第2次安倍晋三改造内閣 最大右翼組織「日本会議」が占拠

 

改憲・超タカ派の「日本会議国会議員懇談会(日本会議議連)から15人」

 

 

 安倍晋三首相を含めて第2次安倍改造内閣の19人の閣僚のうち15人が、日本の侵略戦争を正当化する改憲・右翼団体「日本会議」を支援するためにつくられた「日本会議国会議員懇談会」(日本会議議連)の所属議員である。超タカ派・改憲勢力が政権中枢に躍り出た形で、まさに「日本会議」内閣である。

 

 2013年2月現在の役員表によると、日本会議議連(289名の国会議員が参加)には安倍首相と麻生太郎副総理・財務相が特別顧問に就任。高市早苗総務相、菅義偉官房長官、下村博文文部科学相が副会長、山谷えり子国家公安委員長が政策審議会長、有村治子女性活躍担当相は政策審議会副会長を務めている。また、衛藤晟一、礒崎陽輔両首相補佐官、加藤勝信官房副長官らも役員に名を連ねる。

 

 改造内閣で日本会議議連に所属していないのは太田国交相、小渕経産相、松島法相、西川農相の4人。もっとも、西川農相と二階自民党総務会長は「みんなで靖国神社に参拝する国会議員の会」には名を連ねている。どちらにも所属していないのは、公明党の太田国交相、小渕経産相と松島法相だけということになる。

 

 自民党新役員でも、谷垣禎一幹事長が同顧問、稲田朋美政調会長が政策審議会副会長を務め、また茂木敏充選対委員長も議連メンバーである。

 

 日本会議は「憲法改正をめざす国民運動」を進めるとして各地でフォーラムなどを開催。同議連や地方議員懇談会が、地方議会で「憲法改正の早期実現」を求める意見書を採択させる先頭にたっている。

 

 日本会議のHPを見ると、「私たちは、美しい日本の再建と誇りある国づくりのために、政策提言と国民運動を推進する」と書かれており、憲法改正、愛国心教育、“自虐的”な歴史教育の是正、戦後レジームからの脱却等々の安倍政権の政策は、すべて日本会議が提言してきたものだ。

 

 

日本会議は「男らしさや女らしさを否定する男女共同参画条例が各県で制定され、子供や家庭をめぐる環境がますます悪化」しているなどとして男女共同参画や夫婦別姓に反対。2010年3月の「日本の国柄と家族の絆を守るためストップ!夫婦別姓」と題した集会には、高市、山谷、有村、稲田各氏が参加して意見表明。同11月の集会では、山谷氏が「国民世論を無視している」と夫婦別姓に反対を表明している。

 

政治評論家の森田実氏は、「そういうウルトラ右翼の内閣が誕生したわけです。大メディアは『安定感のある内閣』だとか『重厚布陣』だとか報じていますが、とんでもない。こんなアブない内閣はありません」と断じている。

 

元法大教授の五十嵐仁氏は、「日本会議が安倍政権を裏で操るというより、もはや一体化しているとみるべきです。内閣に(19人中)15人も入ったのは、自民党が右翼政党に変質したことの証左でもある。安倍首相をはじめとする日本会議系の右翼議員に党が乗っ取られ、内閣も官邸も占拠された。このままでは国が乗っ取られてしまいます」と、危惧している。

 

 安倍内閣が憲法破壊と歴史修正を強引に推し進める根源に、これら極右グループの存在があるが、2014年2月に米議会調査局がまとめた報告書は「日本会議」を名指しで警戒。「安倍氏は、戦時中の行為について、日本は不当な批判を受けていると議論するグループと連携」とし、安倍政権の歴史修正の動きた2013年12月の倍首相の靖国参拝を強行した背景に日本会議の存在があると分析している。

 

 また、海外メディアでは「ナショナリスト組織」(米ニューヨーク・タイムズ)や「ナショナリスト・シンクタンク」(英エコノミスト)などと報じ、国際社会でも危険視されている。

 

集団的自衛権の行使を容認し、自衛隊法の改正など有事法制を整備して、軍備強化で世界平和に貢献するという方針も、日本会議が目指す「誇りある国づくり」の一環で、それを着実に進めてきたのが安倍政権であり、改造によって、ますます日本会議が掲げる政策を「実行実現」する内閣になったのである。

 

 

日本会議国会議員懇談会に加入する閣僚

 

 安倍晋三総理

 麻生太郎副総理

 高市早苗総務相

 岸田文雄外相

 下村博文文科相

 塩崎恭久厚労相

 望月義夫環境相

 江渡聡徳防衛相

 菅義偉官房長官

 竹下亘復興相

 山谷えり子公安委員長

 山口俊一沖縄・北方相

 有村治子女性活躍相

 甘利明経済再生相

 石破茂地方創生相

 

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政権に巣食う改憲・右翼団体「日本会議」勢力 主張・言動に見る異常(2014年9月7日配信『しんぶん赤旗』)

 

 安倍晋三首相を含む19人の閣僚のうち15人が、改憲・右翼団体「日本会議国会議員懇談会」(日本会議議連)に加盟している第2次安倍改造内閣(本紙6日付)。その日本会議と同議連が展開する主張や活動はどのようなものなのでしょうか―。

侵略戦争を 「正義の戦争」

 「諸悪の根源は、東京裁判史観」。日本会議議連の平沼赳夫会長(次世代の党党首)が日本会議設立10周年のさいに寄せたあいさつ文の言葉です。戦後、日本がサンフランシスコ条約で受諾し、国際社会復帰の基礎となった極東国際軍事裁判(東京裁判)が下した日本の侵略戦争に対する断罪を否定しようというのが、日本会議の根本思想です。

 日本会議は、過去の日本の侵略戦争を「アジア解放」の「正義の戦争」と美化してきた靖国神社への「二十万人参拝運動」を展開。天皇参拝実現に向け、歴代首相に参拝を強く要求してきました。

改憲目指して「愛国心」強制

 日本会議は、日本国憲法、とりわけ不戦と戦力不保持を定めた憲法9条への攻撃を続け、「国防体制」充実のための改憲を主張。日本会議議連や「靖国」派の地方議員でつくる「日本会議地方議員連盟」が地方議会で「憲法改正の早期実現を求める意見書」を採択させる先頭に立っています。3日の内閣改造を受け、「この日が憲法改正運動のスタートとなる」(日本会議大阪のフェイスブック)と改憲に期待を寄せています。

 日本会議は改憲に向けた世論構築のために「愛国心」教育強化などを求めてきました。

 女性活躍相に就任した有村治子氏は、昨年の参院選で日本会議推薦候補として当選。推薦を受け有村氏は「戦後の教科書からは、万世一系という言葉は消えました。そこから始めていかなければいけない」(日本会議の月刊誌『日本の息吹』13年6月号)などと天皇中心の「日本の国柄」を教育に持ち込む狙いを語っています。

「慰安婦」記述教科書を攻撃

 日本会議は、南京大虐殺や旧日本軍「慰安婦」問題での教科書の記述などを指して「わが国の歴史を悪しざまに断罪する自虐的な歴史教育」(「日本会議がめざすもの」=同会議ウェブサイト)などと攻撃しています。

 通常国会で「慰安婦」問題で旧日本軍の関与を認め公式に謝罪した「河野談話」(1993年)の検証や見直しを政府に求めたのは山田宏議員(当時=日本維新の会所属、現・次世代の党幹事長)ら、日本会議議連所属の国会議員です。

 今回入閣した山谷えり子国家公安委員長は12年5月、「慰安婦」記念碑を設置した米東部ニュージャージー州パリセーズパーク市を訪問し、同市市長らに記念碑撤去を求める行動に及んでいます。

「男女共同参画」に反対

 男女の社会的差別をなくす「ジェンダーフリー」の運動や教育が世界で広がっていますが、これを否定しているのも日本会議です。

 日本会議議連所属議員らも「性差別」の廃止をうたう政府や各県の「男女共同参画」の動きまで「男らしさや女らしさを否定する」ものと批判。10年3月に「日本の国柄と家族の絆を守るためストップ!夫婦別姓」と題して開いた集会には、今回初入閣した高市早苗総務相や山谷、有村両氏のほか、自民党政調会長に就任した稲田朋美氏が参加しました。

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