氏から報告があり、「小学校用地の件。9月2日に財務局より7から8年、賃借後の購入でもOKの方向。本省及び大阪府と話し合ってくれる。上記の賃借料をまけてもらえるようお願いしたい」とあります。

 10月15日にも近畿財務局の担当官から鴻池事務所へ回答あり、「塚本幼稚園の件。従来通り前向きに、ただし、大阪府の認可をとっていただかないと進みません」と記述。

 10月16日にも近畿財務局の担当官から鴻池事務所へ「大阪府とは横の連携を取っているので、土地手当の件は府から確認があればOKと回答できます。また賃借の件は本省と打ち合わせ済み」。鴻池事務所は「大阪府の担当者は、土地以外の生徒募集を一番懸念されているようですが」と伝えています。小池氏は指摘しました。

 小池 こういうやりとりを森友側と近畿財務局がやっているわけですね。そして、籠池理事長は月額賃料の希望は月100万円という希望をだし、籠池氏の希望通りの価格になっていく。こういう経過と昨日私が紹介した部分も含めて、これは鴻池事務所の記録に書かれている近畿財務局と森友学園側のやりとりについて全部調査し、その調査結果を当委員会に提出していただきたいと思います。

 「陳情整理報告書」には、2016年3月11日、くい打ち工事で地下埋設物が発見され、籠池理事長が鴻池事務所に相談に来て、「小学校用地の件、近畿財務局の対応に不満。3月15日に本省に行く。アポをお願いしたい」との記載がありますが、鴻池事務所はこのアポ取りを断っています。しかし、3月15日に、財務省の本省で理財局の審理室長が籠池理事長と会っています。この経過を指摘して、小池氏は追及しました。

 小池 政治家の仲介なしに、財務省の国有財産審理室長に簡単に会うことはできないと思う。鴻池事務所は拒否した。ならば、別の政治家の仲介があったんじゃありませんか。

 理財局長 先方から新たな埋設物が出たということについて、本省に行って、会いたいということであれば、近畿財務局が現にいま交渉している案件ですので、それでは担当の審理室長がお会いしましょうということで3月半ばにお会いしたのが事実関係です。

 小池 ありえないでしょう。財務省の室長が会うなんてありえない。これは政治家の仲介があるんです。答えてください。

 理財局長 先方から理財局にアポの申し出があり、それを審理室長がお受けしたということで、そういう政治家の関与は一切ございません。

 小池 一切ないという言葉をしっかり記録しておきたいと思います。

 これはありえない話です。この3月に籠池理事長が理財局の国有財産審理室長に何を求めたのか。昨日の答弁では、局長は新たな地下埋設物が発見されたので、なるべく早く対応していただきたいというような要望が出されたと答弁しています。この対応って何ですか。この面談の翌週、3月24日に近畿財務局から大阪航空局に地下埋設物の撤去処分の見積もりを依頼しているんです。対応って、この対応ですか。見積もりを早くやれという。

 理財局長 近畿財務局や大阪航空局との現場ともよく連携して対応してまいりたいとお答えしたということです。

 小池 どういう対応、何を対応しようとしたのか、対応って何ですかと聞いているんです。対応の中身。

 理財局長 とにかく学校建設がスムーズに進んで開校に間に合うように対応していただきたいという趣旨のことです。

 小池 これはおかしいです。昨日、民進党の藤末(健三)議員がこの問題を取り上げて、財務省は急いでいたので、それまで実績のない大阪航空局に依頼したと答弁しているんですね。この大阪航空局の見積もりが8億1900万円ということが8億のダンピング、異例のダンピングの原因になっているわけじゃないですか。急いでやったから、こうなったといっているでしょ。籠池氏と財務省本省の面談内容も8億円の値引きの妥当性に関わる極めて重要な部分ではないですか。ここで、早くやってほしいという要望が伝えられて、航空局にやらせるようにというように話が進んでいったとしたら重大じゃないですか。その対応の中にこの地下埋設物の見積もりの問題が入っているんですか。

 理財局長 何か具体的な見積もりとかそういうことの中身はございませんでした。

 小池 だから、早く対応してほしいということがきっかけとなって、大阪航空局に依頼するという経過にもなったんじゃないですか。この面談内容も極めて重要だと思います。これは本省の面談です。本省の記録もないんですか。

 理財局長 口頭でやりとりしたということで、記録はございません。

 小池 記録もまったくないんですか。こういう問題が、記録がない、口頭でやったと。ちょっとずさん過ぎませんか。億単位の国民の財産を。あり得ない話ですよ。都合の悪いことは全部隠ぺいしているというふうにしか思えないし、おそらくテレビをご覧のみなさんもこれは隠しているんじゃないかと思わざるをえないような対応だと思いますよ。

森友学園からの働きかけ

自民議員を調査すべきだ

 小池 与党の政治家に対して、森友学園側から働きかけがあったことは鴻池議員の証言によって事実であることはハッキリしたわけです。鴻池議員事務所の記録は、鴻池事務所が財務省本省に籠池氏を紹介することを拒否した昨年3月で終わっています。

 しかし、その後に起こったことがさらに重大な問題なわけです。8億円の値引き、異例の10年間分割払い。これは疑惑の核心部分ですよ。鴻池議員によれば、籠池理事長側ではお金で財務省への働きかけを依頼しようとした。しかしそれを鴻池さんは拒否をした。ならばその後、ほかの政治家にそういう働きかけがあったのではないかと、普通そう考えますよ。

 総理も財務省も政治家の関与はないというふうに言ってきたけど、新たな事実がでてきた。今までの、「関与がない」ということは通用しないと思います。

 政治家の関与についてきちんと解明する責任が政府に、とくに総理大臣に、安倍さんにあると思います。この件に関わった財務省や国交省の担当者はすべて洗いざらい調査をして明らかにすべきではありませんか。自民党の中に、鴻池氏のように森友側から働きかけを受けた議員がいるのかどうか、徹底調査すべきじゃないですか。総理にそれを求めます。

 安倍晋三首相 この問題の核心は、果たしてこの売買価格が適正であったかどうかということであろうと思うわけです。適正であったかということについては、独立した会計検査院がしっかりと検査をすべきだろうと。

 小池 私は政治家の責任、関与を聞いているんですよ。会計検査院ではないでしょう。会計検査院がやっていただくのはいいですよ。でも、(総理が)できることはあるじゃないですか。私がいま具体的に申し上げた、国交省、財務省のみなさんの担当官、関わった人を洗いざらい全員調査すればいいじゃないですか。これはまさに自民党の中ですから、総理の責任でしょう。自民党の中に、鴻池氏のように働きかけをうけた議員がいるかどうか調査すべきだ。これもできないんですか。これはやるべきだと私は思います。

 首相 政治家であれば、与党であれ野党であれ、自らえりを正していくことは当然のことであり、その観点から鴻池議員は、自ら記者会見を行ったということであろうと思います。そして私のことについては、この売買、あるいは学校法人の認可については、私も妻も、関わっていないということはすでに説明させていただいている通りです。

 小池 総理は行政府の長であるとともに、自民党総裁なんです。だからこの問題について独自に解明する責任があるだろうと。政治倫理綱領になんとあるか。「疑惑をもたれた場合、自ら真摯(しんし)な態度を持って疑惑を解明し、その責任を明らかにするよう努めなければならない」と。それをやるのがあなたの責任なんじゃないですかと言っているんです。

 首相 わが党について、誰か、どの議員が関わっていたかということになれば、それは当然しっかりと本人に説明責任を果たさせるわけでございます。不当な働きかけがあったかどうかについては、政治家であれば嫌疑をかけられたら、しっかりとその説明責任を果たしていくべきだろうと考えているわけであります。

 小池 テレビの評論家じゃないんです。あなたは責任者なんですよ、総理は。今のはまったく責任者としての答弁じゃない。まるで第三者的、無責任な、人ごとな、まったくそれではダメですよ。

 具体的に何をやるべきか。答えてください。それをやらないのか。やらないんですか。自民党の議員を調査する、国交省、財務省の担当者全員を調査する。やらないんですか。

 首相 私自身のことにつきましては再三すでに申し上げている通りでございます。いずれにせよ国会議員が疑いをかけられたらしっかりと説明責任を果たしていくべきものと考えております。

 小池 疑惑を解明しようという姿勢がまったくないと言わざるを得ない。疑惑にふたをするという姿勢しか見えてこない。こんなことでは国民は納得しないということを申し上げて質問を終わります。

 

森友学園疑惑 小池書記局長質問が明らかにしたものは―(2017年3月3日配信『しんぶん赤旗』)

 

 国民の共有財産である国有地が、安倍晋三首相夫人が名誉校長だった私立小学校用地として、タダ同然で売却される―。森友学園(籠池泰典理事長)疑惑に広い国民の関心と怒りが向けられるなか、日本共産党の小池晃書記局長が1、2両日の参院予算委員会で行った追及は、真相解明への新たな局面を開くものでした。

崩れた弁明

政治家の関与くっきり

 一連の疑惑が国会で追及されるなか、安倍首相は「私や妻が関係していたなら総理大臣も国会議員もやめる」「政治家の不当な働きかけはない」とのべ、土地取引への政治家の関与を一切否定してきました。

 小池氏は1日の質問で、「ある自民党国会議員事務所」の面談記録を示しました。

 そこには、籠池氏や学園側が財務省や近畿財務局、国土交通省大阪航空局に土地の値下げなどを要求するための仲介を求めていた事実が克明に記されていました。

 事実の確認を求める小池氏にたいして、安倍首相はたいへんなうろたえぶりで「どういう文書かわからない」「私の事務所のようなイメージを与えている」と、ごまかしと開き直りの答弁を重ねました。

 その夜のうちに、事態は大きく動きます。「ある自民党国会議員」の当事者である鴻池祥肇参院議員が記者会見を開き、籠池氏側から、繰り返し財務省への働きかけを求められたことを明らかにしたのです。

 鴻池氏はその中で、籠池氏から金品が入っていたと見られる封筒を渡され、はねつけたということにも言及しました。森友学園はこの国有地を有利に手に入れるためには、政治家の政治力を金で買うことさえ辞さない動きをしていたということです。

 小池氏は2日の質問で、前日提示した文書は、鴻池議員の事務所の「陳情整理報告書」を独自に入手したものであることを示しました。あらためて財務省に事実の確認を求めましたが、佐川宣寿理財局長は「記録がない」の一点張りで、あくまで隠そうという態度をとりました。

 この日の追及の白眉は、森友学園が土地を賃貸ではなく買い入れに切り替えると申し出る直前の2016年3月15日、籠池氏と財務省理財局国有財産審理室長の会談の経緯です。

 籠池氏はこの会談をセットするために、まず鴻池事務所に仲介を依頼しましたが、同事務所はこれをはねつけました。財務省の幹部職員との面談は、そう簡単にできることではありません。そこで籠池氏が、別の政治家に働きかけたのではないかという疑いが浮上するのです。

 小池氏は「いままでの『政治家の関与はない』という説明は崩れた」として、安倍首相の責任で、財務省や国交省の担当者を洗いざらい調査し、自民党内の議員についても徹底調査することを求めました。

 安倍首相は「政治家であれば嫌疑をかけられれば説明責任を果たしていくものだ」と、まるでひと事のようにいう無責任さです。

 財務省などの必要な資料の提出、当時の担当者への調査を行うこと、さらに籠池氏ら関係者の証人喚問を通じて事実を解明し尽くすことが、いま国会に課せられた国民への責務になっています。

異例ずくめ

森友の要望に沿い決着

 森友学園への国有地売却がいかに異例ずくめで奇怪なものだったか、小池氏の追及で浮かび上がっています。

 籠池氏が、鴻池事務所に最初に働きかけたのは2013年8月5日。森友学園は問題の国有地取得に動いたものの資金がなく、8年間は借地でその後に購入という形を望んでいました。しかし近畿財務局は、国有地の処分は売り払いが原則だという当たり前の態度をとり、困った学園側が政治家の影響力を使うことをねらったのです。

 焦点となるのは15年1月9日、近畿財務局管財課の統括官が籠池氏に会い「土地評価額10億、10年間の定期借地として賃料年4%、約4000万円」という条件を提示したことです。

 近畿財務局がこの取引を国有財産近畿地方審議会にかけて了承を受けるのは同年2月17日。それ以前に、同財務局が外部に具体的な土地売買の条件や賃借料を提示することなど絶対にできないし、あってはならないことです。

 それが現実に起きていたとすれば、近畿財務局は正式な手続きなど無視して、この取引を早くから固めていたということになります。

 具体的な事実については「資料がない」と答弁を避け続ける佐川理財局長が「審議会より前に先方に条件について提示することはない」と、この点についてだけはっきり答弁したこともきわめて不自然です。

 土地の賃料も、値下げを求めた学園側の提示額とほぼ同じ年2730万円に決定。籠池氏の要望に沿うものになりました。

 土地売却での8億1900万円の値引きの根拠とされた地中埋設物。森友学園が「想定以上のゴミが見つかった」と申し出た16年3月以降に、国が責任をもってゴミを除去したうえ土地を売却するのでなく、「1年後の学校開設で大変急いでいる状況だった」(佐川理財局長)と“学園寄り”の説明が繰り返されました。

 疑惑にまみれた取引の全容解明が、ますます求められています。

特異な教育

首相夫妻に道義的責任

 小池氏の質問で安倍首相夫妻の重大な道義的責任も明らかになりました。

 森友学園が運営する塚本幼稚園は、園児に戦前の「教育勅語」を暗唱させるなど、特異な教育内容で知られます。この学園を昭恵夫人は「すばらしい」と称賛してきました。

 小池氏は、昭恵夫人が塚本幼稚園で2014年4月、同年12月、15年9月と、少なくとも3回にわたって訪問、講演するなど、森友学園との関与を指摘しました。安倍首相は「私の考え方に非常に共鳴している方」(2月17日の衆院予算委)と籠池学園理事長を評価してきました。

 1日の参院予算委での小池氏の追及に安倍首相は「妻は私人だ」などと言い逃れようとしました。小池氏は、昭恵夫人が幼稚園の講演でも、名誉校長だった開設予定の小学校パンフレットでも、「内閣総理大臣夫人」の肩書で紹介されていたことを指摘しました。森友学園側が、昭恵夫人を“公人”として広告塔に活用してきたことは明らかです。

 塚本幼稚園運動会で園児に「安倍首相がんばれ!安保法制、国会通過よかったです」と宣誓させるなど、教育基本法に抵触するような教育方針をとっていることも大問題になっています。このような学園を称賛してきた道義的責任は免れません。

 安倍首相夫妻と森友学園との関係が、国有地払い下げに影響を与えた可能性もあります。

 安倍首相も認可申請小学校(豊中市)への国有地払い下げ交渉で、森友学園側が「(財務省)理財局、(国交省)航空局に対して、安倍昭恵名誉校長ということを前面に出したのかどうかということもあるんだろう」(2月24日の衆院予算委)と答弁。籠池学園理事長が自民党の鴻池参院議員に「紙に入ったもの」で働きかけを行うなど、教育者にあるまじき行動をとっていた疑惑も新たに浮上しています。

 安倍首相は2日の参院予算委で小池氏の追及に「政治家であれば、自ら襟を正していくことは当然のことだ」と居直っており、国有地払い下げをめぐっても安倍首相夫妻の道義的な責任が厳しく問われます。

 

政治家関与明らかに さらに疑惑追及する(2017年3月3日配信『しんぶん赤旗』)

 

森友学園疑惑 志位委員長が会見

 日本共産党の志位和夫委員長は2日、国会内で記者会見し、学校法人「森友学園」への不透明で異常な安値での国有地払い下げの問題について問われ、1、2両日の参院予算委員会での小池晃書記局長の質疑を通じて、「政治家の関与があったということは明瞭となった。この到達点にたってさらに疑惑を追及したい」と表明しました。

 志位氏は、質疑を通じて、(1)森友学園の籠池泰典理事長が自民党の鴻池祥肇参院議員に国有地の値引きを働きかけていた(2)鴻池議員は口利きを拒否した(3)土地売買は森友学園側のシナリオ通りになった―という三つの重大な事実が明らかになり、「この三つの事実から鴻池議員とは別の政治家の関与があったということははっきりした」と強調しました。

 志位氏は、安倍晋三首相が、これだけの事実を突きつけられながら、自民党総裁として調査することを拒否した無責任な対応を批判。政治家の関与があったという到達点に立ち、さらに疑惑を追及する考えを示しました。

 さらに志位氏は、安倍首相夫妻の道義的責任が二重の意味で明らかになったと強調しました。

 一つは、籠池理事長が、鴻池議員に金銭が入っていた疑いがある紙包みあるいは封筒を持って土地の値引きを働きかけるような教育者としてあるまじき人物なのに、首相夫人の昭恵氏が「瑞穂の国記念小学院」の名誉校長となるなど首相夫妻が同学園を持ち上げていた責任です。

 もう一つは、幼稚園児に「教育勅語」の暗唱や「安倍首相頑張れ」の“宣誓”までさせるなど、現行の教育基本法に照らしても許されない教育を行っている学園を「妻から、教育に対する熱意はすばらしいと聞いている」(首相)などと持ち上げていた責任です。

 志位氏は「この二つの道義的責任が安倍首相夫妻に問われている。これはきちんとお認めになり、反省が必要だ」と厳しく批判しました。

 

共産・小池晃書記局長が記者会見 「『こんにゃく』が別の人に渡ったと考えるのが自然だ」(2017年3月2日配信『産経新聞』)

 

 大阪府豊中市の国有地が学校法人「森友学園」(大阪市)の小学校用地として売却された問題で、共産党の小池晃書記局長が2日、国会内で記者会見した。

 「昨日、今日と2日間にわたり、森友学園に対する国有地の不当な払い下げ問題、政治家の関与の問題、そして安倍(晋三)首相夫妻の道義的責任を追及してきた」

 「私どもはかねてから、この奇々怪々たる土地取引、賃貸契約から売買契約に移り、8億円もダンピングされ、10年の分割払いという普通あり得ない土地取引をやっている背景には、政治家の関与なしにできないのでないかということを指摘してきた。ところが首相も財務省をはじめとする政府も政治家の関与はないとずっと言ってきた」

 「ところが昨日からお示ししている鴻池(祥肇)参院議員の事務所の記録が出てきた。今までの『関与がなかった』という答弁は崩れ去った。政治家の関与がこの問題で揺るがぬものになったと思う。そのことは鴻池さん自体も昨日の会見でお認めになった」

 「こうなった以上、政治家の関与について徹底的に解明する必要がある。国民の税金、財産が不当に処分されたということであれば、まさに国政の重大問題だ。解明する責任が安倍首相にもあるし、自民党総裁である安倍総裁にもある」

 「ところが今日の答弁を聞いてもまったくその気がない。こちらが具体的に指摘し、対応した職員の担当官の名前、これは個別に財務省にお伝えしている。『こういう日にこの方と会っていますね』ということを具体的に聞いたが、最終的に(財務省)理財局長の答弁は『記録もないし記憶もない』と。これは隠蔽しているとしか受け取れない」

 「安倍首相もこれだけ問題が噴出して政治家の関与が明らかになった以上、財務省、国交省の担当者は知っているわけだから、担当者を全部洗いざらい調査すべきでないか。自民党議員の中にこの問題に関与した議員がいるのかいないのか徹底調査すべきでないか」

 「鴻池さんは途中で、この事務所との関係を断ち切っている。あの記録をみる限り、ちょうど賃貸契約から、(国有地の)地下から埋設物がみつかり売買契約に移行し、8億円ダンピングのときには関与をやめている。今最大の問題になっている8億円ダンピングのときには、だれか別の政治家が関与していたのでないかと考えるのは当然だ。そのことを徹底調査を求めたが、まったく答えない。これが今日の答弁だった」

 「私がこだわったのが2点。鴻池さんの事務所記録にある経過で申し上げると、2015年1月9日のやりとりだ。この時期は非常に重要だ。実は最初賃貸契約で、かなり高い値段が財務省から設定され、1月9日の近畿財務局と(森友学園の)籠池(泰典)理事長の席で示され、籠池氏は『もっと賃貸料を安くしてくれ』といったと。結果としてその希望通りになっている」

 「この時期は大阪府の私学審で大議論になっていた時期。年明けの1月27日の臨時会で認可の方向になっていった。『条件付き認可適当』。1月9日に財務省とやりとりがあり、27日に条件付き認可となった。この財務省と森友学園とのやりとりが根拠になったなら非常に重大だ」

 「もう1つは昨年3月、地下埋設物が分かった直後、本省の理財局にいった。これは話し合いを認めている。その後異例の、やったことのない国交省による撤去費用の見積もりに進んでいく。これも重要なポイントだ。賃貸借契約を結んでいる一番重要なポイントでの面会。もう1つは売買契約に移行する段階での面会。この2つについて明らかにせよと迫ったが、まったくそれを明らかにしない。これでは国民的な納得は到底得られないのでないか。私どもとしては今後も徹底的に追及していきたい」

 「安倍夫妻の道義的責任の問題について、私の指摘は『もしこの土地取引が不適切なものだったら道義的責任は免れないのでないか』と。同時にこの学校の教育、塚本幼稚園、教育の名に値しないが非常に大問題になっている。これを名誉校長として支えてきた。この道義的責任は免れないと話してきた」

 「首相は教育内容を『コメントできない』と逃げたが、これだけ問題ある幼稚園の名誉校長、将来小学校になったとき名誉校長ということで、昭恵さんは少なくとも3回いって講演した。お母さんたちはどう受け取ったかというと、これは幼稚園の『お母さん新聞』に出ているが、『12月14日の衆院選に向け、現職の首相令夫人の立場ですべての予定をキャンセルして来てくださった』と感激している。どう考えても広告塔以外の何者でもない。幼稚園の教育内容はけしからんと思うが、総理大臣の夫人がそこまで評価しているならお子さんを託してみようかと思った親御さんは少なくないのでないか。せめてそうしたことへの道義的責任ぐらい認めるべきでないかと申し上げたが、それすら認めない。本当に驚き、呆れた」

 「今の安倍政権の世論を無視した暴走、傲慢ぶりがはっきりあらわれた事例だ。土地取引、安倍夫妻による学校法人の関わりの道義的責任を追及していかなければならない」

 「資料についてだが、私どもは独自の努力でこの資料、鴻池事務所の面談記録『陳情整理報告書』を入手した。私たちはこうした資料を入手するため日々努力を重ねている。入手した場合にはきちんと裏付けを取って国会で取り上げることを心がけている。同時に情報源は断固として守り抜くということでやっている。これについて今の段階で皆さんにお配りすることは差し控えたい。野党としては政府の公式情報だけで質問をやっても真実は解明できない。そういう立場でこれまでもやってきたし、これからも臨んでいきたい」

 −鴻池さんが撤収した後の政治家の関与は

 「今は調査中だ。最大のポイントになってくる。間違いなくこれだけの、賃貸契約であれだけ値引きしたことも異例だが、8億円のダンピングと10年の分割は大きな力が働かないとできないと思う。鴻池さんはそこに関与していないとはっきりいっている。その後持っていった『こんにゃく』が別の人に渡ったと考えるのが自然な考え方でないか」

 −−もうその別の政治家は特定されているのか

 「それは今の段階でも申し上げるものでない。引き続き調査したい」

 −−国会議員は日頃は詳細なメモを残しているのでないか

「自民党に聞いてもらった方がいい。私たちは記録は残すが。記録がないなら本人に聞くしかない」

 「会計検査院と言うが、事実解明は国会だと思う。だから関係者、籠池理事長、当時の理財局長迫田(英典)氏。首相はこの経過の中で迫田さんに会っている事実もある。2015年9月4日に衆院で指摘しているが、近畿財務局で会合したと指摘しているが、その前日に迫田氏と会っていると首相動静に出ている。これはきちんと問いたださないと」

 

鴻池氏が暴露した森友・籠池理事長の品格と陳情の全貌(2017年3月2日配信『日刊ゲンダイ』)

 

 森友学園の国有地払い下げ問題で、ついに政界工作が明るみに出た。1日夜、自民党の鴻池祥肇元防災担当相が記者会見を開き、森友側からの陳情の一部始終を暴露したのだ。その働きかけは、“現金”(一部報道で森友側は「商品券」と弁明)を直接渡すという生々しさ。鴻池氏は受け取らずに断ったと言ったが、異例過ぎる値引き取引の裏で、やはり政治家が動いていたのは間違いない。

 記者会見は1日午後7時半、麹町の参院議員宿舎で行われた。鴻池氏によれば、森友学園の籠池泰典理事長と知り合ったのは講演を頼まれたことがきっかけだったという。その後、籠池理事長が鴻池氏の地元・神戸の事務所に出入りするようになり、国有地払い下げについての陳情が始まったとみられる。

 鴻池氏は当初から「うちは不動産屋と違うぞ」と断るように伝えていたと言うが、籠池サイドが「どうしても会いたい」と言うので、3年前の2014年4月、議員会館で5分間だけ面会。籠池理事長は夫人同伴だった。その時のやりとりはこうだ。

 「財務省か何か知らないが、お願いの儀があるようなことを聞いた。同時に紙に入ったものを『これでお願いします』とおばはん(夫人)の方が。一瞬でカネだと分かりましたよ」

 鴻池氏は中身を確認してはいないようだが、「こんな束」と指を3センチほど開いて厚さを表現。しかし受け取らずに、こう言って投げ返したという。

「『無礼者』。政治家の面を銭ではたくようなのは教育者と違う。帰れ」

 そして、「あんなのに学校をつくらせたらいかん」と強調したが、一方で、鴻池氏は森友学園から20万円の献金を受け取っていたことも明らかにしている。

日本会議はあらゆる政治家とつながっている

 鴻池氏が突然、会見を開いたのは、その数時間前に参院予算委員会で行われた共産党の小池晃議員の質問と関係していそうだ。小池氏は「ある自民党国会議員事務所の面談記録を入手した」として、森友学園が土地の評価額引き下げのために政治家に働きかけていた疑いがあると指摘。面談記録は鴻池事務所のものだ。

 そこには13〜15年にかけての籠池理事長の露骨な陳情が、バッチリ書き込まれている。

「上から政治力でお願いしたい」

「土地評価額を低くしてもらいたい」

「高過ぎる。何とか働き掛けて欲しい」

 鴻池事務所は本当に動いていないのか? 他の政治家は?

 籠池理事長は日本会議の幹部だ。日本会議国会議員懇談会には280人超の議員が参加している。つまり、日本会議はあらゆる政治家とつながっている。この闇は深い。官邸、政官界を巻き込む一大疑獄に発展するのは間違いない。

 

政治家関与 全容解明を(2017年3月2日配信『しんぶん赤旗』)

 

小池氏、「面談記録」示し追及 森友学園、自民議員に働きかけ

 日本共産党の小池晃書記局長は1日の参院予算委員会で、大阪市内の学校法人「森友学園」(籠池泰典理事長)への豊中市内の国有地の不透明な売却をめぐり、独自に入手した自民党国会議員事務所の面談記録を示し、財務省、近畿財務局、国土交通省大阪航空局に籠池氏が値引きなどを要求していた事実を明らかにしました。小池氏は、政治家の関与を含め、交渉経過の全容を明らかにするように求めました。「政治家の働きかけはなかった」としてきた安倍晋三首相の言明は崩壊し、委員会室にどよめきが起こりました。

首相夫妻の道義的責任明白

 小池氏が示した面談記録によると、籠池理事長が同議員事務所に最初の要請をしたのは2013年8月5日。国有地の処分は「『購入』のみ」とする近畿財務局に対し「借地契約して8年後に購入」にしたいと要請しました。

 籠池氏は大阪府と近畿財務局の間の調整も要請(同9月13日)。近畿財務局は同日「前向きにやっていきますから」と議員側に回答しています。

 同10月12日には籠池氏夫妻が来訪し、「上から政治力で早く結論が得られるようにお願いしたい」と要請しました。

 小池氏は記録をもとに、15年1月9日、近畿財務局が籠池氏に対し「土地評価額10億円、10年間の定期借地として賃料年4%、約4000万円と籠池氏に提示したのは事実か」と質問。財務省の佐川宣寿理財局長は「詳細な面会記録は残っていない」と答えました。

 16年3月14日には、土地の埋設物処理について近畿財務局の対応に不満をもった籠池氏が「15日に(財務省)本省にいくのでアポ(約束)をお願いしたい」と要請。ここで、この議員事務所は「お断りします」と回答しました。

 しかし籠池氏は、同15日に財務省理財局担当者と面談。埋設物処理費8億1900万円を値引きしての土地売却という希望通りの結果になりました。

 小池氏が「不可解な交渉の全過程、政治家の関与について全容を明らかにすべきだ」と求めたのにたいし、安倍首相は「(小池氏が示した面談記録が)どういう文書かわからない」と説明を拒否しました。

 小池氏は「説明責任はあなたたちにある」としたうえ、「全容解明のためには関係者にきくしかない」と、籠池理事長、当時の財務省理財局長である迫田英典氏(現国税庁長官)の証人喚問を要求しました。

 小池氏は、「教育勅語」を幼稚園児に唱和させるなど森友学園の教育方針が大きな問題になるなか、それを持ち上げてきた安倍首相夫妻の道義的責任を追及。安倍首相は「教育内容についてこたえる立場にない」と強弁しました。

森友側との面談認める

鴻池議員「便宜図っていない」

 日本共産党の小池晃書記局長が1日の参院予算委員会で、森友学園の籠池泰典理事長と自民党議員事務所の面談記録に基づき、森友学園側の不当な要求があったことを追及したことに関連して、自民党の鴻池祥肇参院議員・元防災担当相は同日の日本テレビ番組の取材に対し、小池氏が示したものと同じとみられる記録の存在を前提に、「森友学園に一切便宜は図っていない。うちの事務所は不動産屋ではない」と語ったと報じられました。

 

森友学園 安倍事務所出入りの男性が“口利き”を実名告白(2017年3月1日配信『文春オンライン』)

 

 大阪市の学校法人「森友学園」の小学校設立を巡る問題で、安倍晋三事務所に出入りしていた男性(41)が、本件で近畿財務局の担当者と面会していたと「週刊文春」に証言した。

 この男性は、大阪で経営コンサルタント業を営んでおり、2012年頃から安倍事務所に顔を出すようになった。安倍氏のホームページの動画「覚悟の瞬間(とき)」の撮影を手伝ったり、故・三宅久之氏らによる安倍応援団の記者会見のセッティングを手伝ったりしていたという。六本木のしゃぶしゃぶ店の個室で安倍氏らと会食したこともあり、同年6月に男性が結婚した際には、祝電が寄せられたという。

 この男性は、2013年10月には、鳩山邦夫元総務相の了解を得て、「鳩山邦夫事務所参与」の名刺を持ち歩くようになった。

 森友学園の籠池泰典理事長(64)から、小学校の建設用地取得を巡って依頼を受けた男性は、2014年夏、所管の近畿財務局にアポイントを入れて訪問。対応した管財部統括国有財産管理官ら2名に対して、「鳩山邦夫事務所参与」を名乗って、1時間にわたり面談したという。

 その後、小学校は定期借地契約という異例の形で設立へ向けて大きく動き出すことになった。

 ただ、男性は面談の際、安倍夫妻についての名前は出さなかったという。安倍事務所は、「週刊文春」校了後に、「(男性は事務所でボランティアスタッフとして)活動していません。(会食については)多数の中のひとりとして当該人物がいたと記憶しています」と回答。近畿財務局は、締切までに回答はなかった。

 また、鳩山邦夫氏の当時の公設秘書は「確かにウチの名刺を持っていました。在籍ではなく、給料を払っていません。私には全く報告がありませんでした」と回答した。

 週刊文春3月2日発売号では、男性が実名で一連の経緯を5ページにわたって告白している。

 

http://blog-001.west.edge.storage-yahoo.jp/res/blog-c2-0a/kotyannomama/folder/558676/50/19029950/img_1?1487834164

 

 

安倍昭恵夫人が「名誉校長」になった背景(2017年3月1日配信『文春オンライン』)

 

なぜ夫人は森友学園の教育に感銘を受けたのか

 今年4月、大阪市淀川区にある塚本幼稚園を母体として、日本初の神道系小学校「瑞穂の國記念小學院」(学校法人森友学園)が開校される。同幼稚園では、教育勅語の朗唱、自衛隊関連行事への参加、伊勢神宮参拝といった、戦前回帰の教育が行われている。昭恵氏はそうした教育方針に感銘を受けたと語っており、名誉校長に就任していた。だが、不透明な国有地の払い下げ問題が国会で追及されたことで、名誉校長を辞任した。

 昭恵夫人はこれまで「反原発」「反防潮堤」「反TPP」といった安倍政権とは真逆の意見を述べることも多く、自らを「家庭内野党」と名乗ったこともある。昨夏にはオスプレイ用ヘリパッドの建設で激しい抗議活動が続く、沖縄県・東村の高江に平和活動家と出かけて物議を醸してもいる。

 一見リベラル色の強い昭恵氏が、なぜ戦前回帰の教育に感銘を受けたのか。

 その背景を読み解く鍵は、昭恵氏が傾倒しているスピリチュアリズムにある。スピリチュアルカウンセラーや神道関係者との交流を深め、各地の神社を巡り、「主人が総理になったのは天命」「縁は神がもたらすもの」「大麻は日本古来の神道の必需品」と語る。「反原発」から「教育勅語」まで、一見バラバラに見える昭恵氏の活動や関心事は、実は本人の中ではすべてつながっているのだ。

 『文藝春秋』3月号では、そうした昭恵氏の思想の源流について、ノンフィクション作家・石井妙子氏が多くの関係者への取材をもとに16ページにわたって詳細にレポートしている。石井氏は昭恵氏本人にもインタビューを行い、その中で昭恵氏は「主人と意見が違うように見えても、目指すところは一緒で、日本を取り戻したいんです」と語っている。

 石井氏のレポート「安倍昭恵『家庭内野党』の真実」は、森友学園問題の背景を知る上で必読だ。

 

退園ママ激白 「森友」理事長妻が園長の保育園でも虐待か(2017年3月1日配信『日刊ゲンダイ』)

 

 森友学園では、幼稚園だけじゃなく、保育園でも保護者とのトラブルや園児に対する「虐待」の疑いが浮上している。籠池理事長の妻・諄子氏が園長を務める「高等森友学園保育園」(大阪市)だ。

 第1志望の保育園に落ち、7カ月の子どもを預けていた大阪市内の女性が日刊ゲンダイにこう明かした。

 「カジュアルな服装で送り迎えをしていたら、保育園の2階から園長が『そんな格好してたらダンナに浮気されんでー』と大声で言われました。病気をするのは親のせいと言ったり、『3歳までは親が育てるべき』と連絡帳に殴り書きがあったこともありました。園長に責められてうつ気味になったくらいです」

■1歳以上の子どもはお昼寝禁止

 この女性は結局、1年ほどで子どもを退園させたのだが、保育園の運営方法にも疑問を感じていたという。

「給食が決められた時間内に終わらない子どもは、イスの上に給食を置いて正座して食べさせるのです。お漏らしをすると秘密の“お仕置き部屋”に放り込まれ、1歳以上の子どもは、お昼寝は禁止。7カ月の子どもが帰ってきて戻したこともありました。その時、吐いた物を見ると、離乳食でなくて単に普通の食材を刻んだだけのもの。保育園に連絡しても『ああ、そうですか』と言ったきり。子どもの成長に悪影響がないか心配でした」

 「高等森友学園保育園」に事実関係を書面で問い合わせたが、期限までに回答はなかった。保育方法に問題はないのか。厚労省は「個別の件にはお答えできない」(保育課)といい、保育園を監督する大阪市は「当該保育園の保育内容について苦情があり、指導していることは事実ですが、今日の時点で詳細は答えられない」(保育企画課)と回答があった。

 まだまだ問題が出てきそうだ。

 

森友学園1件だけの要望「橋下−松井府政」が通す(2017年3月1日配信『日刊スポーツ』)

 

 小学校建設用地として大阪府豊中市の国有地を評価額より大幅に安い価格で取得した学校法人「森友学園」の籠池(かごいけ)泰典理事長が2011年7月ごろ、借入金に関する学校設置認可基準の緩和を府に求め、府は12年4月、森友側の要望に沿う形で基準を改正していたことが2月28日、分かった。松井一郎大阪知事(53)が府庁で記者団に明らかにした。

 松井氏は籠池氏の要望が改正に影響したのではないかと問われ「違う」と否定。「他のさまざまな私学からも要望があった。当時、大阪府は圧倒的にハードルが高かった。改正は私立学校の参入を促すことが目的」として、森友側の要望を受け入れたものではないと強調した。

 11年7月に要望が出された当時は橋下徹氏(47)が知事だった。松井氏は「橋下時代に教育については閉鎖的なものを開放すると言い続けてきた」とも述べた。橋下氏は11年10月31日に知事を退任。基準を改正した12年4月は松井氏が知事になっていた。

 橋下氏は2月24日にツイッターで森友問題に言及。「価格算定の手続きが不透明過ぎる。国が撤去費用を見積もり鑑定士は国から言われた撤去費用を前提に土地価格を鑑定。これで鑑定士が全体を鑑定したように装っている。やはり政治介入か」と書いている。

 府私学課によると、借入金に関する要望は森友学園からだけ。同学園は改正後の14年10月、府に小学校設置認可を申請。府私立学校審議会(私学審)は15年1月、学園側の財務状況などを追加報告させることを条件に「認可適当」と答申。基準緩和後の認可申請はこれまで森友学園だけだ。

 また、松井氏は用地のごみが埋め戻された問題に関し「子どもの健康に悪影響が出るなら私学審は(小学校を)認可できないと判断すべきだ」と述べた。

 

窮地の安倍政権 森友学園疑惑は理事長“口封じ”で幕引きか(2017年3月1日配信『日刊ゲンダイ』)

 

 連日、国会で追及されている学校法人・森友学園への国有地払い下げ疑惑。ついにテレビのワイドショーまで報じだし、政権を揺るがす大問題に発展してきた。火の粉を振り払いたい安倍政権と大阪の日本維新の会は、自分たちを熱心に支援してきた学園を見捨て、幕引きを図るつもりだという。

 大阪・豊中市の国有地が不可解な経緯で森友学園に払い下げられていた問題は、ファーストレディーの昭恵夫人が問題の土地に新設される小学校の名誉校長を務めていたこともあり、ロッキードに匹敵する“アッキード事件”とも言われ始めている。安倍政権とともに、国民から疑惑の目が向けられているのが、大阪の地域政党から始まった日本維新の会だ。

 12年4月に大阪府の松井知事が突然、設置基準を緩和して「借り入れのある幼稚園」にも小学校参入の門戸を開いた。これが、森友が小学校新設に乗り出すきっかけになった。大阪の私学審議会で数々の問題点が指摘されながら、異例のスピードで森友に「認可適当」の答申が出された15年1月の時点での認可権者も松井知事だ。翌年から、認可権者は教育長に委任されている。

 鑑定評価額9億5600万円の国有地が、“タダ同然”で森友学園に払い下げられたというのに、政府のガバナンスや税金ムダ遣いにウルサイはずの維新関係者は当初、不気味なほどダンマリを決め込んでいた。動きがあったのは23日。橋下前大阪市長が、急にツイッターで国の責任を追及し始めてからだ。

 〈価格算定の手続きが不透明過ぎる〉〈これは政府の手続きミス〉〈そもそも随意契約がおかしい〉〈政府はミスを認めるべき〉等々、舌鋒鋭く政府を批判。同時に、暴言王の足立康史議員や丸山穂高議員が国会の予算委でこの問題を取り上げ始めた。

 22日の定例記者会見では、3月末までに森友の認可条件は「クリアする方向でまとまってきた」と言っていた松井知事も、25日になって急に「不認可」の可能性に言及。豊中市に対して、用地の再調査を求めた。明らかにスタンスを変えてきている。

 「認可を与えて小学校が開校してしまうと、問題がずっと尾を引いて、足をすくわれかねない。世論の批判も高まってるし、『これは不認可にしてしもた方がええんちゃうか』いう話になってきたんです。一連の疑惑はあくまで国の責任で、維新は関係ないと示すこともできる。『こんな問題だらけの学校法人は認可でけへん』と知事が英断を下せば、府民も国民も拍手喝采ちゃう?」(維新の会関係者)

 森友学園の籠池理事長と「共鳴している」と言っていた安倍首相も、問題が拡大するや、国会答弁で「私も妻もいっさい関わっていない!」とブチ切れ、籠池理事長のことは「教育者としていかがなものか」と批判。きのう(27日)も「首相頑張れと園児に言ってもらいたいとはさらさら考えていない。適切ではない」と発言し、森友を切り捨てにかかっている。

 「政権を守るには、もう籠池理事長に泣いてもらうしかないということでしょう。意図的に、『理事長はちょっとおかしい』という印象操作がなされている。理事長の口封じができればいいと思っているのではないか。ただ、事案に関わった役人は、詰め腹を切らされるかもしれません」(官邸担当記者)

 役所と籠池理事長は、このまま一方的に悪者にされるくらいなら、いっそ国会で洗いざらい話してしまった方がいいのではないか。

 

大阪府、「森友」の要望で緩和(2017年3月1日配信『しんぶん赤旗』)

 

借金あっても開校容認

私学審委員“強い後ろ盾感じる”

 大阪府の学校法人「森友学園」(籠池泰典理事長)が、安倍晋三首相夫人が名誉校長を務めていた小学校建設用地のために国有地を格安で譲り受けた問題で28日、府が同学園から要望をうけた翌年に借入金による学校開設を認める規制緩和をしたことが分かりました。申請を審査した府私立学校審議会(私学審)の委員は本紙の取材に、同学園は借入金が多いだけでなく寄付金頼みの計画であり、「誰が見てもおかしい話を、府は通しにかかった。よほど強い後ろ盾があると思わざるをえなかった」と証言しています。

 府の基準では私立小中学校を開設した実績のある学校法人でなければ借入金で学校開設をできませんでした。府私学課によると、橋下徹氏が大阪府知事だった2011年7月ごろに森友学園の籠池理事長が基準の見直しを要望。松井一郎知事就任後の12年4月1日に基準を緩和しました。森友学園は14年10月31日に認可申請をしています。緩和後、申請したのは森友学園だけです。

 申請当時、森友学園の財務状況は借金頼みでした。私学審(14年12月18日)の議事録によると、委員から森友学園の「借り入れが、いま持っているものよりオーバーしている」との懸念が出ています。

 森友学園が小学校新設で頼みにしているのが寄付金です。同学園の籠池氏は本紙の取材に「寄付の計画は3億か、4億円だった」と回答。私学課は寄付金が計画以上に集まったとしています。

 しかし採算ラインが定員の70%程度なのに対し、入学希望者は28%にとどまっています。私学審の梶田叡一会長は経営が成り立つかどうか「みんな危惧している」(22日の会見)と表明。開校直前になっても財務状況の不安は解消できていません。ある委員は本紙の取材に、「借金もあるし、あの入学者数では経営は成り立たない」と指摘しています。

 松井知事は28日、記者団に対し規制緩和について「当時はどんどん私学に入ってきてもらうのが方向性だった」と説明しました。

 

森友問題でメディア懐柔…安倍首相が記者らと中華で宴会(2017年2月28日配信『日刊ゲンダイ』)

 

 “森友学園”問題が火を噴き、国会で連日追及されている安倍首相。27日突然、官邸担当の記者を集めて、赤坂の中華料理店で懇談をしている。「これ以上、森友学園のことは報じるな」という圧力だともっぱらだ。

 「忙しい首相が、当日に『きょう懇談をしよう』と記者を誘うのは異例のことです。どの社もエッと驚いた。もちろん目的は“森友学園についての報道は控えめにして欲しい”という牽制でしょう。宴会は夜7時過ぎから2時間半つづき、森友学園についても釈明したそうです」(政界関係者)

 官邸サイドは、懇談は数日前から決まっていたが、幹事社が各社に伝達しなかったと説明しているらしいが、いずれにしろ、このタイミングで2時間半も記者と宴席を囲んだのは、メディアが森友学園の疑惑を大きく報じ始めたことへの危機感の裏返しに違いない。

「さすがに安倍首相も慌てています。なにしろ、森友学園の問題は分かりやすい。国有地が格安で払い下げられ、その小学校の名誉校長に安倍夫人が就任している。しかも、森友学園の教育内容がメチャクチャときている。安倍首相が危機感を強めたのは、ワイドショーまで面白おかしく報じ始めたことです。これまで大新聞テレビは、安倍首相のスキャンダルを報じようとしなかった。安倍官邸がアメとムチでコントロールしてきたからです。でも、“赤信号みんなで渡れば怖くない”と、一斉に森友学園と安倍首相の関係を報じている。アンダーコントロールとはいかなくなり、危機感を抱いているはずです」(官邸事情通)

 安倍首相と仲良く高級中華を食べた大手メディアは、森友学園のことを報じなくなるのか。国民は監視が必要だ。

 

園児の絶叫で国民もハッと気付いた極右首相の本性(2017年2月28配信『日刊ゲンダイ』)

 

 森友学園問題は底知れぬ闇を感じさせる。

 タダ同然の国有地払い下げとともに、その異様さで注目を集めているのが学園の教育方針だ。幼稚園児に教育勅語を暗唱させ、皇国日本の復活を願う。中国や韓国に対するヘイト文書をまき散らす。

 学園の籠池泰典理事長が幹部を務めるカルト的極右団体「日本会議」の思想が根底にあるわけで、その理事長が安倍晋三首相を「偉人」と称え、園児に運動会の選手宣誓で、「安倍首相頑張れ」と叫ばせているのである。

 安倍はというと、いまでこそ「非常にしつこい」と言って籠池理事長に冷たくあたっているが、17日の衆院予算委員会では「私の考え方に非常に共鳴している方」と“同志愛”を見せていた。開校予定の小学校の名誉校長だった昭恵夫人も「籠池先生の教育に対する熱き想いに感銘を受け」と挨拶文を寄せていた。

 こうした光景を目の当たりにして、多くの国民はハッと気づいたことだろう。安倍と日本会議の同質性だ。

■日本会議に育てられた“右派のプリンス”

 2006年の第1次安倍政権を思い出して欲しい。キャッチフレーズは「美しい国」「戦後レジームからの脱却」だった。先の戦争後、GHQがつくった社会体制を否定し、平和憲法を改正して戦前体制に戻すというもの。そのために、安倍がまず手をつけたのが「教育基本法の改正」だった。公への奉仕を強要し、「愛国心」を盛り込み、右翼思想を前面に押し出した。

 当時、日本会議は何と言っていたか。安倍政権を「考え得る限りの理想的な政権が誕生した」と捉え、機関紙などで幾度となく称揚していたと、ジャーナリストの青木理氏が著書「日本会議の正体」で明かしている。07年6月、日本会議の椛島有三事務総長が福岡で行われた総会で次のように語っていたという。

 〈安倍政権発足後の変化として私が一番感じておりますのは、日本会議が「阻止の運動」「反対の運動」をする段階から、価値・方向性を提案する段階へと変化してきたということです。(中略)この一年間、教育基本法改正の運動、憲法改正の国民投票法成立の運動と日本の根幹をなす大事な問題に建設的エネルギーを注ぐことができました〉

 結局、この時はわずか1年で政権は倒れたが、不遇の時代も日本会議は安倍をバックアップした。有識者や議員ら日本会議に近い“お友達”が安倍シンパとして支え続け、超党派の議員連盟である「日本会議国会議員懇談会」はその間、会員数を増やし、今や280人を超える。

 その結実が安倍再登板だ。2012年の第2次政権では、安倍はシンパを重用している。閣僚の6割が日本会議議連のメンバー。その傾向は改造を重ねても変わらず、むしろ比率は上昇している。

 あらためて青木理氏がこう言う。

 「政界入りする以前の安倍さんに、それほど右翼的な思想はなかったと思います。北朝鮮拉致問題に関わるようになった頃から、日本会議国会議員懇談会のコアメンバーらが周囲に集まるようになり、安倍さんも感化されていったとみるのが自然です。つまり、日本会議とその周辺にいる連中が、安倍さんを“右派のプリンス”として育てた、と言えるのではないでしょうか。ですから、日本会議の主張と安倍政権が目指すものには『親和性』があるのです」

■失敗を繰り返さないための「アベノミクス」

 ところが、第2次政権では、その親和性が巧妙に隠されてきた。「長期政権には高支持率の維持が不可欠」と読んだ安倍は、アベノミクスで経済最優先の政策を打ち出し、自由主義の信奉者を装ったのである。

「第1次政権での失敗を繰り返さないよう、『チーム安倍』の面々は団結を崩さず、政権を強くすることに細心の注意を払ってきた。そのための材料が『経済』だったのです。憲法改正など本当にやりたいことは、政権が強くなるまで、あえて打ち出さないようにした」(政治評論家・森田実氏)

 安倍が好んで使うフレーズ「自由、人権、法の支配」。米国との協調行動や西側民主主義諸国の一員であることのアピールだが、これも隠れみのみたいなもので、安倍の本性は第1次政権の時と変わっていない。そのことがバレてしまったのが、今回の森友学園問題の本質なのである。

 海外メディアが感じ取る「ナショナリスト」の危うい緊密

 そんな安倍と極右団体の密接な関係に早くから強い関心を示してきたのは、海外メディアだ。日本のメディアがほとんど触れないのと対照的に、日本会議について「ナショナリスト組織」(米ニューヨーク・タイムズ)、「強力な超国家主義団体」(仏ルモンド)などと積極的に報じてきた。

 例えば2015年の英エコノミストの記事にはこうある。

〈「日本会議」は、日本の最も強力なロビー団体のひとつとして国粋主義的かつ歴史修正的な目標を掲げている〉

 英エコノミストは2012年の第2次安倍政権発足時に、「歴史修正主義に執着するラディカルナショナリスト(急進民族主義者)の政権」と論評していたから、両者の緊密さに危険性を感じ取ったのだろう。

 海外メディアは、今回の森友学園問題を、土地取引疑惑ではなく、思想問題として扱っている。英ガーディアン紙が森友学園を「レイシズムを主張するウルトラナショナリスト教育機関」と断じ、〈籠池理事長は、日本会議大阪支部リーダーである。日本軍がアジア解放のために戦ったと主張するこの団体は再軍備を訴え、米国に押し付けられた憲法によって大切な“国柄”が失われたと考えている〉などと伝えているのが代表例だ。

 日本国内では「経済」「アベノミクス」で国民を騙せても、自由と人権を尊重する民主主義の本場である欧米の目はごまかせない。自国で極右の台頭に危機感を持っているから、安倍の危うさがより分かるのだろう。

 だから、あの日米首脳会談で独善的な排外主義者のトランプ米大統領と安倍が肩を組み、その親密さを世界中に見せつけたことに、欧米メディアが異様な目を向けたのだ。

■オブラートの中には毒薬

 実際、高支持率をいいことに安倍政権がやっていることは、「自由、人権、法の支配」とは真逆だ。

 「特定秘密保護法と安保法制を成立させ、今度は共謀罪。政府にとって都合の悪い運動はさせず、国民を国家の統制の下に置きたいのでしょう。経済というオブラートに包まれたその中にあるのは毒薬。法律で決めるべきではない道徳の分野にまで踏み込もうとしている。戦前同様の軍事国家への道を邁進しています」(森田実氏=前出)

 安倍政治は、まさに日本会議が主張する「憲法改正」「国防の充実」「愛国教育の推進」といった基本方針と一致する。安倍が進めているのは、「統制、抑圧、日本会議支配」だと言っても過言ではない。

 ベールの下の安倍の本性を森友学園問題が見事に暴いた。極右団体と一体化する政権の異常。国民は今、その怖さに震え上がっていなくてはおかしい。

 アナクロ政権をこのまま続けさせていいのか。国民の良識が問われている。

 

昭恵夫人の名誉職就任「承認もらった」と理事長反論(2017年2月28日配信『日刊スポーツ』)

 

 国有地取得をめぐる疑惑が指摘されている大阪市の学校法人「森友学園」の籠池(かごいけ)泰典理事長は27日放送されたNHKインタビューで、昭恵夫人の名誉校長就任の経緯に関し、「(夫人に)承認してもらった上で講演で(名誉校長として)紹介し、就任してもらった」と述べ、夫人は承認していたとの認識を示した。その上で「夫人の受け取りようもあると思う」とも述べ、双方の認識にズレがある可能性もほのめかした。

 首相は24日、夫人は講演前に待合室で打診を断ったが、講演の場で保護者を前に「引き受けてもらわないと困る」と要請され、断れなかったと説明。この日も「もし人間同士が会った時、大丈夫ですね、困りますよ、大丈夫ですねと言って相手が何も言わなければ、承認をもらったと思う場合がある」「たくさんの人の前で言われれば受けざるを得なかった」と主張した。

 一方、学園は、用地のごみ撤去工事に関わった処理業者が掘り出されたごみ交じりの土砂の半分を埋め戻したと主張していることに対し、ホームページで反論した。埋め戻しとされる作業は、あくまで「仮置き」との認識を示している。

 学園はきょう28日に大阪市で会見を開く予定だったが、調整に当たっていた上西小百合衆院議員は、ツイッターで延期を表明した。

 

森友学園;私立小設置認可基準を緩和 大阪府が要望受け(2017年2月28日配信『毎日新聞』)

 

 小学校建設のため大阪市の学校法人「森友学園」に売却された大阪府豊中市の国有地を巡る問題で、府が2012年、学園側の要望を受けて私立小学校設置認可基準を緩和していたことが、27日分かった。幼稚園しか設置していない学校法人が、小学校の開設に借入金を充てることを容認する内容。基準の緩和後、小学校認可の申請は森友学園の1件だけだが、現在も財務面での不安を解消できない異例の展開をたどっている。

 府は、森友学園が借入金を学校開設に充てているかは明らかにしていないが、14年12月に開かれた府私立学校審議会の議事録によると、学園の財務状況について委員から「借り入れが今持っているものよりオーバーしている」と指摘されていた。また、今月22日にあった私学審の臨時会では、入学希望者が定員の半数程度にとどまっていることが報告され、学園の財務状況を懸念する声が出た。

 府私学課によると、森友学園の籠池泰典理事長が11年ごろ、小学校や中学校などを設置済みの学校法人にしか借入金による小学校設置が認められていないことを問題視し、府に見直しを要望した。府は12年1月に府民から意見を募集し、同4月1日に基準を改正。幼稚園のみを設置していた同学園は14年10月、府に小学校設置認可を申請した。

 従来の基準は、小規模な幼稚園しか設置していない学校法人は資金繰りに問題が生じる可能性が比較的高いとして設けられていた。私学課は「同様の要件を設けている都道府県がほとんどなく、合理的でないと判断した」と説明。森友学園の他に同様の要望はなかった。

 教育の規制緩和を進めていた府側の意向と一致した形となったが、松井一郎知事は25日、自身のツイッターで「新規参入を促し競争による質向上を目指して高いハードルを他府県並みに引き下げたまでだ」と説明した。また、取材に対し、籠池理事長と「会ったことはない」と話している

 

国家ぐるみの“洗脳教育” 辞めるべきは夫人ではなく首相だ(2017年2月27日配信『日刊ゲンダイ』)

 

 これはロッキード事件を超える政界スキャンダルになるのではないか。安倍首相の妻、昭恵さんが名誉校長を務めていた「瑞穂の國記念小學院」(豊中市)をめぐるスキャンダルは、日を追うごとに疑惑が深まっている。とうとう、昭恵夫人は名誉校長を辞任している。

 疑惑の核心は「瑞穂の國記念小學院」の建設用地として、大阪府の学校法人「森友学園」に、鑑定価格9億5600万円の国有地を、わずか1億3400万円という不当な安値で払い下げたことだ。国有地が格安で売却された裏に何があったのか。

 この払い下げが異常なのは、8億2200万円というディスカウントだけでなく、何から何まで、森友学園を“特別扱い”していることだ。

 もともと、森友学園への払い下げに疑惑の目が向けられたのは、森友学園の強い要請に従って、国有地にもかかわらず売却額が“非公表”にされたことだった。非公表は異例のことだ。

 “値引き額”の決め方も過去に例がない。土地の地下に埋まっていたゴミの撤去費用を8億2200万円と算定し、その分、値引きしているが、過去、撤去額は専門業者が見積もっていたのに、なぜか、この取引だけは国が直接決めている。

 さらに、森友学園は、1億3400万円で購入する前、いったん「定期借地契約」を結び、その後「売買」に変更しているが、こうしたケースは過去に2例しかないという。とにかく、何から何まで“異例ずくめ”なのだ。

「森友学園への払い下げには、財務省と国交省の役人が関わっています。役人は前例を踏襲するのが習い性です。前例にないことはやりたがらない。まして、前例を破り自分の判断だけで国有地を安く売るとは考えられない。大きな政治力が働いたとみて間違いありません」(政治評論家・本澤二郎氏)

「森友学園」の教育を称賛していた

 そもそも、なぜ昭恵夫人は名誉校長に就任したのか。今年4月に開校する「瑞穂の國記念小學院」は、もともと「安倍晋三記念小学校」として開学する予定だったという。実際「安倍晋三記念小学校」名目で寄付金を集めていた。

 安倍首相は国会で「私も妻も国有地の払い下げに関係ない。関わっていたら総理大臣を辞める」とムキになって、関わりを否定しているが、本当なのか。

 少なくても、安倍が「森友学園」の籠池泰典理事長の教育方針に共鳴していたのは確かだ。籠池理事長は、日本最大の右翼組織「日本会議」の幹部である。

 森友学園が運営する「塚本幼稚園」は、幼児に戦前の「教育勅語」を暗唱させるなど偏った教育が問題視されているが、安倍は「妻から(籠池)先生の教育に対する熱意は素晴らしいと聞いている」と国会で称賛し、昭恵夫人も塚本幼稚園で講演した時、「こちらの教育方針は、主人も大変素晴らしいと思っています」と明言している。結果的に中止になったが、安倍は塚本幼稚園で講演することも、籠池理事長と約束していた。

 それなりに近しい関係だったのは、間違いないだろう。

 「気になるのは、森友学園サイドと財務省、国交省の3者が近畿財務局の会議室に集まり、国有地の価格交渉をした2015年9月4日前後の動きです。偶然なのか、その前日、安倍首相は国有地を管理する財務省の理財局長と官邸で会い、翌4日には、自ら近畿財務局のある大阪に足を運んでいる。さらに、その翌日の5日、昭恵夫人が塚本幼稚園で講演し、『瑞穂の國記念小學院』の名誉校長になることを表明しているのです」(本澤二郎氏=前出)

 もともと安倍は、閣僚を「日本会議」のメンバーで固めるほど、皇国日本の復活をもくろむ「日本会議」とは親密な関係にある。本当に、極右思想を共有する仲間内で国有地を私物化し、「日本会議」の幹部に便宜を図るようなことは、なかったのか。

 「洗脳教育」の場に使われる

 国有地を不当に安い価格で払い下げた疑惑もさることながら、不気味なのは、この疑惑は単に私腹を肥やす利権話ではないことだ。

 幼児に「教育勅語」を暗唱させる、戦前のような思想教育を拡大させようというカルトのような動きが、国家ぐるみで行われていたということだ。

 「森友学園が特別扱いされたのは、ある勢力にとって〈瑞穂の國記念小學院〉は、特別な学校だったからでしょう。日本会議の幹部が運営する〈塚本幼稚園〉では、幼児に教育勅語を暗唱させる思想教育が行われている。恐らく彼らは、幼稚園で洗脳教育した児童を、そのまま小学校でも思想教育したいと思ったのでしょう。幼稚園だけでは洗脳が解けてしまうからです。図らずも昭恵夫人は『せっかくここ(塚本幼稚園)で芯ができたものが(公立の)学校に入ると、揺らいでしまう』と講演で漏らしている。日本会議と安倍首相は、日本国民を戦前のように国家のために命をささげる民族にしたいと考えているのだと思う。その教育機関のひとつが〈瑞穂の國記念小學院〉なのでしょう。安倍首相の関与は不明ですが、異常な国有地の払い下げは、日本会議の考え方に共鳴する政治家や官僚が〈瑞穂の國記念小學院〉の創立のために一肌脱いだ結果だと考えれば腑に落ちます」(政治学者・五十嵐仁氏)

 さすがに、海外メディアも「森友学園」への国有地払い下げを薄気味悪く感じているのだろう。フィナンシャル・タイムズやABCニュースなど、主要メディアが一斉に報じている。ガーディアン紙は、森友学園を〈レイシズムを主張するウルトラナショナリスト教育機関〉と断じている。

■安倍政権「愛国教育」の総仕上げ

 このままでは、日本が戦前回帰するのは時間の問題である。

 自民党の幹事長などを歴任した故・加藤紘一氏は、第1次安倍政権がスタートした2006年、朝日新聞のインタビューで「安倍政権の背後には日本会議がある。だから安倍政権は今までの自民党政権とは異質で危険だ」と指摘していた。

 あれから10年、安倍首相と日本会議は、完全に一体化しているに違いない。「森友学園」への国有地払い下げは、たまたま表面化しただけなのではないか。立正大教授の金子勝氏(憲法)はこう言う。

 「安倍政権による“愛国教育”は総仕上げに入りつつあります。保育園と幼稚園に対しても、国旗・国歌に“親しむ”ように要請しています。発想は、塚本幼稚園と変わらない。国家について考えたこともない幼い子どもに国旗・国歌を押しつけ、国家に忠誠を誓うように洗脳するつもりでしょう。安倍首相が目指している国家は、指導者の命令に全国民が従う全体主義国家だと思う。共謀罪の成立を強行しようとしているのは、国家に逆らう人物を容赦なく弾圧するためでしょう。共謀罪が成立すれば、犯罪を犯していなくても逮捕できますからね。その先には当然、改憲が控えています」

 塚本幼稚園の運動会では、園児は「日本を悪者として扱っている中国、韓国が、心改め、歴史で嘘を教えないよう、お願いします。安倍首相ガンバレ、安保法制国会通過よかったです」と選手宣誓している。

 そのまま「瑞穂の國記念小學院」に進んだら、果たしてどんな大人になることか。

 一体、誰が国有地を格安で払い下げたのか。この疑惑は、昭恵夫人の辞任で済むような話じゃない。辞めるべきは夫人ではなく安倍だ。

 

森友学園問題 審議前に貸し付け内諾(2017年2月26日配信『しんぶん赤旗』)

 

籠池氏と大阪府私学課証言

 財務省近畿財務局が大阪府の学校法人「森友学園」(籠池泰典理事長)に国有地を異常な安値で売却した問題で、同財務局が土地処分を審査する審議会の決定前に、学園側と大阪府に対して国有地を貸し付けできる見込みであると事実上の内諾を伝えていたことが25日、分かりました。同学園の籠池理事長らと大阪府私学課が本紙の取材に明らかにしました。

 問題の国有地(大阪府豊中市)は、森友学園が4月開校を予定している私立小学校「瑞穂の國記念小学院」の予定地です。同小の名誉校長には、安倍晋三首相夫人の昭恵氏が就任していました。(現在は辞任)

 大阪府は私立小中学校の認可基準で、用地は自己所有か公有地を長期間借りることを条件としています。森友学園は近畿財務局に国有地の賃貸を申し出ている段階で2014年10月31日、大阪府私学審議会(私学審)に新設認可を申請。私学審は、15年1月27日に「認可適当」と答申しました。

 この答申の2週間後、国有財産の処分を決める近畿財務局の国有財産近畿地方審議会が、森友学園に国有地を10年間貸すことを決めました。

 森友学園の籠池理事長と代理人の酒井康生弁護士は本紙の取材に、「近畿財務局との間で(貸し付けが)ほぼほぼ内諾に近いような形になったので私学審に申請した」と説明。「このまま普通に(国有財産近畿地方審議会に)かければ通るでしょうね、という見込みを財務局から聞いていた」と話しています。

 私学審の事務局である大阪府私学課も本紙に「大阪府と近畿財務局がうちあわせし、(賃貸が)確実に履行できるという見込みがあると判断した」と回答しました。

 財務省は、国有地を処分する際に国有財産地方審議会の意見を尊重することとしています。審議前に事実上の内諾を与えることは、審議の誘導につながります。実際に近畿地方審議会では森友学園への貸し付けについて複数の委員から強い懸念が出たのに、財務局側が押し切る形で貸し付けを決定しました。財務省広報室は、大阪府に対し貸し付けがほぼ確実であると「伝えた事実はない」と文書で本紙に回答しました。

 

国有地貸し付けの“内諾”をめぐる経緯

2014年

10月31日 森友学園が大阪府私学審に新設認可申請

12月18日 大阪府私学審が、認可を保留

2015年

1月27日 大阪府私学審が臨時会合で「認可適当」答申

2月10日 国有財産近畿地方審議会が、国有地の10年間貸し付け決定

 

名誉校長辞任でも終わらない “安倍晋三小学校”異様の全容(2017年2月25日配信『日刊ゲンダイ』)

 

 トンデモ理事長や役人のせいにして逃げるつもりなのか。鑑定評価額9億5600万円の国有地が、大阪市の森友学園に実質200万円で売却された問題。森友学園はこの土地に私立小学校を新設予定で、当初は「安倍晋三記念小学校」の名前で寄付金が集められていた。しかも、昭恵夫人が新設小学校の名誉校長に就任していたため、国民の疑惑の目は当然、安倍首相にも向けられている。

 24日の衆院予算委員会で、安倍首相は夫人が名誉校長を辞任したことを明らかにしたが、それで済む話ではないはずだ。

 安倍首相は24日の予算委で責任回避に終始した。寄付金集めに自分の名前が使われたことは「大変遺憾であり、残念であるという強い抗議をした」「大きな不信を持った」と被害者ヅラ。森友学園の籠池泰典理事長に対しては、「非常にしつこい中において」とか「教育者としてはいかがなものか」とまで言っていた。

 17日の予算委では、森友学園と籠池理事長のことを「妻から森友学園の先生の教育に対する熱意は素晴らしいという話を聞いている」と持ち上げ、「私の考え方に非常に共鳴している方から、『安倍晋三小学校』にしたいという話があったが断った」と同志愛を表明していたのに、わずか1週間で手のひら返しの迷惑顔だ。なんと軽い理念の共鳴かと驚いてしまうような変わり身の早さである。

■園児が「安保法制よかった」と宣誓

 籠池理事長は、安倍政権を支えるカルト的右派団体「日本会議」の大阪幹部だ。メディアの取材に対して安倍首相を「偉人」と称え、その一方では差別主義をまき散らし、ヘイト発言を繰り返してきた。森友学園が経営する塚本幼稚園では、子どもをトイレに行かせないなど幼児虐待の疑惑も浮上している。

 「塚本幼稚園では、保護者に憲法改正への賛同署名を募っていたことも分かっています。明らかに、政治的活動を禁じた教育基本法に違反していますが、自分たちの極右路線と共鳴する安倍首相を崇め、憲法改正のためには何でもやる。批判しようものなら、ヘイトスピーチで対抗しようとするのが日本会議です」(ジャーナリスト・横田一氏)

 ベストセラー「日本会議の研究」の著者・菅野完氏は、塚本幼稚園が撮影して配布した運動会のDVDの映像を見て、絶句したという。2015年に塚本幼稚園で行われた秋の大運動会の冒頭、選手宣誓で園児がこう言っているのだ。

 「大人の人たちは、日本が他の国に負けぬよう、尖閣列島・竹島・北方領土を守り、日本を悪者として扱っている中国、韓国が、心改め、歴史で嘘を教えないよう、お願い致します。安倍首相ガンバレ! 安倍首相ガンバレ! 安保法制国会通過よかったです!」

 子どもたちはアンポの意味も分からず言わされているのだろうが、これも教育基本法に反する政治的活動に違いない。ここまでして安倍首相を応援してきた熱心な支持者も、利用価値がないとなれば、保身のためにあっさり切り捨てる。安倍首相の卑劣さが分かるというものだ。

 「ウルトラ・ナショナリスト」に海外メディアも関心

 「美しい国」「日本人の誇りを取り戻す」「戦後レジームからの脱却」――。安倍政権のキャッチフレーズは、すべて日本会議が元ネタだ。憲法改正や、集団的自衛権の行使解禁、愛国心教育もそう。この国有地払い下げ問題も、安倍政権と日本会議のいびつな関係を抜きには語れない。日本の大メディアは及び腰だが、海外メディアは重大な関心を示し、一斉に報じ始めている。英ガーディアン紙は森友学園を「レイシズムを主張するウルトラ・ナショナリスト教育機関」と断じ、森友学園の異様な教育方針や戦前回帰を望む日本会議のアナクロ思想、安倍首相との親密さにも踏み込んだ。

 〈森友のカリキュラムは愛国心を園児に叩き込むものだ。皇室の肖像に向かってお辞儀をし、軍事基地の見学に行く。3〜5歳の子どもたちは毎朝、国歌を歌い、天皇への忠誠と国への奉仕を求める教育勅語を暗唱する〉

 〈籠池理事長は、日本会議――安倍首相を含め、彼の内閣の1ダース以上がそのメンバーで占められている超保守的な圧力団体――大阪支部リーダーである。日本軍がアジア解放のために戦ったと主張するこの団体は再軍備を訴え、米国に押し付けられた憲法によって大切な“国柄”が失われたと考えている〉

 〈安倍昭恵と森友との関係は、名誉校長としての束の間の役割にとどまらず、長く深い。彼女が15年にその姉妹幼稚園を訪問した時の映像を見ると、保護者たちにこう話している。「私の夫も、ここの教育方針は素晴らしいと思っています」〉――。

 ウルトラ・ナショナリスト教育機関と、夫婦そろって共鳴していたはずなのに、昭恵夫人は名誉校長を辞任し、23日には森友学園のHPから「名誉校長 安倍昭恵先生 安倍晋三内閣総理大臣夫人」の挨拶も削除されてしまった。「隠蔽じゃないかと思った」と国会で野党議員が発言したところ、安倍首相はマジ切れ。

 「隠蔽というのはですね、隠蔽というのは、隠蔽というのは、じゃあ、私が隠蔽したんですか! 私がですね、私が森友学園のHPに対して隠蔽しようがないじゃないですか!」

 よっぽど触れられたくない話なのか、「レッテル貼りだ!」「公共の電波の前で私を侮辱した!」「私と妻を侮辱した!」と早口でまくしたて、「(隠蔽の言葉を)取り消さないと答弁できない」とダダをこね、揚げ句に「まるで私が関与しているかのごとくイメージ操作を延々と、それしかないのでしょうけど、だからあなたたち(民進党)は国民からの信用を得られないんですよ」と、公共の電波の前で民進党を侮辱していた。

 まるで子どもだ。いっそ塚本幼稚園で教育を受け直した方がいいのではないか。幼児性丸出しのトップの醜態を見せつけられた国民は唖然ボー然である。

ならず者集団とズブズブの政権

「問題の国有地売買に関わった財務省や国交省は、森友学園との交渉や面会の記録は破棄して残っていないと言っています。これでは隠蔽と疑われても仕方がありません。首相はすぐに『私や家内や事務所が国有地払い下げに関与していたら政治家を辞める』と逆ギレしますが、本来なら、不可解な土地取引の『真相を解明する』と宣言し、関係省庁に『調査に協力するように』と指示するのが行政府トップとしての役目でしょう。やましいことがないのなら、身の潔白を証明するためにも、首相自ら率先して真相解明に動き、国民の不信を払拭すべきです。それをしないのは後ろ暗いところがあるからではないか、首相と思想信条を共有する日本会議が関わっているから、異例ずくめの取引で便宜が図られたのではないかとみられるのは当然です」(横田一氏=前出)

 さすがに、国有地売買で安倍首相自身が口利きするようなバカな真似はしないだろう。ただ、安倍首相を熱烈に支持する日本会議が関わっているというだけで、無言の圧力になる。“政治案件”として周囲が忖度する。ヘイト発言を繰り返す学校経営者にも認可が下りてしまう。そういう空気が問題なのである。

 前出の菅野完氏が言う。

 「日本会議の実態は、さほど巨大な権力ではない。例えるなら、30代でJC、40代でロータリー、50代でライオンズの壁を越えられなかったような人々が日本会議に行く。言うなれば“ならず者”の集まりです。集団に属する社会的欲求や、他者から認められたいという尊厳欲求を充足するのに、日の丸ほど便利なものはないからです。政権を牛耳るというような大それた意図がなかったとしても、不作為の積み重ねによるファシズムが顕在化してきた。それが現状ではないでしょうか」

 そういう“ならず者”集団が、首相と共鳴してズブズブになり、その一端が国有地払い下げ問題で発覚した。政権とカルト的右派集団の不気味な癒着が不問に付されるかぎり、同じようなことは必ずまた起きる。日本会議に乗っ取られた独裁政権下の国民はいいツラの皮ということになる。

 

裁判中の退園ママ激白 疑惑の塚本幼稚園「虐待」の実態(2017年2月25日配信『日刊ゲンダイ』)

 

 国有地の“激安”払い下げ問題で揺れる森友学園が経営する塚本幼稚園(大阪市)。園児に「教育勅語」を暗唱させるなど戦前のような教育が疑問視されるだけではなく、「虐待」が行われている疑いまで浮上している。

 実際、子どもがひどい目に遭い退園した保護者が塚本幼稚園を相手に現在裁判中だ。被害を訴える退園者の会もできている。

 日刊ゲンダイは、2歳の子どもが被害に遭い退園したAさんに話を聞くことができた。

「音楽の練習などの妨げになるという理由で、トイレに頻繁に行くことも許されない。トイレに行く時間が決められています。それに、たとえ2歳の子どもでもお漏らしはNGです。見せしめなのか、なかには漏らした下着を透明袋で持って帰らされた子どももいます。園児たちはトイレにストレスを感じていて、あまり水分を取りたがらないのです。私の子どもも、お漏らしはダメと思い込んだあまり、排泄障害になったくらいです」

 ■4歳児を3歳クラスに“降格”

 塚本幼稚園は保護者同士のつながりを警戒していたようだ。保護者間の連絡網はなく、保護者同士でたむろしていると怒鳴られることもあった。在園中は情報が少なかったAさんだが、退園してから、塚本幼稚園の様子が多く耳に入ってきたという。Aさんが続ける。

 「デキの悪い4歳児を1週間、“3歳クラス”に降格させたり、なわとびができない子に『あなたたちに電気はいりません』と薄暗い部屋で給食を取らせたりと、子どもに屈辱を与える指導をしているようです」

 これが事実なら、紛れもない児童虐待だ。日刊ゲンダイは塚本幼稚園に事実関係を書面で問い合わせたが、期限までに回答はなかった。

 それでも通園させる保護者がいるのは、塚本幼稚園は定員に余裕があり、願書を出せばスンナリ入園できるからだ。また、2歳児を受け入れる貴重な幼稚園だという。

 本当に「虐待」が行われているのか、一刻も早く国会で解明すべきだ。

 

森友学園のためか 大阪「私立小設置基準」緩和に重大疑義(2017年2月25日配信『日刊ゲンダイ』)

 

 怪しい事実が出るわ出るわの“安倍晋三小学校”国有地払い下げ問題。森友学園が建設中の「瑞穂の國記念小學院」へのスピード認可に疑いの目が注がれているが、実はそもそもの申請をめぐっても新たな疑惑が浮上した。大阪府が2012年に「私立小学校の設置基準」を緩和しているのだが、どうにも不自然な改正で、森友学園のためだったのではないかという疑いがあるのだ。

 大阪府では12年以前は、借り入れのある幼稚園法人の小学校設置は一切認められていなかった。幼稚園を借金経営しているような法人には、より規模の大きい小学校は任せられないという趣旨だ。しかし、12年4月、松井一郎知事の下、突然、「借り入れありの幼稚園」にも小学校参入の門戸を開く。基準の改正は議会の可決も不要。1カ月間のパブリックコメントも「意見なし」で、公開からわずか2カ月であっさり改正が施行されている。

  ■改正以降の5年間で申請をしたのは森友学園だけ

 大阪府は「幼稚園法人等であることをもって認めないということは合理的な理由がない」(教育庁私学課)と改正理由を説明するが、大阪産業大客員教授の八幡義雄氏(教育学)は首をかしげる。

「社会的なニーズに逆行する改正です。最近は、子どもが少ないので、小学校の統廃合が課題になっている状況。新規で小学校を立ち上げるには、よほど健全な財務状況の法人でないと手が出せません。小学校の経営破綻を避けるために、入り口で財務審査を厳しくするならわかりますが、大阪府の基準緩和は理解に苦しみます」

 実際、森友学園は改正の翌13年、問題の国有地取得要望を表明。14年10月に大阪府に「学校認可申請書」を提出し、15年1月に「認可適当」の答申を勝ち取っている。

 大阪府によると、12年の改正以降の約5年間で、小学校の設置申請をしたのは森友学園ただ1校。これでは、森友学園のために基準を緩和したようにも見える。「森友学園の借り入れの有無はお答えできない」(教育庁私学課)というが、大阪府私立学校審議会の議事録(14年12月18日)には〈借入がね、今持っているもの(預貯金等)よりもオーバーしているわけですね〉という記述がある。申請時に借り入れがあったことは想像に難くない。現在も定員の大幅割れや財務状況が不安視され、4月開設にGOサインが出ていないほどだ。

 森友学園の籠池泰典理事長は、幼稚園の保護者に配布した資料で、「維新の会」の橋下徹前大阪市長や松井知事との近しさを表すとともに絶賛している。松井知事は何のための基準緩和だったのか説明する必要がある。

 

論戦ハイライト;国有地格安払い下げ 政治家関与なく起こりえない(2017年2月25日配信『しんぶん赤旗』)

 

宮本岳志議員、全容解明迫る

   24日の衆院予算委員会で、学校法人「森友学園」へ国有地が格安で払い下げられた問題を追及した日本共産党の宮本岳志議員。関係者が事前に価格交渉をしていたことを独自に入手した資料から明らかにして、「このような奇怪なことは政治家の関与なしには起こりえない」と主張しました。


図

衆院予算委員会

 問題の土地は、大阪府豊中市にある国有地です。森友学園が2016年6月に1億3400万円で取得しました。

格安のカラクリは

 宮本氏は、不動産鑑定士による土地評価額は9億5600万円なのに、国が埋設ゴミの撤去費用を理由に8億1900万円もの値引きを行った経緯を追及(図)。森友学園の籠池泰典理事長がラジオで、埋設ゴミの撤去をしたのは校舎部分だけで、運動場はしていないと述べていることなどをあげ、撤去費用が過大に見積もられた可能性をただしました。

 宮本 森友学園が見積もり通り埋設物を運び出し、処理をしたことを確認したのか。

 佐川宣寿・財務省理財局長 詳細については承知していない。

 宮本 埋設物を取り除かなければ、学校の校地として認められないのか。

 山下治・文科省文教施設企画部長 指針を定めているが、法的な拘束力はない。

 宮本氏は「8億円もの工事をしなくても学校は十分建てられるということだ」と指摘しました。

価格交渉値引きか

 そこで、宮本氏は、近畿財務局が売買契約前に、森友学園側に土地価格や除去費用についての価格を提示し、交渉していた可能性について追及。佐川理財局長は「契約手続き前に、本件の鑑定価格等について示した事実はない」などときっぱり否定しました。

 しかし、宮本氏がつづいて暴露した資料では、2015年9月4日の午前10時から正午の間に近畿財務局9階会議室で、近畿財務局の統括管理官、大阪航空局調査係、森友学園の建設工事を請け負った設計会社所長、建設会社所長が会合を持っていた事実が明確に示されています。宮本氏は会合での具体的なやりとりも示し、次のようにただしました。

 宮本 土壌改良工事の価格をめぐって交渉したのではないか。

 理財局長 確認できていない。

 宮本 資料によると業者からかなり高額な処理費用が提示されている。交渉があったのは事実だな。

 理財局長 個別の交渉記録は残っていない。

 宮本 調べようがないということか。

 理財局長 確認する。

全交渉記録開示を

 宮本氏はさらに、2016年6月の売買契約締結に至るまでの交渉記録をすべて開示するよう要求しました。

 しかし、佐川理財局長は、ここでも「売買契約の締結をもって事案は終了しているので、記録は残っていない」などと述べて、開示を拒否しました。

 宮本 昨年売買契約をした本件は2016年度決算報告の対象となる。すでに会計検査は終了しているのか。

 河戸光彦・会計検査院長 検査およびその結果のとりまとめに必要な期間を確保したうえで報告する。

 宮本 売買契約の締結と同時に記録を破棄されたのでは検査のしようもない。(理財局が)隠ぺいしたといわれても仕方がない。

 宮本氏は「この国有地の売却は、世間の常識にてらしてもあまりにも異常だ」と指摘しました。

 

国有地売却14〜16年度693件 金額非開示は森友学園のみ(2017年2月25日配信『東京新聞』)

 

 大阪府豊中市の国有地が学校法人「森友(もりとも)学園」(大阪市淀川区、籠池(かごいけ)泰典理事長)に評価額の14%の値段で売却された問題で、財務省が国有地の売却額を非公表にしたのは2014〜16年度の693件のうち森友学園の事例1件だけだったことが分かった。政府は取引を透明化するために金額を原則公開しているが、異例の扱いをしていた。

 問題になっている国有地は、小学校用地として当初の評価額9億5600万円から8億円余りも安い1億3400万円で売却された。国有地の売却結果は、1999年の大蔵省(現財務省)の通達で原則公表することになっている。

 近畿財務局(大阪府など2府4県を管轄)が実施した森友学園への売却は、適当な相手と考えられたり特殊な技術が必要な場合に行われる随意契約。財務省によると、近畿財務局は過去3年間に随意契約で国有地を36件売却したが、非公表は森友学園との取引1件だけだった。同時期に近畿財務局以外で行われた売却はすべて公表していた。

 近畿財務局は非公表にした理由について昨年6月の契約の際、森友学園からの要請があったためとしている。財務省は「取引相手が公表に同意しない場合は公表していない」と説明している。

 だが、この取引の不透明さが報道され、同財務局が今月10日に金額を公表した。一転して価格を公表したことについて財務省は「非公表のままだと、森友学園が国有地を不当に安く取得したという誤解を受けると判断し、公表に同意した」と話している。

 

森友学園;「ごみ埋めた」業者証言(2017年2月24日配信『毎日新聞』)

 

 森友学園の小学校用地として売却された大阪府豊中市の国有地を巡る問題で、地下のごみ処理に関わったという関西地方の土木業の男性が24日、毎日新聞の取材に応じた。建設用地には生活ごみなどが混じった土が山積みになっていたといい、男性は「敷地内に穴を掘り、その土を埋めた」と証言した。

 この証言は国会審議で取り上げられ、国側は産業廃棄物として撤去費を見積もったと明らかにした。

 男性は昨年11月、知り合いの業者に紹介され、建設現場に出入りするようになった。校舎は既に建ちつつあり、敷地南側に約2000立方メートルの土が山積みで、空になったしょうゆやマヨネーズの容器、靴、衣類などが混じっていた。発注元の業者からの指示で、周囲の地面を2〜3メートル掘っては土を埋める作業を繰り返したという。

 ごみが混じった土はアンモニアのような強い異臭を放ち、昼食などはのどを通らなかったという。男性は「子供が遊ぶ場所で問題だと思った」と語った。

 大阪府の松井一郎知事は24日、調査権限のある豊中市に事実確認を求める考えを示した。府は学園に確認したが「工事で出たごみを埋め戻すなんてあり得ない」と否定したという。豊中市は「掘り起こして調査する予定はないが、速やかに業者に処理状況を確認したい」としている。

 府私学課は「今の状況で問題ないと言い切るのは難しい」としており、松井氏は「認可権限は教育長にある」とした上で「入学希望者が別の学校に行く手続きができる時期に、答えを出すことになるだろう」と話し、開校認可の先送りや不認可の可能性に言及した。

 また、安倍晋三首相が24日の予算委で、学園が寄付金を集める際に「安倍晋三記念小学校」の名称を使用していたことに不快感を示したが、松井氏は「首相の発言が認可に直結することはない。ごみ処理が適切か、学校運営の財務状況はどうなのかを冷静に判断すべきだ」と強調した。

 

森友学園;土地取引、際立つ異例さ…国会で紛糾(2017年2月24日配信『毎日新聞』)

 

 大阪市の学校法人「森友学園」が小学校用地として取得した国有地の取引の異例さが際立っている。24日の衆院予算委員会では、開校時期や財務状況に配慮した前例のない手続きが明らかになり、野党は「政治家が関与していると国民が疑念を持つ」と批判した。焦点は大阪府豊中市の土地の鑑定額9億5600万円から、ごみ撤去費など8億2200万円を減額した財務省の裁量だ。

ごみ撤去、確認不要?

 問題の国有地は約8770平方メートル。近くの伊丹空港の騒音対策区域だったが、航空機の性能向上で役割が終わり、2013年に売却先を公募。森友学園が手を挙げた。

 審議での焦点の一つは、減額算定した約8億円に相当するごみの撤去が実際に行われたかを、政府として確認する必要がない、とする政府側の答弁だ。

 財務省の佐川宣寿理財局長は24日の答弁で「新たにどんな地下埋設物が出てくるか分からない中、土地の売買契約で『隠れた瑕疵(かし)』(想定外のごみ)も含め免責する、という特約付きで適正に時価を反映した」と説明。「どう撤去したか確認する契約上の義務はない。学校建設の中でどういう状況になっているかは学校側の経営判断だ」と答弁した。

 野党は猛反発する。民進党の玉木雄一郎氏は「8億円ディスカウントしておいて、ダンプで(ごみを)運び出す作業をしているかは知らないし、調べる義務もない、という答えだ」と批判した。

売買契約、類例少なく

 売却前の賃貸契約も異例だ。23日の質疑で佐川局長は、売却を前提にした「買い受け特約付きの定期借地契約」と呼ばれる契約事例が、過去に2例しかなかったと答弁。財務省の事務処理要領に基づくもので、(1)その後の買い受けが確実(2)賃貸借契約をすることがやむを得ないと財務局長らが認める−−との要件を満たしたと説明している。

 さらに24日の質疑では、土地代金の分割払いを認めて当面の支払額を年額約1100万円とし、賃貸時と同額程度に抑えた今回の取引の前例がなかったことも分かった。

 佐川局長は「建設途中で新たな埋設物が出た事例はなく、(学園の)財務状況を勘案して分割払いにした。初めてだ」と認めた。

前例ない国直接算定

 23日の質疑では、大阪航空局が行った約8億円の減額算定に関し、国が直接算定した前例がなかったことも判明。佐川局長が「今のところ(同様の)事例は確認できなかった」と明かした。

 また、佐川局長は24日の答弁で、学園側の要望に沿ったと説明。「(新たにごみが確認された)昨年3月から今年4月の開校まで1年で、国が全部撤去すると入札が必要だ。先方は『待てない。撤去費用を控除した値段で買って、(ごみ)撤去も建設も(自分で)して一気にやりたい』という意向だった」と明らかにした。こうした手続きには「普通は不動産鑑定士ら第三者に頼む」(日本維新の会の足立康史氏)などの批判が出た。

200万円で実質取得?

 また、売却前の昨年4月に政府が学園側にごみの撤去費用として約1億3200万円を支払っていたことも野党は問題視している。政府の調査で判明したヒ素や鉛による土壌汚染と地下ごみに関し、学園側は土地取得前の借地契約の段階で独自に撤去や除染を行い、その費用を後で受け取った。民進の玉木氏は24日の質疑で「1億3400万円の土地代金との差額の約200万円で土地を手に入れている」と指摘した。これに対し、佐川局長は「性質が異なり、比較して計算するのは適当ではない」と反論した。

教育勅語を朗唱

 森友学園が運営する幼稚園は、戦前の教育勅語を唱和させる独特の教育内容で知られ、差別的発言の疑いがある言動には懸念が出ている。

 学園が運営する「塚本幼稚園」(大阪市淀川区)のホームページ(HP)には「毎朝の朝礼において、教育勅語の朗唱、国歌“君が代”を斉唱します」とある。右派論客を招いた教育講演会にも力を入れている。

 幼稚園の保護者への配布文書に「よこしまな考え方を持った在日韓国人や支那人」などと記載していたことや、HPで一時、元保護者とのトラブルに関連して「韓国・中国人等の元不良保護者」と表現していたことが分かり、府が1月、籠池泰典理事長から事情聴取。その後、HPの表現は削除された。

 府私立学校審議会の22日の会合では委員から文書配布の件で懸念が出たほか、23日の衆院予算委員会では民進党の今井雅人議員が、園から「私は差別をしておりません。ですが心中、韓国人と中国人は嫌いです」との内容の手紙を保護者が受け取ったことを紹介した。

 元園児の保護者からは訴訟も起きており、保護者らは元園児は幼稚園の職員から「犬臭い」と非難され、「犬を処分しなさい」と言われたと主張している。

 

国有地を格安売却の経緯は?「森友学園」問題Q&A(2017年2月24日配信『共同通信』)

 

 大阪府豊中市の国有地(8770平方メートル)が大阪市の学校法人「森友学園」に格安で売却され、疑問の声が出ています。

 Q 売却の経緯は。

 A 土地は、上空が大阪空港への飛行ルートに当たり、国土交通省大阪航空局が騒音対策のため保有していました。学園側が小学校用地として取得を希望し、財務省近畿財務局が交渉に当たりましたが、学園側はまとまった資金を用意できないとして、期間中に購入する前提で2015年5月、10年間の定期借地契約を締結し、校舎建設工事が始まりました。

 

 Q 「格安」とは。

 A その後、用地の地中からごみが見つかり、大阪航空局は撤去費用を8億円余りと見積もりました。不動産鑑定士の更地の評価額は9億5600万円でしたが、16年6月、近畿財務局は撤去費用などを差し引いた1億3400万円で売却しました。豊中市が10年に公園用地として購入した近くの同規模の国有地9492平方メートルは、14億2300万円でした。

 

 Q 国は情報を公開していたのでしょうか。

 A 今回と同じ国有財産の随意契約の運用について、財務省は12年11月の通達で、原則として金額や用途などを契約後1カ月以内にウェブサイトで公表すると定めています。森友学園のケースでは、学園の意向として今月まで売却額を非開示とし、豊中市議が今月、非開示決定の取り消しを求めて提訴した後、野党の追及が強まったため開示に転じました。

 

 Q ごみの撤去に8億円もかかるでしょうか。

 A 撤去工事の実態については疑問の声が多く、民進党などが国会で追及しています。国側は見積もり段階で想定した深さまで本当にごみがあったのか「確認していない」と答弁しました。

 

 Q 国会では教育機関としての学園の問題も取り上げられています。

 A 学園は4月の小学校開校を計画しており、安倍晋三首相の昭恵夫人が名誉校長を務めていましたが、辞任しました。「安倍晋三記念小学校」という触れ込みで寄付を募っていたこともあり、格安での売却の背景に政治的な圧力があったのではないかと尋ねる議員もいました。首相は自身や夫人、事務所が小学校の認可や国有地払い下げに関わっていれば「首相も国会議員も辞める」と明言しています。

 学園が運営する幼稚園が保護者に「よこしまな考え方を持った在日韓国人や支那人」などと記載した文書を配布していたことも分かり、小学校の教育内容を不安視する声も上がっています。

 

大新聞も同じ穴のムジナだ “安倍晋三小学校”疑惑の底なし(2017年2月24日配信『日刊ゲンダイ』)

 

 安倍首相夫人の昭恵氏が名誉校長を務める「瑞穂の國記念小學院」のスキャンダルは、日に日に怪しさが増している。大メディアが北朝鮮の金正男殺害事件、小池都知事と石原元都知事の“豊洲バトル”にかまけているせいで、実態を把握する国民は少ないかも知れないが、野党の連日の追及で次々とデタラメが明るみに出ている。

 評価額9.5億円の国有地が実質200万円で払い下げ。疑惑の根幹は、小學院を経営する学校法人「森友学園」(大阪市)への国有地の叩き売りだ。驚愕のバーゲンセールは、地下から生活ゴミや廃材などが見つかったため。財務省近畿財務局は昨年6月、埋蔵ゴミの撤去費として約8億円を差し引き、破格の安値で売り払ったが、民進党や共産党は「費用算出が高すぎる」と国会で追及。その結果、仰天事実が続々発覚している。

 撤去費用を算出したのは、土地を管理していた国交省大阪航空局。

 昨年3月、学園から埋蔵ゴミ発見の連絡を受け、近畿財務局と共に「現地を視察した」と言い張ったが、国会で答弁に立った航空局幹部は、確認したはずの場所もゴミが見つかった杭打ちの穴も「聞いていません」とシドロモドロ。見積もりが、撤去工事の請負業者の“言い値”だったことも判明した。

 20日夜には、森友学園の籠池泰典理事長がTBSラジオの番組に生出演。ゴミを撤去したのは建物の下だけで「グラウンドの下は触っていない」と言ってのけたから、さあ大変。共産党の宮本岳志衆院議員が国会で「(理事長の発言通り)工事が行われていないなら、撤去費用の算定はどれだけ安くなるのか」と問いただすと、国交省の官僚も「建物が建設されていない部分の金額は約3億6000万円」と答えざるを得なかった。

■大新聞の全てが格安払い下げの“前科”持ち

 奇怪な売却劇の当事者が自分の発言で墓穴を掘るとはマヌケだが、手つかずのグラウンドの分だけ見積もりより安く仕上がったのは確実である。政府は森友学園に撤去費の過剰な差し引き分を「払い戻せ」と請求するのがスジなのに、財務省理財局の幹部は国会で「今後どんな埋蔵物が出てくるか分からない中で適切に算定した」と強弁を繰り返した。

 国交省も財務省もかくも甘くて雑な見積もりで、国民の資産を超がつく安値で払い下げたのはなぜなのか。名誉校長に収まっている日本のファーストレディーに配慮したのか。面妖な国有地払い下げは掘れば掘るほど疑惑がザックザクなのに、メディアの追及は腰が引けている。読売など大新聞数紙はほとんど無視を決め込んでいる。

 「夫人が深く関与する今回の疑惑は安倍首相にとって命取りとなりかねません。全メディアが一斉にこの問題を徹底追及すれば世論は大きく変わります。それなのに野党の奮闘さえ伝えないのは大手新聞の東京本社の用地が軒並み、1960年代から70年代にかけて国有地の払い下げを受けたことと無関係ではないでしょう。驚きの安値は森友学園と同じ構図で、例えば読売新聞は相場の4分の1程度の価格で土地を手に入れました。こうして大手紙は自民党政権とズブズブの関係を築いてきたから、『いざ』と言う時に骨抜きになる。常に時の政権に飼いならされています」(メディア評論家の川崎泰資氏)

 大新聞がこの体たらくでは、安倍首相も楽チンだ。

 大新聞の現役記者2人も疑惑の当事者だ

 怪しいのは土地取引だけではない。森友学園が大阪府に小學院設立の認可を申請したのは、2014年10月。12月には大阪府私立学校審議会の定例会で、委員から「計画性がない」「借り入れが今持っているものよりオーバーしている」と財務状況や、「思想教育のような部分がある」との懸念の声があがり、認可は「継続審議」で一度は保留となった。

 ところが、たった1カ月後に小學院のためだけに臨時会が開かれ、条件付きながら「認可適当」と答申。このスピード認可も不可解だが、審議会の委員のひとりは、読売の現役記者だ。国有地売却の権限を有する「国有財産近畿地方審議会」のメンバーにも、読売の記者が選ばれている。

「要するに、読売はこの問題の当事者であり、どのメディアよりも事情に精通しているはずなのに、紙面では森友学園の問題はベタ記事扱い。まるで追及する気がないのは、恐らく政府への身内意識が働いているから。それにしても、現役社員が2人も政府委員を務めているとは。常日頃から政府とベッタリつるんでいる証拠です」(政治学者・五十嵐仁氏)

籠池理事長は安倍の支持基盤である日本一の保守団体「日本会議」の大阪幹部だ。スピード認可した大阪府の松井知事や籠池理事長に防衛大臣感謝状を贈った稲田防衛相、払い下げ当時の下村文科相や麻生財務相など関係者は全員、日本会議のシンパである。

「極右思想で共鳴し合う仲間内で、国有財産を私物化し、便宜を図ったのではないのか。この構図こそ、今回の疑惑に横たわる巨大な背景なのに、なぜかメディアは日本会議に触れようとしない。アリバイ報道のNHKにいたっては、名誉校長を務める昭恵夫人の『あ』の字さえ伝えません。“木を見て森を見ず”の報道ばかりでは、問題の本質が国民に伝わりっこありませんよ」(川崎泰資氏=前出)

内閣総辞職に発展しかねない大スキャンダルの矮小化こそが、メディアの真の狙いなら、なおさらタチが悪い。

■「総理を辞めてから、名前をつけて」

 それにしても不可解なのは森友学園に対する昭恵夫人の異常なまでのコミットの仕方だ。テレビ東京がスクープした、2015年9月の名誉校長就任あいさつの映像を見ると、単なる「名義貸し」レベルではないことがよく分かる。

 昭恵夫人は森友学園が経営し、園児に教育勅語を暗唱させる塚本幼稚園を「やっていることが素晴らしい」「こちらの教育方針は主人(安倍首相)も素晴らしいと思っている」と大絶賛。一方で「せっかくここ(塚本幼稚園)で芯ができたものが(公立の)学校に入ると、揺らいでしまう」と嘆き、「この瑞穂の國記念小學院で何か私も役に立てればいい」として、自ら積極的に名誉校長に就いたというのだ。

 また、森友学園は当初「安倍晋三記念小学校」の名で寄付を募り、安倍は国会で「(命名の)打診を断った」と答弁した。その真意を昭恵夫人はあいさつで、「総理大臣は批判にさらされることもある。もし名前を付けていただけるのなら、総理大臣を辞めてからにしていただきたい」と語っていた。

 森友学園の籠池理事長は安倍を「偉人」と礼賛しながら、幼稚園HPの「園長の部屋」というサイトでは嫌中韓のヘイト発言を連発。塚本幼稚園は保護者にヘイト文書を配っただけでなく、決められた時間以外は園児をトイレに行かせないなど幼児虐待疑惑も浮上している。

 「これだけ人種差別や虐待が指摘される団体の考え方に、首相夫妻が共鳴し、全面バックアップしている時点で本来なら辞任モノです。それでも首相に危機感が感じられないのは、メディアの追及が甘いから。というより一部のメディアは安倍首相や日本会議、森友学園の思想に共感し、戦前回帰の世の中を目指しているのではないか。今回の疑惑を徹底追及しないメディアはそう疑われても仕方ありません」(五十嵐仁氏=前出)

 首相と怪しい関係にあるのはアナクロ学園に限らない。大メディアも同じ穴のムジナだ。

 

反対続出だったのに 「安倍晋三小学校」スピード認可の謎(2017年2月24日配信『日刊ゲンダイ』)

 

 評価額9億5600万円の国有地を実質200万円で手に入れ、日本初の神道小学校「瑞穂の國記念小學院」を建設中の森友学園(大阪市)。土地取引の不可解な経緯に加え、この学園が運営する塚本幼稚園では、ヘイト文書を保護者に渡したり、幼児虐待の疑いまで浮上するなど、教育施設としてふさわしいのかという問題もある。小学校経営の認可が下りたこと自体が疑問だ。

■私学審議会の議事録を入手

 学園が、当初は校名を「安倍晋三記念小学校」にするはずだった「瑞穂の國記念小學院」の認可を大阪府に申請したのが2014年10月。この年の12月に開かれた大阪府私立学校審議会の定例会で、認可の可否が議論された。日刊ゲンダイが入手した私学審議会の議事録(14年12月18日)を見ると、委員からも森友学園に対して疑問の声が相次いでいたことが分かる。

 まず、審議会は〈(塚本幼稚園は)非常に問題がたくさんございまして、運営の内容にその保護者が非常に疑問をお持ちになっておられて、どうもおかしいんじゃないかということをおっしゃっておられたり、我々は知っておる〉と、いわくつきの学園であることを認識していた。

 新設の小学校についても、道徳が50時間もあり、それとは別に「特別活動」が1、2年生では150時間あるカリキュラムが問題視された。

 〈先日も安倍首相の奥さまをお呼びされたり、そういった結構独特と言いますか、教育勅語を子どもたちが覚えてそれを唱えされたりとか……〉〈小さな子供たちで判断(力)がまだない時に非常に色濃い教育をされているかなという気がして違和感が……〉と、教育内容に対する懸念の声が上がったのだ。

 財務状況や計画見通しの甘さも指摘された。

 〈借り入れがね、今持っているもの(預貯金等)よりもオーバーしてるわけですね〉

 〈初年度から黒字の計算と言うのはすごいなぁと。普通はなかなかないんでね〉

 〈2号基本金(将来の設備投資に備えた財源)ゼロやったら計画性はないわな。(中略)バランスシートだけを見たら、思いつきで始めたか、だいたいおかしいんですよこれ。子ども読まれへんような難しい漢字でね〉とまぁケチョンケチョンなのだ。あまりに問題が多いため、当然ながら認可は保留。ところが、約1カ月後に臨時会が開かれ、一転して「認可適当」と答申したのである。

■認可のプロセスは「異例の連続」

 その臨時会(15年1月27日)の議事録でも、委員からは認可に反対する声が上がっている。

 〈ありえないような内容ばかり〉

〈(認可すれば)提出された資料が妥当であると認めることになる〉

 〈何かあった場合には何故認可したのか、という話になってくる〉――。

 それなのに、なぜ認可を与えたのか。

 「認可のプロセスも国有地取得の経緯も異例の連続で、何か大きな力が働いたのではないかと考えざるを得ない。国民が納得できる説明が必要です」(この問題を追及している民進党の福島伸享議員)

 気になるのは、臨時会で「私学審でOKが出れば、国有地の借り上げ申請の許可が下りるのか」と委員から聞かれた事務局側が、こう答えていることだ。

 〈条件付きで認可しかるべきとなりますと、国は契約に走ると、そういう手はずになっています〉

 最初から認可ありきで話が進んでいたことをうかがわせる。シナリオを描いたのは誰なのか。

 

国有地払下げ問題 財務省・国交省は森友学園とグルなのか(2017年2月24日配信『日刊ゲンダイ』)

 

 いよいよメチャクチャな展開になってきた。大阪・豊中市の私立「瑞穂の國記念小學院」(寄付金を募った際の名称・安倍晋三記念小学校)の国有地の激安払い下げ問題で、また新たな仰天事実が発覚だ。

 学校法人「森友学園」が校舎建設中に地下で見つかったと主張し、土地を管理する国交省大阪航空局が撤去費用で約8.2億円を見積もった「埋設物」について、現地確認したとされる財務、国交の両省が、揃って“見ぬふり”をしていた疑いが浮上したのだ。

 民進党や共産党などの野党が指摘している通り、この問題の疑惑のひとつは、大阪航空局が算出した埋設物のバカ高い「撤去費用」が適正だったのか――だ。2016年3月11日、森友学園から埋設物発見の連絡を受けた財務省近畿財務局と大阪航空局は3日後の14日、現地を視察したといい、その後、撤去費用の積算根拠につながった。

 ところが、民進党の玉木雄一郎議員が22日の衆院予算委第八分科会で、この現地確認について「近畿財務局と大阪航空局が(16年3月14日に)現地確認した場所はどこなのか」「どの(杭打ち)穴から埋設物は出てきたのか」と質問すると、答弁に立った国交省の佐藤善信航空局長はシドロモドロになり、「私どもも聞いていません」などと答えたのだ。

 公共事業の工事現場では、日時や場所を書き込んだ小黒板を設置し、工事前後の写真を細かく撮影して記録しておくのが常識だ。公共性の高い学校の敷地から大量の埋設物が見つかったのであれば、発見場所や状況の詳細を記録・保存しておくのは当然だろう。「分からない」で済むはずがない。それでいて約8.2億円の金額について、佐藤航空局長は「想定しておくべき撤去費用を積算した」とか言っているからフザケている。

 要するに財務、国交の両省は森友学園の「言いなり」だったワケで、もはや職務怠慢を通り越して“グル”だったと言っていい。

 ■豊洲問題と同じになってきた

 公共事業が専門の五十嵐敬喜・法大名誉教授はこう言う。

「豊中市の国有地売買の問題は、東京・豊洲市場の問題と同じです。つまり、土地の適正価格がよく分からない上、きちんとした入札が行われずに、不透明な金額で売買されたこと。豊洲も豊中も、地下に汚染物質やごみが埋まっていながら、片方は売買金額が不自然に高く、もう片方は安かった。豊洲問題で都議会が百条委員会設置を決めたが、豊中のケースも国会で厳しく追及するべきです」

 日刊ゲンダイは地下埋設物の撤去を担当したとみられる業者を直撃したが、応対した人は「分かる人間がいない」と言うばかり。やはり森友学園の籠池泰典理事長はもちろん、当時、売買に関わった財務、国交の両省担当者を参考人招致するしかない。

 

反対続出だったのに 「安倍晋三小学校」スピード認可の謎(2017年2月24日配信『日刊ゲンダイ』)

 

 評価額9億5600万円の国有地を実質200万円で手に入れ、日本初の神道小学校「瑞穂の國記念小學院」を建設中の森友学園(大阪市)。土地取引の不可解な経緯に加え、この学園が運営する塚本幼稚園では、ヘイト文書を保護者に渡したり、幼児虐待の疑いまで浮上するなど、教育施設としてふさわしいのかという問題もある。小学校経営の認可が下りたこと自体が疑問だ。

■私学審議会の議事録を入手

 学園が、当初は校名を「安倍晋三記念小学校」にするはずだった「瑞穂の國記念小學院」の認可を大阪府に申請したのが2014年10月。この年の12月に開かれた大阪府私立学校審議会の定例会で、認可の可否が議論された。日刊ゲンダイが入手した私学審議会の議事録(14年12月18日)を見ると、委員からも森友学園に対して疑問の声が相次いでいたことが分かる。

 まず、審議会は〈(塚本幼稚園は)非常に問題がたくさんございまして、運営の内容にその保護者が非常に疑問をお持ちになっておられて、どうもおかしいんじゃないかということをおっしゃっておられたり、我々は知っておる〉と、いわくつきの学園であることを認識していた。

 新設の小学校についても、道徳が50時間もあり、それとは別に「特別活動」が1、2年生では150時間あるカリキュラムが問題視された。

〈先日も安倍首相の奥さまをお呼びされたり、そういった結構独特と言いますか、教育勅語を子どもたちが覚えてそれを唱えされたりとか……〉〈小さな子供たちで判断(力)がまだない時に非常に色濃い教育をされているかなという気がして違和感が……〉と、教育内容に対する懸念の声が上がったのだ。

 財務状況や計画見通しの甘さも指摘された。

 〈借り入れがね、今持っているもの(預貯金等)よりもオーバーしてるわけですね〉

 〈初年度から黒字の計算と言うのはすごいなぁと。普通はなかなかないんでね〉

 〈2号基本金(将来の設備投資に備えた財源)ゼロやったら計画性はないわな。(中略)バランスシートだけを見たら、思いつきで始めたか、だいたいおかしいんですよこれ。子ども読まれへんような難しい漢字でね〉とまぁケチョンケチョンなのだ。あまりに問題が多いため、当然ながら認可は保留。ところが、約1カ月後に臨時会が開かれ、一転して「認可適当」と答申したのである。

■認可のプロセスは「異例の連続」

 その臨時会(15年1月27日)の議事録でも、委員からは認可に反対する声が上がっている。

 〈ありえないような内容ばかり〉

 〈(認可すれば)提出された資料が妥当であると認めることになる〉

 〈何かあった場合には何故認可したのか、という話になってくる〉――。

 それなのに、なぜ認可を与えたのか。

 「認可のプロセスも国有地取得の経緯も異例の連続で、何か大きな力が働いたのではないかと考えざるを得ない。国民が納得できる説明が必要です」(この問題を追及している民進党の福島伸享議員)

  気になるのは、臨時会で「私学審でOKが出れば、国有地の借り上げ申請の許可が下りるのか」と委員から聞かれた事務局側が、こう答えていることだ。

 〈条件付きで認可しかるべきとなりますと、国は契約に走ると、そういう手はずになっています〉

 最初から認可ありきで話が進んでいたことをうかがわせる。シナリオを描いたのは誰なのか。

 

1学年80人「瑞穂の國記念小學院」に生徒は何人集まるのか(2017年2月23日配信『日刊ゲンダイ』)

 

 9億5600万円の国有地を実質200万円でゲットした大阪府の森友学園。21日民進党が近畿財務局や大阪航空局に対しヒアリングを行ったが、疑惑は深まる一方だ。地下に埋まっていたゴミの撤去費用として8億2000万円が値引きされていたわけだが、近畿財務局や大阪航空局は積算根拠も示せず、撤去工事が本当に行われたのか確認もしていなかったというから、デタラメもいいところだ。

 森友学園が運営する小学校「瑞穂の國記念小學院」は4月に開校される予定。実際に認可が下りるかどうかは、3月末までに判断されるという。

 しかし、現地では「本当に認可が下りるのか」「生徒が集まっていないのではないか」という声が飛んでいる。校舎が建設されている土地の購入経過が不透明なだけでなく、教育内容に疑問の声が上がっているからだ。何しろ森友学園が運営する幼稚園は、幼児に戦前の「教育勅語」を暗唱させている。さすがに、大阪府私立学校審議会では、委員から「教育内容は何なのか」「どちらかというと思想教育のような部分がある」「少し違和感は覚える」といった懸念が出ている。

 教育内容がクローズアップされたことで、保護者が入学に二の足を踏む可能性があるのではないか、とみられているのだ。

 「初年は1、2年の2学年を募集しています。定員はそれぞれ80人ですが、まだ半数にも達していないのではないか、という話が流れています」(地元関係者)

 もし、定員の半分しか生徒が集まらなかったら、学校の経営が行き詰まる恐れもある。一般的に、80人の定員なら60人が採算ラインだという。

 現在、生徒はどのくらい集まっているのか。森友学園は「答えられません」。認可する大阪府は「府が公開する立場にありません。申請の時にどれぐらい集まりそうかは聞きますが、実際の募集状況を逐一確認するわけではありません」(私学課)という回答だった。

 私学には多額の税金が投入される。現在どの程度、生徒が集まっているのか、公開すべきではないか。

 

国有地売却 3.6億円分の工事せず(2017年2月23日配信『しんぶん赤旗』)

 

8億円値引きで森友学園 宮本岳氏追及

衆院財金委

 安倍晋三首相夫人の昭恵氏が名誉校長を務める、大阪市内の学校法人「森友学園」(籠池泰典理事長)が新設する私立小学校用地として豊中市内の国有地が格安で払い下げられた問題で、土地に埋設されたゴミの処理工事費として値引きされた8億1900万円のうち約3億6000万円は、実際に工事が行われていないものであることが、22日の衆院財務金融委員会で明らかになりました。日本共産党の宮本岳志議員が追及しました。

 財務省近畿財務局はこの土地の売却で、更地価格9億5600万円から埋設ゴミ処理工事費として8億1900万円などを差し引き、価格を1億3400万円としました。工事費は土地を管理していた国土交通省大阪航空局が算定しました。

 森友学園の籠池理事長は20日放送の民放ラジオ番組で、建物の下しか埋設物の処理はしておらず「運動場の下は触っていない」とのべました。

 宮本氏が「この通り工事が行われていないなら、地下埋設物撤去・処分費用の算定はどれだけ安くなるのか」とただし、国交省の平垣内久隆航空局次長は「建物が建設されていない部分の金額は約3億6000万円」と答えました。

 宮本氏が「3億6000万円、見積もりより安くあがったことは確実だ」とただしたのに、財務省の佐川宣寿理財局長は「今後どんな埋設物が出てくるか分からない中で適切に算定した」と強弁しました。

 宮本氏は「今回の売却劇ほど不可解なものはない。徹底して追及していく」とのべました。

 

森友学園と安倍首相の深い因縁 名誉校長・昭恵夫人が認めた「晋三記念小学校」(2017年2月22日配信『J−CAST』)

 

評価額が9億5600万円の国有地が1億3400万円で大阪府の学校法人「森友学園」に売却されていた問題で、この学校法人と安倍晋三首相夫妻との親密な関係に改めて注目が集まっている。昭恵夫人は、この学校法人が2017年4月に開校を目指す小学校の「名誉校長」の肩書きを持ち、「安倍晋三記念小学校」と印刷された振込用紙で寄付集めが行われていた。

 安倍首相は、小学校に自らの名前を冠することは「お断りをしている」と国会で答弁していた。だが、昭恵夫人は過去の講演で、冠は「総理大臣を辞めてから」ならば構わないともとれる発言をしていたことがテレビ東京の報道で明らかになった。安倍首相は小学校の認可や国有地売却との関連も否定しており、昭恵夫人も含めて関与が明らかになった場合は「総理大臣も国会議員も辞める」と明言している。昭恵夫人の講演での発言をきっかけに、認可や土地の売却問題との関連についても、答弁の信ぴょう性が問われることになった。

 森友学園は傘下の学校法人を通じて幼稚園を経営しており、ウェブサイトの「教育内容」の最初には

「毎朝の朝礼において、教育勅語の朗唱、国歌『君が代』を斉唱します」

とある。同学園が17年4月の開校を目指す「瑞穂の国記念小学院」は、「日本で初めてで唯一の神道の小学校」をうたっている。すでに学校説明会や入試も終わっているが、まだ文科省からの認可がおりていない。この学校と安倍首相夫妻とのつながりが注目されているわけだ。

 2月17日の衆院予算委員会では、民進党の福島伸享議員が「安倍晋三記念小学校」の名前を使って寄付金集めが行われていた事実を、振り込み用紙のパネルを手に指摘した。安倍首相は、

 「そもそも、今、話をうかがって、これ初めて知ったんですが...」

とした上で、

 「いわば私の考え方に非常に共鳴している方、その方から小学校を作りたいので『安倍晋三小学校』にしたいという話があったが、私はそこでお断りをしているんですね」

「私が死んだ後であれば話は別だけれども、何かそういう冠をしたいというのであれば、私の郷土の大先輩である、例えば吉田松陰先生とかの名前を付けられたらどうですか、という(話をした)」

と、名前を冠する打診はあったが断ったと説明していた。

 そして、森友学園への国有地売却や小学校の認可に安倍夫妻が関与していたことが明らかになれば、「総理大臣も国会議員も辞める」と断言した。

 

売却国有地の小学校「認可ことも」(2017年2月22日配信『NHKニュース』)

 

大阪・豊中市の国有地を鑑定価格の14%で買い取った学校法人が、この土地に小学校の開校を予定していることをめぐって、大阪府の審議会が開かれました。審議会の会長は、学校の経営が成り立つかどうか疑問視する意見が相次いだとしたうえで、来月予定されている学校としての認可を出さないこともありうるという考えを示しました。

大阪・豊中市のおよそ8800平方メートルの国有地は、去年、大阪・淀川区の学校法人「森友学園」に売却され、土地の鑑定価格は9億5600万円でしたが、国が近くに埋まっていたごみの撤去費用として8億円余りを差し引いた結果、売却代金は1億3400万円でした。

 「森友学園」はこの土地にことし4月の開校を目指して小学校の建設工事を進めていて、22日、小学校を認可すべきかどうかを大阪府に答申する、専門家で作る審議会が大阪市で臨時に開かれました。

 会合は非公開でしたが、会見した審議会の梶田叡一会長などによりますと、入学する児童数が予定を大幅に下回っていることから、学校の経営が成り立つかどうかを疑問視する意見などが相次いだということです。

 22日に示された疑問点については、今後、大阪府の担当者が確認を進めて審議会に報告するということで、梶田会長は、疑問が解消されない場合は来月予定されている審議会で、学校としての認可を出さないこともありうるという考えを示しました。

松井知事 認可前の開校準備「よくあること」

大阪府の松井知事は記者会見で、臨時で審議会を開いた理由について、「すでに『条件つきで認可適当』という判断になっているので、子どもたちが安定的に継続して教育を受けられるように何度も確かめるのは当然の話だ。今回、入学予定者の状況などが明確になったということで、臨時会を開催することになったと聞いている」と述べました。

 また、松井知事は、森友学園が認可を受ける前から児童の募集など開校に向けた準備を進めていることについて、「森友学園に限らず、今までも『条件つき認可適当』の例はある。タマゴとニワトリで、児童の親からすると開校は大丈夫なのか心配だし、学校側は認可適当という判断をもらっていると説明しないと児童が集まらないので、こういう形はよくあることだ」と述べました。

官房長官「法令等に基づき適正に処分」

菅官房長官は午後の記者会見で、「安倍総理大臣は国会で、安倍総理大臣も昭恵夫人も学校の設置認可や国有地の払い下げに一切関与していないと明言している。撤去費用等の算定を踏まえ、不動産鑑定評価に基づいて売却額を設定したものであり、法令等に基づき適正に処分を行っている」と述べました。

また、菅官房長官は、記者団が「地下埋蔵物の容量を確認する手続きに、かしはなかったのか」と質問したのに対し、「近畿財務局の依頼を受けた大阪航空局が、地下埋設物の状況を踏まえて、工事積算基準等に基づき適正に算出したものだと報告を受けている」と述べました。

 

森友学園;小学校認可持ち越し 審議会「財務に不安」(2017年2月22日配信『毎日新聞』)

 

 評価額より大幅に安く取得した大阪府豊中市の国有地で学校法人「森友学園」(大阪市淀川区)が新設する小学校の認可を巡り、府の私立学校審議会は22日の臨時会で、最終判断を持ち越した。審議会は小学校設置を条件付きで認可答申していたが、会合では入学希望者が定員の半数程度であることなどが報告され、委員からは「法人の財務状況に不安がある」などの指摘が相次いだ。3月の定例会で改めて判断する。

 臨時会は非公開で、終了後に記者会見した梶田叡一会長(奈良学園大学長)によると、府側が財務状況や入学希望者数などを報告した。学園側は「瑞穂の国記念小学院」の校名で4月開校を予定。各学年定員は80人で、開校時に1年生45人、2年生5人が入学・転入する見通しだったが、売却問題を巡る報道後、1年生5人程度が辞退したという。

 財務面では想定以上の寄付金が集まっているが、「財務計画が寄付金に頼りすぎ」「将来にわたって経営が続けられるのか」などと疑問が出された。学園が経営する幼稚園で、保護者向けにヘイト表現と受け取れる文書を配布したことへの懸念も聞かれた。

 梶田会長によると、3月上旬に府職員が現地で財務状況や教員態勢などを確認。審議会が問題ないと最終的に判断すれば、府が認可手続きに入る。2015年1月に認可適当と答申後、改善が図られてきた経緯から「よほどのことがない限り認可される」との見通しを示した。ただ「条件に反する事実があれば認可しないことも当然あり得る」と述べた。

 松井一郎知事は同日の記者会見で「財務状況などの条件はクリアする方向でまとまってきたと聞いている」と話した。

 審議は異例の経過をたどり、初めて審議会で議論されたのは14年12月。毎日新聞が入手した議事録によると、校舎建設などのために積み立てる基金が13年度は「ゼロ」と報告。委員からは「計画性がない」「借り入れが今持っているものよりオーバーしている」など財務状況への懸念が多く上がった。教育内容にも「思想教育のような部分がある」などと指摘があった。

 この会合では継続審議となり、15年1月に臨時会を開き、寄付金の受け入れ状況や入学志願者の出願状況などを今後報告するとの条件付きで「認可適当」と答申していた。

 開校予定の国有地(約8770平方メートル)は昨年6月、不動産鑑定士の鑑定額9億5600万円からごみの撤去費約8億円を差し引き、学園側に1億3400万円で売却された。松井氏は近畿財務局がごみの存在を十分確認せずに売却額を決めたとして「職務怠慢。早急に掘削して確認すべきだ」と述べた。

  ◆森友学園の小学校設置認可を巡る手続き

2014年10月 学校法人「森友学園」が小学校開設の認可を大阪府に申請

   12月 府私立学校審議会定例会で学園の小学校開設を議論。財務状況など問題点の指摘が相次ぎ、継続審議に

 15年1月 私学審議会臨時会を開催し、財務状況などを追加報告させる条件を付けて「認可適当」を答申

   2月 国有財産近畿地方審議会が土地貸し付けと売却に「処理適当」と答申

   3月〜16年12月 私学審議会定例会が計6回開かれ、学園 について報告・議論

 17年2月 私学審議会の臨時会開催。認可に向けた最終判断を3月に持ち越し

   3月 私学審議会定例会(予定)

   4月 小学校が開校(予定)

 

国有地購入は「第六感」 森友学園理事長がラジオで大放言(2017年2月22日配信『日刊ゲンダイ』)

 

 大阪府豊中市の国有地が、日本会議の幹部が理事長を務める学校法人「森友学園」にタダ同然で払い下げられていた問題で、渦中の籠池泰典理事長が20日、TBSラジオ「荻上チキ・Session−22」に電話で生出演。約1時間にわたって、仰天発言を繰り広げた。
 まず、一連の報道について、土地の売却額について情報公開請求をした豊中市の木村真市議を「無所属のようですけど、新左翼」と決めつけ、木村市議が自分の名前を売るために、問題を最初に報じた朝日新聞など「保守でないマスコミ」と結託して、「日本の国を高めていこうとする学校の建設を潰そうとしている」と主張。南京大虐殺や慰安婦問題まで持ち出して、新左翼と朝日新聞の悪口に多くの時間を費やした。

 肝心の土地取引の経緯については、借地の段階から価格についての見積もりも何もなく、何と「第六感」で購入を決めたと説明した。隣の国有地が14億円超で売却されているのに、見積もりも予算もなく取得に手を挙げるなんて、なかなかブッ飛んでいる。

「その土地がいくらするのかということは、そこまで考えていなかった」

「金額的なものから言いますと、やっぱり高いと思いました」

■「私は悪いこと何もしておりません」

 土地購入は財政的に無理だと諦め、10年間の定期借地契約で小学校の建設を始めたのだが、工事を進めていくと、埋蔵物が見つかった。

「(土地を掘って)悪いもんが出てきたから、『ちょっと安くしてくれるんではないか』と」

「第六感が働きましてね。これはちょっとなんや、賃借料にしたらかなり安くなると」

 「これも自分の第六感ですが、それやったら、国の方が指示してくれる金額で購入さしていただきましょうかという感じを持ちましたですね」─―。

 理事長の“第六感”通り、国有地の鑑定評価9億5600万円からゴミの撤去費として約8億円が控除され、格安で手に入ったわけだ。だが、実際のゴミ処理にいくらかかったのか問われると、「全然、まだ存じ上げておりません」。しかも、ゴミを撤去したのは建物部分だけだという。グラウンド部分は「そのままでいいんです」「触ってないんだから。そこにお金がかかることはありません」と断言。8億円もの控除は必要なかったと、自ら認めるような発言である。

 国会で説明する可能性については、「そんなん、呼ばれるような立場ではありません。私は悪いこと何もしておりませんので。民主主義の国ですよ。独裁国家ではないんです」と被害者意識丸出しだったが、民主主義の国だからこそ、国有財産の売却経緯には透明性が求められる。疑惑を払拭したいなら、ラジオで好き勝手言ってないで、公の場で説明すべきだろう。

 

渦中の「森友学園」 大阪の系列幼稚園で幼児虐待の疑い(2017年2月22日配信『日刊ゲンダイ』)

 

 “安倍晋三記念小学校”用地の国有地格安払い下げが問題になっている森友学園が経営する塚本幼稚園で、幼児虐待ともいえる行為が横行していた疑いが発覚した。民進党の玉木雄一郎議員が22日の衆院予算委分科会で明らかにした。

 玉木議員が同幼稚園に子供を通わせていた父兄らに話を聞いたところ、園児が大便を漏らした際に、大便を下着で包み、幼稚園バッグに入れて持ち帰らせていたという。父兄のひとりは「バッグには食器なども入っているので、とても不衛生だった」と話したという。

 玉木議員はこうした行為は「幼児虐待」にもつながると指摘し、松野文科相に調査するよう要求した。松野大臣は「幼稚園を所管する大阪府に状況報告を求める」と答弁した。

 愛国教育を標榜する森友学園の教育の実態がこれなのだ。

 

森友学園への国有地売却 8億円値引き 口実崩壊(2017年2月22日配信『しんぶん赤旗』)

 

埋設ゴミ処理 未確認

宮本岳志議員 理事長の参考人招致要求

衆院委

  写真

(写真)質問する宮本岳志議員=21日、衆院財金委

 財務省近畿財務局が大阪市内の学校法人「森友学園」(籠池泰典(かごいけやすのり)理事長)に私立小学校用地として豊中市内の国有地8770平方メートルを8億1900万円も値引きし1億3400万円で売却した問題で、国が値引きの理由としていた埋設ゴミの処理工事を確認しておらず、法的に義務づけられた工事でもないことが、21日の衆院財務金融委員会で明らかになりました。日本共産党の宮本岳志議員が追及しました。

 この土地を売った時点での更地の価格は9億5600万円。売却にあたり、敷地の大半にあたる5190平方メートルにゴミが埋まっているとして、国はゴミの処理費用8億1900万円を値引きしました。

 8億1900万円の費用がかかるゴミ処理工事が実際に行われたかただした宮本氏にたいし、財務省の佐川宣寿理財局長は「確認していない」と答えました。

 さらに小学校用地とするため、このゴミ処理工事を必要とする法的根拠があるのかについて、文部科学省の山下修文教施設企画部長は「義務付けられていない」と答えました。

 宮本氏は、「国民の財産である国有地を、ただただ値引きして売ってやったということだ」と批判し、事実の解明のため籠池理事長を参考人として招致することを要求。御法川信英委員長は「理事会で協議する」と答えました。

森友学園への国有地売却問題

 幼稚園児に「教育勅語」を唱和させることで知られる大阪市の学校法人「森友学園」(籠池泰典理事長)が大阪府豊中市に私立小学校の開設を計画。名誉校長に安倍晋三首相夫人の昭恵氏が就任し、当初は「安倍晋三記念小学院」と命名して寄付集めをはじめました。

 予定地として財務省近畿財務局から国有地(8770平方メートル)を10年分割払いの契約で2016年6月に購入。その際、国は土地の価格を9億5600万円と鑑定。ところが国は土地に埋まったゴミの撤去費用8億1900万円などを控除して、1億3400万円で売却しました。

 土地の売却を認めた国有財産近畿地方審議会や私立小学校の設立を「認可適当」とした大阪府私学審議会でも、売却や認可について異論が続出していました。

ゴミ処理 一部だけ

本紙取材に学園側認める

 森友学園の籠池泰典理事長と代理人の酒井康生弁護士は本紙の取材に、学校用地に埋まるゴミは、一部しか処理していないことを明らかにしました。

 籠池氏らによると、4月開校に間に合わせるため、ボーリング工事で出たゴミなど一部だけ処理する方法を選択。敷地全体のゴミは撤去していませんでした。処理費用については「工事途中であり、正確な金額はわからない」としています。

 

写真

4月開校にむけて建設がすすむ瑞穂の國記念小学院=16日、大阪府豊中市

 

大阪の「森友学園」国有地問題 民進議員団が聴き取り(2017年2月22日配信『東京新聞』)

 

写真

学校法人「森友学園」が取得した土地(左上)の視察に訪れた、民進党の国会議員ら=21日、大阪府豊中市で

 

大阪府豊中市の国有地が、小学校開設を計画する学校法人「森友(もりとも)学園」(大阪市淀川区)に評価額の14%の値段で売却された問題で、民進党の国会議員による「追及チーム」が21日、現地を視察し、売却に関わった近畿財務局と大阪航空局の担当者から大阪市内で聴き取りをした。記者会見した民進党の玉木雄一郎幹事長代理は「基本的な質問にも十分な答えがなかった」と批判した。

 聴き取りでは、評価額9億5600万円から差し引かれた、生活ごみや廃材などの撤去費用8億円余りの積算根拠について、議員から質問が集中。担当者から、ごみを確認した際の現場写真が新たに提出されたが、法人側の申告通りに深い地点からごみが出たことを裏付ける説明はなかった。議員からは「どんなごみがどこから出たものかも分からない。積算の根拠は極めて乏しい」など批判の声が上がった。

 午前の視察では、玉木氏や辻元清美氏ら5人が約1時間、現地を調査。福島伸享氏は「8億円分の作業はダンプカー4000台が行き交うような状況だ。地元の方にも聞き、それに相当する工事はやっていないと感じた」と話した。

 

理の眼;差別者に教育の資格なし=青木理(2017年2月21日配信『毎日新聞』−「大阪夕刊」)

 

 大阪市の学校法人・森友学園をめぐるいくつかの問題、本紙など一部メディアは追及していますが、もっと大きく報じられるべき社会的な病が横たわっていると僕は感じます。本紙読者は既にご存じの方も多いでしょうから、おさらいはごく簡単に。まず、大阪府豊中市内の国有地が小学校用地として同学園に“格安”で売却されたのではないか、という疑惑です。

 これまでの本紙記事などによると、当該の土地は9億円超の価値があると査定されましたが、地下にゴミなどの埋設物があったため、撤去費用などとして約8億円も割り引いて売却されました。

 しかも今春に開校予定の同小学校は、安倍晋三首相の妻昭恵さんが「名誉校長」に就き、一時は「安倍晋三記念小学校」という校名が検討されていたとか。安倍首相は国会で「私や妻が(売却に)関係したということになれば、首相も国会議員も辞める」と関与を強く否定しましたが、同学園のトップが熱烈な安倍政権支持者なのは間違いないでしょう。

 そしてもう一つ、学園が運営する大阪市淀川区の幼稚園をめぐる問題も発覚しました。園が保護者向けに「よこしまな考え方を持った在日韓国人や支那人」「日本人の顔をしてわが国に存在することが問題」などと記した文書を配布していた、というのです。

 露骨な差別、偏見、明らかなヘイト文書です。この幼稚園、戦前の「教育勅語」を園児に暗唱させることなどで知られていましたが、歴史修正主義的な復古教育に他民族への差別、偏見がセットになったなら、そのような学校法人に教育を担う資格があるのか。

 国有地売却に首相や政権が関わったのかは現時点で不明です。ただ、学園のトップが政権を熱心に支持し、首相側も一定の“協力”をしていたのは事実。本来なら、疑惑への関与を否定するにとどまらず、学園の振る舞いが容認できないというメッセージを発することこそ為政者の役割でしょう。

 なのに首相は国会で「学園の教育への熱意は素晴らしいと聞いている」とも述べました。これでは差別やヘイト行為にお墨付きを与えかねない。国有地疑惑も重大ですが、こちらも相当に深刻だと僕は思います。(ジャーナリスト)

 

HPでヘイト連発 塚本幼稚園長の“反中嫌韓”トンデモ言行録(2017年2月21日配信『日刊ゲンダイ』)

 

 園長は筋金入りの差別主義者なのか。9.5億円相当の国有地を実質タダで払い下げを受けた大阪府の「森友学園」。経営する教育勅語暗唱の「塚本幼稚園」が保護者に「よこしまな考え方を持った在日韓国人・支那人」との文書を配布して問題となったが、この学園ではヘイトスピーチが日常茶飯事のようだ。

 幼稚園のHPに設置された「園長の部屋」なるサイトは、学校法人理事長を兼ねる籠池泰典園長の“トンデモ言行”のオンパレード。

〈名古屋の塾から小学校を興した人も市内の高校を買収した人も在日ですから、この学校では勉強はできても国家観はズタズタになり反日の人間になり得る〉(2014年2学期)

〈(沖縄)現知事は親中華人民共和国派、娘婿も支那の人である。もともと中共に従いたいと心から思っているので、中共の手先かもしれない〉(15年2学期)

こんな調子で反中・嫌韓感情ムキ出し、根拠不明なヘイト文書をネット上に拡散している。

安倍首相を〈偉人〉とあがめながらも、〈TPP条約締結などもってのほか〉(11年2学期)、〈ロシア(中略)は、国際信義にもとる非情なことを臆面もなく行う〉(12年7月23日)とTPP推進・対ロ接近の安倍路線とは真逆の主張を展開するのは意味不明だが、園長の「泰典」という名前は“通名”で、本名は「康博」。過去には「靖憲」と名乗った時期もある。

「かつて民族主義傾向の強かった新興宗教『生長の家』の元信者で、今も創始者の谷口雅春氏の熱心な信奉者。妻も元信者らしく、現在の学園は彼女の父・森友寛氏が経営した学校法人を死後に引き継いだもの。生長の家が3代目となってリベラル色を強めて以降はたもとを分かち、『日本会議』の活動にのめり込んでいきました」(知人)

登記簿によると、豊中市の自宅の土地・建物に設定された債権額計5000万円の抵当権が、2年前にキレイさっぱり消えている。問題の国有地に小学校を建てるため、保護者に寄付を募るなど、もっとも物入りな時期だったはず。ちなみに、幼稚園の土地・建物に学園名義で設定された極度額5億円の根抵当権は今も残ったままだ。

 

安倍晋三記念小学校 この疑惑で居直る神経と幼児性に唖然(2017年2月21日配信『日刊ゲンダイ』)

 

 “疑惑”の舞台を21日視察した民進党国会議員の目には何が飛び込んできたのか。

 安倍首相の妻である昭恵氏が名誉校長を務め、4月に開校を控えた大阪・豊中市の私立「瑞穂の國記念小學院」(寄付金を募った際の名称・安倍晋三記念小学校)をめぐる国有地の激安払い下げ問題。当初は大阪市の学校法人「森友学園」に隣地の「10分の1程度」で払い下げられた――と報じられたが、その後、隣地の「10分の1程度」どころか、2度にわたる地下埋設物の撤去費用を差し引くと実質的には“タダ同然”で引き渡されていたことが判明。さらに森友学園が新たな埋設物が見つかったと主張し、国交省大阪航空局が撤去費用として約8.2億円と積算したごみの搬出や土壌入れ替えについて本紙記者が現場を取材すると、「撤去」されるべきはずの建築廃材や生活ゴミがいまだに埋まっている可能性も浮上した。

 地下埋設物の「撤去費用」と「土地代」を帳簿上で相殺して激安で国有地を手に入れながら、実際は埋設物のごみはそのまま――。あってはならないことだが、仮にそうであれば許されるはずがない。誰でも元手ナシで簡単に国有地を取得できてしまうことになるからだ。

 一方、学校の設置認可を出した大阪府の対応も不可解さが指摘されている。森友学園から提出された新設小学校の認可申請書を審議した2014年12月の府私学審では、少子化が進む中での児童確保や資金繰りを懸念する声が出て「継続審議」となったにもかかわらず、わずか1カ月後の15年1月には一転して条件付きで「認可適当」の答申が出たからだ。一連の経緯を見る限り、国や大阪府の対応は不自然極まりないと言わざるを得ない。

■教育基本法よりも教育勅語を重視

 学校の理事長を務める籠池泰典総裁は、日本最大の右翼組織「日本会議」の大阪代表。大阪市の私立塚本幼稚園の園長でもあり、〈園長の部屋〉と題したブログには、こう書いている。

 〈安倍晋三内閣総理大臣のように身近な人をモデルにし、偉人を手本とする〉〈日本の伝統文化を守り発展させようとする保守安倍晋三政権と、歴史と伝統の文化を崩壊し滅亡させようとする(日本衰退待望クーデター=民主・共産・社民)との攻防が今や最中である〉〈教育勅語的精神に基づく教育をする塚本学園が小学校を興す〉

 ハッキリ言って読むだけでクラクラするが、国のトップを「偉人」と大絶賛する姿勢は、どこかの将軍様の国とソックリではないか。ちなみに教育基本法の第14条(政治教育)は〈法律に定める学校は、特定の政党を支持し、又はこれに反対するための政治教育その他政治活動をしてはならない〉と明確に規定されている。安倍礼賛や野党“口撃”は〈法律に定める学校〉として、明らかに法の趣旨に反しているのだが、教育基本法など屁のカッパらしい。「思想・良心・信教の自由」は憲法で保障されているとはいえ、「お国のために死ね」と滅私奉公を国民に刷り込み、戦前の日本が軍国主義化に突き進む基になったともいわれる「教育勅語」を前面に打ち出す右翼的思想の私立小学校が、国有地を“タダ同然”で手に入れ、スピード認可されたのだから、良識ある国民は「オイオイ」と思うだろう。京都精華大専任講師の白井聡氏はこう言う。

 「この国有地払い下げ問題の経緯は明らかに不自然です。まずは払い下げの過程において、国の担当者の誰が、いつ、どのように決裁したのかを明らかにするべきでしょう。おそらく背景に政治的な圧力があったと思いますが、それは一体、誰だったのか。学校設置の認可に至るプロセスも含めて徹底追及する必要があります」

 安倍首相の「議員辞職」答弁は、いつもの「逃げ口上」だ

 不可解な国有地払い下げを指摘されている学校の名誉校長を昭恵氏が務め、さらに「安倍晋三記念小学校」名目で寄付金を募っていたとなれば、誰だって安倍政権と森友学園の「怪しい関係」を疑うのは当然だ。17日の衆院予算委で野党議員から追及された安倍は「私や妻が認可、国有地払い下げに一切関わっていないことは明確にしたい」「私や妻が関係したということになれば、間違いなく首相も国会議員も辞める」と色をなして反論していたが、安倍がわざわざ辞職を口にしなくても、仮に“口利き”があったとすれば内閣総辞職モノである。

 それよりも“口利き”以前の問題として問われているのは、疑念を抱かれている学校の「広告塔」に現職総理大臣のカミさんが就いていて、自分の名前を冠した寄付金募集が行われていたことを一体、どう考えているのか――という政治家としての良識だろう。

■現職総理が詐欺の片棒を担ぐ?

 少なくとも、マトモな感覚を持った政治家、それも総理大臣であれば、たとえ絶縁してでも即刻、カミさんを名誉校長から引きずり降ろすだろう。寄付金募集の件だって、国会の「初めて知った」という答弁が本当であれば、学校法人に対して厳重抗議はもちろん、名誉毀損で告訴するべきだ。総理大臣が全面バックアップの学校――と信じて疑わない人がカネを振り込んでいた場合、後になって「事実と違う」と訴えを起こしたらどうするのか。詐欺の片棒を担いだのではないか、と疑われる事態になるかもしれないのだ。ところが、安倍は野党の質問に真正面から答えようともせず、顔を紅潮させ、ムキになって「俺は悪くない」と言わんばかりの幼稚な態度だったから唖然ボー然だ。「超・反知性主義入門」の著者で、コラムニストの小田嶋隆氏はこう言った。

「安倍首相は森友学園との関係や妻が名誉校長に就任した経緯などを粛々と説明すればいいのに、そういう話は一切なく、感情的に反論していて、とても一国の首相の態度とは思えませんでした。彼は、南スーダンPKOで自衛隊員に死傷者が出た場合の対応を問われた際も『辞任』を口にし、北朝鮮の拉致問題を『政治利用したのではないか』と質問された時も『私が言っていることが真実だ。違っていたら国会議員を辞める』とキレていました。おそらく『議員を辞める』という言葉は国会で追及された時の一種の逃げ口上なのでしょう。野党や国民に対して丁寧に説明する気はなく、『不退転の決意』を示すという支持者向けのポーズなのだと思います」

 本来は「不徳の致すところ」と謝罪し、夫婦そろって時代錯誤の右翼団体とはキッパリ縁を切ると宣言してもおかしくない。ところが、国民への説明もロクにしないまま、そろって居直っているから、神経を疑ってしまう。これが日本の最高権力の座にいる夫婦の姿なんて情けなくなるし、居座り続けられたら国民が不幸になるだけだ。

 

「安倍晋三記念小学校」国有地払い下げ 地検特捜は動くか(2017年2月21日配信『日刊ゲンダイ』)

 

 国会で関係者を証人喚問するべきではないのか。安倍首相の妻である昭恵氏が名誉校長を務め、4月に開校を控えた大阪・豊中市の私立「瑞穂の國記念小學院」(寄付金を募った際の名称・安倍晋三記念小学校)をめぐる国有地の払い下げ問題。

 疑惑の最大の焦点は、新設学校を管理・運営する学校法人「森友学園」が新校舎建設中に新たな埋設物が見つかったと主張し、その撤去費用として、土地を管理する国交省大阪航空局が約8.2億円もの金額を算出したことだ。この高額の撤去費用がなければ、土地価格(約9.5億円)との差し引きで約1.3億円の払い下げ――なんて激安の売買契約は行われなかったからだ。

 17日の衆院予算委で、財務省は「撤去費用は適正に算出された」と答弁していたが、民進党の福島伸享議員が指摘したように、積算根拠に基づけば、現場で入れ替えられた土壌の量は「ダンプカー4000台分」に相当する。隣地には公園もある市街地で、4000台のダンプカーが往来したら大問題になっていても不思議じゃない。学園は本当にすべての埋設物を撤去したのか。

日刊ゲンダイの記者は19日、確認のために現場を訪れたのだが、新校舎裏の北東部の地表を見て驚いた。ナント! 茶碗や建築廃材といったゴミが今も散在している状況が確認できたからだ。18日、現場を取材したジャーナリストの田中龍作氏もこう言う。

「私も建設現場を撮影しましたが、今も、茶碗のかけらや靴、マヨネーズの容器といった生活ゴミ、建築廃材が埋まっていました。いずれも、10〜20年前とみられる年月が経ったものです。衆院予算委で、埋設物の中身を問われた財務省の佐川宣寿理財局長は、『生活ゴミ、プラスチック、廃材』と答えていましたが、まさに“そのもの”が埋まっていたわけです。現場を見る限り、学園側はゴミをすべて撤去していなかったのではないか――と疑ってしまいます。大体、ダンプカーが4000台も行き来すれば周辺道路は大渋滞になるのに、近隣住民に聞いたら、誰も『見ていない』と話していました」

■法的な問題は? 弁護士に聞いた

予算委では、国が埋設物の撤去を学園に丸投げしていたことが分かっている。

ゴミの「撤去費用」を土地代と相殺する形で売買契約を結びながら、実際は撤去せずにそのまま――なんて許されるのか。この理屈が通るのであれば、誰でも“タダ同然”で国有地を手に入れられることになる。法的な問題はないのか。元検事の落合洋司弁護士がこう言う。

「直ちに関係者の詐欺などを問うのは難しいが、大阪地検特捜部が関心を持って情報収集などをしている可能性はあると思います。一般論として、仮に刑事事件になった場合、まず、国の担当者が撤去費用を過大計上し、国に損害を与えた――という背任が問われるでしょう。そして、共犯や贈収賄などで相手方(学園)の関与の有無を調べることになると思います」

衆院予算委で安倍首相は、「私や妻が関係したということになれば、間違いなく首相も国会議員も辞める」と気色ばんでいたが、裏を返せば、この問題が相当、悪質で違法性が高いと認めたようなものだ。特捜部はここで動かないで、いつ動くのか。

 

大阪府私学審 委員から不安や疑問(2017年2月21日配信『しんぶん赤旗』)

 

「森友学園」小学校設立 資金・教育内容

 幼稚園児に戦前の「教育勅語」を暗唱させることで知られる学校法人「森友学園」(大阪市、籠池泰典理事長)が4月に開校を予定している小学校設立の認可適当と答申した大阪府私立学校審議会で同学園の資金面やカリキュラムについて委員から不安や疑問が出されていたことがわかりました。

 同小学校は、安倍晋三首相の妻の昭恵氏が名誉校長。小学校用地として大阪府豊中市の国有地が不透明な形で同学園に払い下げられていました。

 大阪府私学課が日本共産党府議団に提出した私立学校審議会(私学審)の議事録によると2014年12月18日の会議で府は、新校を設立する場合に文部科学省が会計基準で定めている基本金(蓄え)が「ゼロ」と報告。委員から「計画性がない」と指摘されています。初年度から黒字とするなどの学園側の収支計画についても「大丈夫か」などの不安や生徒が集まる根拠への疑問などがだされています。

 カリキュラムについても1、2年生の道徳や特別活動の時間が国基準より大幅に多く、委員からは「教育内容はなんなのか」「どちらかというと思想教育のような部分がある。少し違和感は覚える」といった懸念がだされています。

 府側は私学審での認可適当の答申を前提に15年2月に国有地の処分の是非を審議する国有財産近畿地方審議会が開かれると報告したものの、14年12月の会議では結論を保留。15年1月27日に臨時の審議会を開催。指摘された問題について学園側が提出した書類についてなお「人件費が30%いかない。相当ひどいことをしないとできない」「まずい場合は認可しかるべしを取り下げる」などの意見が出されました。しかし、学校建設にかかる工事請負契約の締結状況や寄付金の受け入れ状況、詳細なカリキュラム、入学志願の出願状況など、開校にむけた進捗(しんちょく)状況を次回以降も審議会に報告する条件付きで認可適当と認め府に答申しています。

 府教育庁によると府が3月末に認可の是非を判断する予定です。

 

森友学園の闇 安倍晋三教という邪教蔓延のおぞましさ(2017年2月18日配信『日刊ゲンダイ』)

 

「ウラで何か怪しい力が働いていたのではないか」――。民進党の福島伸享議員が17日の衆院予算委で取り上げた、大阪市の学校法人「森友学園」が4月に開校する予定の私立「瑞穂の國記念小學院」(豊中市)の土地をめぐる国有地払い下げ問題。安倍首相の妻である昭恵氏が名誉校長を務めるからなのか、大新聞はチョボチョボ、在京テレビもアリバイ程度にしか報じていないが、この問題は内閣総辞職に発展してもおかしくない大スキャンダルだ。

 あらためてコトの経緯を振り返ると、ざっとこんな流れだ。森友学園は豊中市内の国有地(約8700平方メートル)に私立小の建設・開校を計画。申請を受けた「国有財産近畿地方審議会」は2015年2月に可否を審議した結果、土地は「売り払い」が原則にもかかわらず、〈10年間の事業用地定期借地権による時価貸付及び売買予約による時価売払〉と「定期借地契約」でGOサインを出した。そして同5月に森友学園は近畿財務局から土地を借り受けて学校建設に着手した。

 一方、土地を管理していた国交省大阪航空局は16年4月、地下にあった環境基準を超える鉛やヒ素などの有害物質や埋設物の撤去費用として約1.3億円を森友学園に支払ったものの、その後、学園側が新たな埋設物が見つかったと主張したため、大阪航空局は新たな埋設物の撤去にかかる費用を約8・2億円と算出。結局、土地の価格(約9.5億円)との差額約1・3億円で払い下げられたのである。

 つまり、最初に支払われた埋設物の撤去費用約1.3億円を含めると、森友学園は国有財産を「ゼロ円スマホ」のように“タダ同然”で手に入れたワケだ。それだけじゃない。新設小学校の建物は、国交省の「サステナブル建築物等先導事業」に採択され、約6200万円の補助金交付を受けているから、実質的には「国有地」プラス「ウン千万円」のカネもゲットしたのだ。

■埋設物の撤去費用はダンプカー4000台分に相当

福島議員は予算委で、約8.2億円もの撤去費用が適正だったのかどうか――などをただしたが、財務省側は学校が開校を1年後に控え、国で撤去するには入札なども考えると「時間がかかると考えた」とノラリクラリ。しかし、大阪航空局の撤去費用の積算根拠は、地下の土壌約1.2万立方メートルを入れ替えた場合の想定で、福島議員によると、この量は「ダンプカー4000台分」にも相当するという。とてもじゃないが、一般住宅や幼稚園、公立の小中学校が立ち並ぶ住宅街で、4000台ものダンプカーが往来すれば、地元で大騒ぎになっていただろう。常識的に考えれば撤去費用は高過ぎるし、こうした不自然な中身を精査するのが財務省の役割なのに、なぜか「スルー」したのだ。

 予算委では、学校設置認可にかかわる不自然な経緯も追及された。認可権限を持つ大阪府の基準では、学校の土地は「自己所有」と決められているにもかかわらず、当初は「借地契約」だった森友学園にスンナリ設置認可が出ていたためだ。まさに疑惑のオンパレードで、福島議員が「何か特別な力が働いたのではないか」と語気を荒らげたのもムリはない。新設小学校が開校すれば、今後、さまざまな補助金や私学助成金が支払われることになる。可否を判断するのは国や都道府県などの行政機関だ。その私立学校の名誉校長に現職総理大臣の妻が就いているのは、どう考えてもおかしいだろう。

 「昭恵氏は名誉校長就任のあいさつで『普通の公立学校の教育を受けると(略)芯が揺らいでしまう』などと公教育を否定するような発言をしています。これはファーストレディーが私学を斡旋しているようなもの。国有地の払い下げ問題も大事ですが、こういう状況が果たして正常なのか考えるべきです」(「日本会議の研究」の著者・菅野完氏)

実際の戦争を知らずに戦前を礼賛するタチの悪さ

 森友学園の新設小学校をめぐる「闇」は、国有地取得の不可解なカネの流れだけじゃない。籠池泰典校長は、日本最大の右翼組織「日本会議」の大阪代表。学校案内のパンフレットには〈教育の要〉として〈教育勅語素読・解釈による日本人精神の育成〉が掲げられ、〈宿泊研修(予定)〉先に〈靖国神社〉などが載っている。

 1890(明治23)年10月30日に発布された教育勅語は、各学校に「下賜」され、戦前は祝祭日や入学、卒業式などの行事のたびに「奉読」が義務付けられた。戦後、日本を占領下に置いたGHQは、教育勅語が日本の軍国主義化や国民に絶対服従の精神を植え付ける「聖典」の役割を果たしたとみて廃止。国会も1948(昭和23)年に衆院が「教育勅語等排除に関する決議」を、参院が「教育勅語等の失効確認に関する決議」をそれぞれ採択し、代わって現行の教育基本法が制定された。そんな戦前回帰のアナクロ教育を前面に打ち出す小学校が、戦後70年余り経った今、新たに開校するのだ。「思想・良心・信教の自由」は憲法で保障されているとはいえ、クビをひねる国民は少なくないだろう。

■幼稚園児に国歌斉唱を強要

 〈私や妻が認可、国有地払い下げに一切かかわっていないことは明確にしたい〉

 安倍首相は予算委で、薄ら笑いを浮かべてこう答弁していたが、学校側は新設学校名を「安倍晋三記念小学校」と命名して寄付を募っている。自分のカミさんを名誉校長という「広告塔」に使い、教育カリキュラムの基本は「教育勅語」。さらに総理大臣の名前を冠した小学校名で寄付の振込用紙を配っていたのだ。マトモな歴史観を持った政治家なら激怒どころじゃ済まない。学校側に厳重抗議するのはもちろん、名誉毀損で訴えたって不思議じゃない。それなのに安倍がヘラヘラ笑っていたのは、安倍政権自身も教育保育現場への政治介入を強めているからだ。

 文科省が新たに公表した幼稚園の教育要領案。唱歌やわらべ歌とともに示されたのが「国歌」(斉唱)だ。厚労省も保育所の運営指針の改定案に「国旗、国歌に親しむ」と明記したが、国旗・国歌法が制定された1999年、国は「強制したり義務化したりすることはない」と説明していた。ところが、安倍政権内では国立大の入学式や卒業式でも国旗掲揚と国歌斉唱を求める声が強まり、一昨年には文科省が「適切な対応」を要請する事態に発展。今回の幼稚園の国歌斉唱もこの流れで、戦前と同様に国家統制を強めているのだ。政治評論家の森田実氏がこう言う。

「安倍政権は、戦前の国家主義的思想を現代に取り入れようとしているわけですが、安倍首相も日本会議も実際の戦争を知らず、観念だけで動いているだけにタチが悪い。森友学園の問題も、このまま放置すると、安倍政権さえバックに付ければ、違法・脱法行為は何でもアリということになりかねません。新聞・テレビが徹底的に追及しないと今後、とんでもない事態になります」

 こういう国家主義的な思想を持つ政権だからこそ、共謀罪なんて絶対認めてはダメなのだ。戦前の治安維持法のように法案が成立した途端、あ〜だ、こ〜だと理屈をつけて国民を弾圧するのだ。金正男暗殺事件で、あらためて北朝鮮の狂乱独裁ぶりがクローズアップされているが、「安倍晋三教」というイカレた邪教が広がり始めた日本も他人事ではない。

 

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森友学園系列の幼稚園がヘイト文書配布“よこしまな在日”(2017年2月17日配信『日刊ゲンダイ』)

 

 大阪市淀川区の学校法人・森友学園が運営する「塚本幼稚園」が、「よこしまな考え方を持った在日韓国人や支那人」などと記載した“ヘイト文書”を保護者向けに配布していたことが分かった。大阪府は、憎悪表現に当たる恐れがあると問題視し、法人理事長の籠池泰典園長らから事情を聴いている。

 昨年12月、元園児の保護者から情報提供を受け、1月12日、大阪府の職員が園を訪れて籠池園長や妻の副園長と面会。大阪府は、行政指導を行う必要があるか検討することにしている。

 塚本幼稚園は、園児に「教育勅語」を暗唱させるなど、戦前のような教育をしている。籠池園長は、日本最大の右翼組織「日本会議」の幹部。「森友学園」は、今年4月、豊中市に小学校を開校する予定で、名誉校長は安倍首相の夫人昭恵さんが務めている。小学校設立の寄付を呼びかけた際は、「安倍晋三記念小学校」なる名称を用いていた。安倍政権と深く結びついている学校法人だ。塚本幼稚園には15年度、4000万円もの補助金が交付されている。

 また、小学校を建設するために取得した国有地は、評価額の14%という激安で払い下げられていたことが発覚し、国会でも「経緯が不可解だ」と取り上げられている。

 国有地の取得の裏になにがあったのか、なぜ「ヘイト文書」を配ったのか、安倍政権とどんな関係があるのか、国会で解明する必要がありそうだ。

 

昭恵夫人が名誉校長 大阪新設小学校はわずか1カ月で認可(2017年2月14日配信『日刊ゲンダイ』)

 

 隣地の「10分の1」という超激安の国有地払い下げ問題が浮上した大阪府の学校法人「森友学園」。今春に豊中市に開校する予定の「瑞穂の國記念小學院」は安倍首相夫人の昭恵氏が名誉校長を務めるなど話題が尽きないが、この問題は調べれば調べるほど怪しいニオイがプンプン漂ってくる。

 コトの発端は、隣地の取引実績から推測して約14億円とみられる国有地(約8700平方メートル)が、森友学園にたった1億3400万円で払い下げられていたことだ。理由について財務省は「地下の廃材や生ごみの撤去費用約8億円を控除した」と説明しているのだが、疑惑の目が向けられているのは土地取引だけじゃない。学校設置に至る経緯も不自然なのだ。

 森友学園の国有地取引の是非が審議された2015年2月の「国有財産近畿地方審議会」。議事録を読むと、本来、売り払いが原則である土地を〈10年間の事業用地定期借地権による時価貸付及び売買予約による時価売払〉にすることが提案されている。つまり、当初は定期借地契約だったのに、その後、売買に切り替わったわけだ。この理由について財務省は野党議員に対して、地下に廃材や生活ごみが見つかったために契約を変更した、と説明しているらしい。だが、それならば財務省はなぜ、その後の審議会で詳しく説明していないのか。そもそも「控除した」という撤去費用の8億円だって高すぎる。

 これだけでも不自然だが、近畿地方審議会では、大阪府私立学校の審議会状況も示されていて、森友学園の新設小学校の認可申請書が、14年12月18日に継続審議となったくだりが出てくる。少子化の中で生徒確保が可能なのかや、計画通りに寄付が集まるのか――など建設計画そのものに疑問符が付いたのだが、驚くのはナント! わずか1カ月後の15年1月27日の臨時審議会で認可適当の答申が出されているのだ。

 森友学園の籠池泰典総裁は、日本最大の右翼組織「日本会議」の大阪代表・運営委員。大阪府が学校設置認可を出した時のトップは、日本会議に近しいとささやかれている松井一郎知事で、当時の文科大臣は下村博文・日本会議国会議員懇談会副会長だ。

「国有地を廉価で購入したのも問題ですが、なぜ、(少子化などで)定員割れが懸念されるような私立学校が突然、認可されたのか。学校も学校で、(8億円もの撤去費用がかかるほど)莫大なゴミが出た土地に学校を建てるのであれば、その経緯をきちんと説明する必要があるのは当然でしょう」(「日本会議の研究」の著者・菅野完氏)

 この問題、“闇”が深いかもしれない。

 

【関西の議論】;安倍首相夫人・アッキーも感涙…園児に教育勅語教える“愛国”幼稚園 「卒園後、子供たちが潰される」と小学校も運営へ(2015年1月8日配信『産経新聞』)

 

 「教育勅語」や「五箇条の御誓文」の朗唱、伊勢神宮への参拝・宿泊…。大阪市淀川区に超ユニークな教育を園児に施している幼稚園がある。塚本幼稚園幼児教育学園。安倍晋三首相夫人が同園を訪れたとき、園児らのかわいらしくもりりしい姿を見て、感涙にむせんだという。さて、その塚本幼稚園の籠池泰典園長が、小学校運営に乗り出している。現代教育のゆがみをも映し出すその理由とは−。(服部素子)

昭恵夫人「安倍首相に伝えます」

 「夫婦相和し、朋友相信じ、恭倹(きょうけん)己を持(じ)し、博愛衆に及ぼし、学を修め、業を習ひ…」。園庭に2〜5歳の園児約150人の大きな声が響く。

 教育勅語(正式には「教育ニ関スル勅語」)は、明治23(1890)年に発布され、第2次世界大戦前の日本政府の教育方針の根幹となった文書。なぜいま、教育勅語なのか。

 「子供に学んでほしいことは何か、とつきつめたとき、その答えが明治天皇が国民に語りかけられた教育勅語にあったからです」と籠池泰典園長(61)の答えは明快だ。

 あどけない幼児が大きく口をあけ、難しい言葉を朗唱する姿を初めて見た人は一様に驚き、感動する。安倍首相の昭恵夫人もそのひとりだ。

 昭恵夫人は昨年4月、同園の視察と教職員研修のため訪れたとき、鼓笛隊の規律正しいふるまいに感動の声を上げた。さらに、籠池園長から「安倍首相ってどんな人ですか?」と問いかけられた園児らが「日本を守ってくれる人」と答える姿を見て、涙を浮かべ、言葉を詰まらせながらこう話したという。

 「ありがとう。(安倍首相に)ちゃんと伝えます」

 子供と教師が「なあなあ」でいいのか

 同園は昭和25(1950)年の開園。全国初の学校法人立幼稚園だという。

 籠池園長の就任は61年。他の幼稚園関係者との会話の中で、前職の公務員時代に抱いていた思いが頭をもたげてきた。

 「教育関係者と接していたとき、教師と教え子の“なあなあ言葉”での会話を聞いたり、教師のジャージー姿を目にしたりするにつけ、違和感を覚えました。根底に幼児期の『徳育』の欠如があるのでは、と感じたんです。園の先生たちと話していて、改めてその思いが強くなったんです」

 そんなとき、平成7(1995)年1月、阪神大震災が起きた。

 「あのときの日本人の行動には、人としての矜持があった。この矜持を育むことこそ教育。それから当園の教育の根幹を12の徳目に置き、『教育勅語』や『五箇条の御誓文』の朗唱を始めたんです」

 12の徳目とは、親や先祖を大切に▽兄弟姉妹は仲良く▽夫婦はいつも仲睦まじく▽友達はお互いに信じ合い▽自分の言動をつつしみ▽広くすべての人に愛の手を差しのべ▽勉学に励み職業を身につけ▽知識を高め才能を伸ばし▽人格の向上につとめ▽広く世の人々や社会のためにつくし▽規則に従い社会の秩序を守り▽正しい勇気を持って世のため国のためにつくす−−その基となっているのが「教育勅語」なのだという。

 また、基礎体力作りとしての剣道、スイミング、ラグビーや、日本の伝統文化を身につけるための将棋、そろばん、論語、書道。また、創造性を養うものとして、鼓笛隊や大正琴、日本太鼓も授業に組み入れた。

せっかく身につけたことが…

 籠池園長は現在、大阪府豊中市に私立小学校「瑞穂の國記念小學院」の建設を進めている。開校は平成28年4月を予定。目指すのは「礼節を尊び、愛国心と誇りを育てる」教育だ。

 なぜ小学校運営なのか。籠池園長は説明する。

 「集合時にだらだらとしていたり、子供が先生と友だちのようにしゃべったりというのが『普通』になっている小学校に、当園を出た子供たちが入っていくと、自分の根っ子に不安を持ち始めるんです。せっかく、当園で身につけたことが潰される…。それで小学校をつくることにしたんです」

 たしかに、記者が小学生だった昭和の時代は、普通の公立の小学校でも登下校時に先生にあいさつするのは当たり前で、わざわざ「あいさつしなさい」と注意された覚えもないし、先生との会話は敬語だった。

 新設する小学校は木造2階(一部3階)建て。敷地面積は約8700平方メートルで、教室にはそれぞれ6・6平方メートルの畳敷きのバルコニーを設ける。江戸時代にあった岡山藩の藩校「閑谷(しずたに)学校」をイメージした講堂1階は、板張りの間と和室があり、修身や茶道などの授業が行われる。

批判や嫌がらせにも揺るがぬ決意

 実は、幼稚園運営だけでも苦労は多い。日の丸を掲げ、君が代を斉唱し、皇族が関西に来られると、園児を連れて奉迎に出向く…という教育方針への批判の声は多いという。正面からの批判ならまだともかく、園の玄関に掲げた日章旗を盗まれるといった嫌がらせを受けたことも。

 「でも、そういう時代はもう過去になったと思います。古来、日本人は八百万(やおろず)の神を崇め、祀ってきました。子供のころ、よこしまなことを考えると『神様が見てる』という言葉が、常に心を射ました。そういう教育を行う小学校にしたい」

 籠池園長は笑顔の中にも決意を込めてこう語った。

 

 

 

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(2017年2月1日配信『日刊スポーツ』―「政界地獄耳」)

全国民必読 永田町インサイドレポート

アッキーが名誉校長の「愛国」小学校からぞくぞく出てくるスキャンダル自民党の重鎮たちが「小池シフト」を始めた――

奔放に飛び回る妻を自由にさせる、理解ある夫――安倍総理のそんなスタンスが女性からの支持率を上げてきた。だが、総理も今度ばかりは後悔しているかもしれない。この疑惑は簡単には晴れない。

問題だらけの土地取引

「近いうちに、あの小学校にどんな人物がいくら寄付をしていたか、リストが出てくるでしょう。ここに名前が挙がる人脈を精査されれば、安倍総理は大ダメージを受ける。トランプ政権ともまずまずうまくやれているし、当分政権は安泰だと思っていたけど、これは本当にまずいかもしれない」

  ある官邸スタッフはこう漏らした。

 

大阪・国有地売却問題の「闇」を追う(2017年2月18日付『東京新聞』)

大阪府豊中市の国有地が学校法人「森友学園」(大阪市)に格安で払い下げられ、国会でも取り上げられた。同学園は小学校建設のために土地を購入したが、名誉校長は安倍晋三首相の妻昭恵さん、校長を務める同学園の籠池泰典理事長は「日本会議大阪」の運営委員だ。さらに当初は「安倍晋三記念小学校」の名目で寄付を募っていた。同学園が経営する幼稚園が、ヘイトスピーチまがいの文書を保護者に配布していたことも発覚した。何が起きているのか。

 

 

 

 

 

 

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